先に結論:131Iの星型アーチファクト(star sign)
- 甲状腺癌の術後に131I(放射性ヨウ素)を投与すると、首に残った甲状腺組織などに強く集まった部分から放射状の線が出る星型アーチファクト(star sign)がシンチグラフィで見られます
- 131Iのγ線はエネルギーが高く(364keV)、コリメータの隔壁を突き抜けるため、強い集積の周りに星形の筋ができます。病変の形ではありません
- 初回は残った正常甲状腺による集積が多く、アブレーション後も星型の集積が残るときは、残存甲状腺のほか腫瘍の残存も考えて、サイログロブリン値や他の画像と合わせて判断します
131Iによる星型アーチファクト
・アブレーション=残存甲状腺を破壊する(放射性ヨードで)こと。
・131 I シンチグラフィでよくみられる星形アーチファクトは、甲状腺癌に対して甲状腺摘出術後→131 I を多量に投与→甲状腺遺残組織などの部位に、強い限局性の集積が生じた場合にのみみられる。
・なぜ残るのか?甲状腺癌に対して甲状腺全摘術に近い手術を行う目的は、腫瘍とできるだけ多くの甲状腺組織を取り除くことではあるが、副甲状腺を残す必要もあり、隣接組織をある程度残しておくことになるので。
一回目は正常組織が残るので、star signは残る。治療後全身シンチ809例の検討では、星型アーチファクトは残存甲状腺組織が多いこと(刺激時サイログロブリン・24時間摂取率が高い等)と関連し、再発率には影響しなかった。
2回目以降の治療でも星型の集積が残る場合は、残存甲状腺のほか腫瘍の残存も考えて、血清サイログロブリン値や他の画像と合わせて判断する。・131I全身シンチの偽陽性集積370例を集めた文献レビューでは、原因の55.1%が腫瘍以外の疾患、29.5%が良性腫瘍であり、病歴・血清サイログロブリン値・他の画像との照合が重要とされる。SPECT/CTを併用すると偽陽性の頻度は大きく下がる。
・治療に用いるヨードが確実に集積するように、患者は甲状腺機能低下状態にしておく(患者のTSH値が上昇する)。
・その結果、術後に血清サイログロブリン値の測定と131 I シンチグラフィを行うことで患者の経過をみることができる。
・残存する正常甲状腺・取り残した甲状腺癌がある場合はそれを叩く目的で治療用の131 Iが投与される。
・残存甲状腺組織の廃絶(アブレーション)には、低リスク例では低い投与量が推奨されている(ATA 2015ガイドライン)。
・転移のある患者では、治療のためにより多い量が投与される(量はガイドライン・施設の手順で確認)。
スターサイン(star sign)とは?
スターサイン(スターアーチファクト)は、131I全身シンチグラフィで強く集まった1点から放射状に線が伸び、星のように見える像です。病変が星形なのではなく、撮像のしくみで生じる見かけの像です。131Iはエネルギーの高いγ線を出すため、コリメータの隔壁を突き抜ける成分(隔壁透過)が多く(Rault 2007)、集積がとても強いとこれが隔壁の並びに沿った筋として写ります。
| 項目 | スターサイン | 実際の集積 |
|---|---|---|
| 見え方 | 中心から放射状に伸びる直線状の筋 | 組織の形・大きさに沿った像 |
| 理由 | γ線の隔壁透過(撮像のしくみ) | 組織が131Iを取り込んでいる |
| 確かめ方 | SPECT/CTで位置を確かめると偽陽性が減ります(Barbaro 2023) | |
症例 30歳代男性 甲状腺癌術後

スターサインでよくある疑問(Q&A)
Q. 首以外に集まって見えたら転移ですか?
A. そうとは限りません。小児の検討では、多い正常変異は胸腺(10.8%)・心臓(3.6%)への集積で、目立つ残存甲状腺による星型アーチファクトも重要な落とし穴とされています(Mostafa 2016)。
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参考文献
- Xiao L, Zhang WJ, Wang YQ, et al. Prognostic value of star-shaped intense uptake of 131I in thyroid cancer patients. Rev Esp Med Nucl Imagen Mol (Engl Ed). 2021;40(1):30-36. PubMed
- Haugen BR, Alexander EK, Bible KC, et al. 2015 American Thyroid Association Management Guidelines for Adult Patients with Thyroid Nodules and Differentiated Thyroid Cancer. Thyroid. 2016;26(1):1-133. PubMed
- Basso C, Colapinto A, Vicennati V, et al. Radioiodine whole body scan pitfalls in differentiated thyroid cancer. Endocrine. 2024;85(2):493-508. PubMed
- Barbaro D, Campennì A, Forleo R, et al. False-positive radioiodine uptake after radioiodine treatment in differentiated thyroid cancer. Endocrine. 2023;81(1):30-35. PubMed
- Rault E, Vandenberghe S, Van Holen R, et al. Comparison of image quality of different iodine isotopes (I-123, I-124, and I-131). Cancer Biother Radiopharm. 2007;22(3):423-30. PubMed
- Mostafa M, Vali R, Chan J, et al. Variants and pitfalls on radioiodine scans in pediatric patients with differentiated thyroid carcinoma. Pediatr Radiol. 2016;46(11):1579-89. PubMed
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