先に結論:慢性胆嚢炎とは・画像での見え方

  • 慢性胆嚢炎は、胆石による刺激や急性胆嚢炎のくり返しで、胆嚢に長く炎症が続き、壁が厚く硬く(線維化)なった状態です。多くは胆石を伴い、症状はみぞおち〜右上腹部の不快感・鈍い痛み・お腹の張りなど、はっきりしないことが多いです
  • 超音波・CT・MRIでは、胆嚢が小さく縮む・壁が全体に均一に厚くなる・胆石が見られます。造影では壁がゆっくり均一に染まり、MRIのT2強調像で壁が黒っぽく(線維化)見えます
  • 壁が厚くなる病気には胆嚢がんや胆嚢腺筋腫症もあるため、壁の厚さが不均一・内側がでこぼこ・早く強く染まる場合はがんとの区別が重要です。症状をくり返す場合は胆嚢摘出術が検討されます
  • 正常の胆嚢壁は3mm以下が目安で、壁が厚く見えても心不全・肝炎・腎不全・低アルブミン血症など胆嚢の外の原因のこともあります(Gupta 2020)

慢性胆嚢炎(chronic cholecystitis)

  • 慢性胆のう炎は、急性胆嚢炎の炎症が消退して慢性化したものと、胆石や細菌感染などによる慢性的機械刺激から生じたものがある。
  • 後者が多く、胆石を合併する例が多い。
  • 多くは上腹部の不快感や鈍痛、腹部膨満感などの不定愁訴を呈する。
  • 時として胆石発作を生じることもある。
  • 反復する炎症のため、胆嚢の壁肥厚や萎縮(線維化)、周囲組織との癒着を生じる。診断にはこの病変を捉えることが重要。
  • 結合織の増加は筋層外(漿膜下)で顕著となる。
  • 胆石と胆道の慢性炎症は胆嚢癌の発生にかかわる因子とされており(Hundal 2014)、経過観察が重要である。

慢性胆のう炎の画像所見

慢性胆のう炎のエコー所見

エコーでは急性炎症は胆嚢壁の浮腫性変化を反映し層状構造が見られるのに対し、慢性炎症では程度はさまざまだが線維化を反映し高エコーを呈する。

慢性胆のう炎のCT、MRI所見
  • 胆嚢萎縮
  • 胆嚢壁の全周性の肥厚(2相CTの検討では平均6.9mm)
  • delayed enhancement(ゆっくり粘膜面から(線維性結合組織の豊富な)漿膜面に均一に壁が染まる。そのため、粘膜に限局した癌と比較すると早期濃染がそれほど強くない点が鑑別点となる)
  • 結石を伴うことが多い。2相CTの検討では、慢性胆嚢炎の89.4%で内側の壁が薄く、動脈相・静脈相とも肝と同じくらいの濃度でした。一方、胆嚢癌では動脈相で厚い内側の層が強く造影される例が多く、これが両者の鑑別点になります。落とし穴として、慢性胆嚢炎の特殊型である黄色肉芽腫性胆嚢炎(XGC)は、壁が1〜2cm程度まで厚くなり、漸増性・持続性に造影され、FDG-PETでも集積を示すため、壁肥厚型の胆嚢癌との区別が難しい。FDG-PETやCA19-9だけでは鑑別に不十分とされ、疑わしい例では経験のある外科医による根治的胆嚢摘出術が勧められている。
急性胆嚢炎・慢性胆嚢炎・胆嚢がんの画像の違い
急性胆嚢炎 慢性胆嚢炎 胆嚢がん(壁肥厚型)
胆嚢の大きさ 腫れて大きい 縮む(萎縮)ことが多い さまざま
壁の厚さ 浮腫で層状に厚い 全周性・均一、軽度(平均6.9mm) 不均一・限局性のことも、厚い(平均12.6mm)
胆嚢周囲の液体 見られることが多い ふつうは見られない –
造影の内側の層 – 薄く、肝と同程度の濃度 厚く、動脈相で強く染まる

急性胆嚢炎は胆嚢の腫大・壁の浮腫・胆嚢周囲の液体が特徴で、慢性胆嚢炎は線維化のため胆嚢が縮み、周囲の液体はふつう見られません(Gupta 2020)。壁の厚さと造影の数値はYun 2004の2相CTの検討によります。

胆嚢壁肥厚の原因(慢性胆嚢炎だけではない)
  • 胆嚢そのものの病気:急性・慢性胆嚢炎、胆嚢腺筋腫症、黄色肉芽腫性胆嚢炎、胆嚢がん
  • 胆嚢の外の病気(全身の病気):肝炎、うっ血性心不全、腎不全、敗血症、低アルブミン血症

全身の病気による壁肥厚は全周性(びまん性)になり、限局した壁肥厚は胆嚢そのものの病気のことが多いとされます(Gupta 2020)。また、食後で胆嚢が縮んでいると壁が厚く見えるため、超音波は空腹時に行います(Gupta 2020)。

症例 30歳代女性 右腹痛

chronic cholecystitis

※壁肥厚の程度は急性胆嚢炎や胆嚢癌に比べ軽度である。内腔面は一般的に平滑であるが、不整を伴うものもある。

※胆嚢壁の線維化を反映して、造影ではdelayed enhancementを、MRCP(T2強調像)では壁は強い低信号を示す。

症例 40歳代男性 慢性胆嚢炎、胆嚢結石症

CHRONIC CHOLECYSTITIS

造影CTにおいて、筋層外(漿膜下)で結合織の肥厚が目立つ。

T2強調像で壁の低信号が目立ち、線維化を反映する慢性胆のう炎が疑われる。

慢性胆嚢炎でよくある疑問(Q&A)

Q. 慢性胆嚢炎ではどんな症状が出ますか?
A. みぞおち〜右上腹部の不快感や鈍い痛み、お腹の張りなど、はっきりしない症状が多く、ときに胆石発作のような強い痛みが出ます。症状がほとんどなく、健診の超音波で胆嚢の萎縮や壁肥厚を指摘されて見つかることもあります。気になる症状があれば医療機関を受診してください。

Q. 「胆嚢が萎縮している」と言われました。慢性胆嚢炎ですか?
A. 線維化で胆嚢が縮むのは慢性胆嚢炎の典型的な所見ですが(Gupta 2020)、食後で胆嚢が収縮しているだけのこともあります。空腹時の再検査や、胆石・壁の厚さの形(均一か、限局性か)をあわせて判断します。

参考文献

  1. Yun EJ, Cho SG, Park S, et al. Gallbladder carcinoma and chronic cholecystitis: differentiation with two-phase spiral CT. Abdom Imaging. 2004;29(1):102-8. PubMed
  2. Demachi H, Matsui O, Hoshiba K, et al. Dynamic MRI using a surface coil in chronic cholecystitis and gallbladder carcinoma: radiologic and histopathologic correlation. J Comput Assist Tomogr. 1997;21(4):643-51. PubMed
  3. van Breda Vriesman AC, Engelbrecht MR, Smithuis RH, et al. Diffuse gallbladder wall thickening: differential diagnosis. AJR Am J Roentgenol. 2007;188(2):495-501. PubMed
  4. Runner GJ, Corwin MT, Siewert B, et al. Gallbladder wall thickening. AJR Am J Roentgenol. 2014;202(1):W1-W12. PubMed
  5. Qi W, Chen M, Shao M. 18F-FDG PET/CT in xanthogranulomatous cholecystitis with CA199 elevation: diagnostic dilemmas and differentiation strategies. Front Med (Lausanne). 2025;12:1630989. PubMed
  6. Gupta P, Marodia Y, Bansal A, et al. Imaging-based algorithmic approach to gallbladder wall thickening. World J Gastroenterol. 2020;26(40):6163-6181. PubMed
  7. Hundal R, Shaffer EA. Gallbladder cancer: epidemiology and outcome. Clin Epidemiol. 2014;6:99-109. PubMed

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