先に結論:PET-CT検査とは
- FDG(ブドウ糖に似た薬)を注射し、糖をたくさん取り込む細胞(多くのがん・炎症)を画像で光らせる検査です。CTと同時に撮るのがPET-CT
- がんの広がり(転移)・再発を調べるのが得意。全身を一度に調べられます
- 苦手なものもある:早期胃がん・小さいがん(1cm未満)・腎臓/膀胱/前立腺(薬が尿に出る)・脳(正常でも光る)・一部の肝臓がんなど
- 当日は5〜6時間前から絶食(水・お茶はOK、糖分NG)。前日は激しい運動を控える
- 検査時間は全体で2〜3時間。被ばくは約5〜15mSv
PET検査のしくみ
がん細胞の多くは、ふつうの細胞よりブドウ糖をたくさん取り込む性質があります。PET検査では、ブドウ糖によく似た薬(FDG)に、ごく弱い放射線を出す目印をつけて注射します。しばらくすると、糖をたくさん使う場所にFDGが集まり、その場所が画像で明るく写ります。
PETだけでは「体のどこか」がわかりにくいので、今はほとんどの施設でCTと同時に撮影(PET-CT)して、光った場所がどの臓器なのかを重ねて確認します。
検査の流れと当日の注意点

- 食事:検査の5〜6時間前から絶食。食べると血糖が上がり、FDGが筋肉などに取られて、がんが写りにくくなります
- 飲み物:水やお茶(無糖)はOK。ジュース・スポーツドリンク・砂糖入りのコーヒー、飴やガムもNG
- 運動:前日〜当日の激しい運動は、筋肉が光って見づらくなるので控えます
- 糖尿病の方:血糖値が高いと精度が落ちます。薬やインスリンの使い方は事前に施設の指示を確認してください
- 注射のあと:約1時間、横になって静かに待ちます(話す・動くと筋肉に集まるため)
- 終わったあと:薬は尿に出ていくので水分を多めに。薬の放射線は数時間で弱まりますが、当日は乳幼児や妊婦さんと長時間くっつくのは控えるよう案内されることが多いです
PET-CTでわかること・得意な病気
- がんの広がり(病期):リンパ節や遠くの臓器への転移を全身で一度に調べる
- 再発の確認:治療後に腫瘍マーカーが上がったときなど
- 治療の効き目の判定(悪性リンパ腫など)
- がん以外:てんかんの焦点、心臓の検査(心サルコイドーシスなど)、大型血管炎
PET-CTが苦手なこと(見つけにくいがん)
| 苦手な理由 | 例 |
|---|---|
| もともと糖をたくさん使う臓器 | 脳(正常でも明るく光る) |
| 薬が尿に出ていく通り道 | 腎臓・尿管・膀胱・前立腺のがん |
| 糖をあまり取り込まないがん | 早期胃がん、一部の肝細胞がん、一部の肺腺がん(すりガラス状のもの)など |
| 小さすぎる | 1cm未満の病変 |
逆に、がんでなくても炎症(肺炎・関節炎・手術のあと)や、正常な腸・筋肉・褐色脂肪が光ることもあります。そのため、PETで光った=がん、ではありません。反対に、壊死や粘液の多い腫瘍、嚢胞状の腫瘍、悪性度の低い腫瘍はFDGがあまり集まらず、写りにくいことがあります。また閉経前の女性では子宮内膜や卵巣に生理的に集まることがあり、PETの解像度の限界から小さな病変は評価しにくいこともあります。医師はCTや他の検査と合わせて判断します(FDGの生理的集積と各種腫瘍への集積と注意点・PET検査による褐色脂肪細胞へのFDG集積とは?)。
被ばくは大丈夫?
PET-CT全身の被ばくは約5〜15mSv(FDGの分+同時に撮るCTの分)です。必要な検査として受ける分には心配しすぎなくてよい量ですが、検診目的で毎年くり返すかどうかは、メリットと合わせて考えましょう。被ばくの目安は 「レントゲン・CTの被ばく量の記事」 で図にしています。
保険は使える?費用の目安
- 保険が使えるのは、早期胃がんを除くがんでほかの検査で病期・転移・再発の診断がつかない場合などに限られます(てんかん・心臓の病気・大型血管炎の一部も対象)
- 保険(3割負担)で約3万円前後が目安
- 症状のない人のがん検診(自費)は、施設によりおよそ10万円前後
まとめ
- PET-CTはブドウ糖に似た薬で、糖をたくさん使う場所を光らせる検査
- がんの転移・再発を全身で調べるのが得意
- 早期胃がん・泌尿器のがん・脳・小さい病変は苦手。炎症でも光る
- 当日は5〜6時間の絶食と前日の運動制限が大事
参考:日本核医学会「FDG PET, PET/CT診療ガイドライン」ほか。検査の時間・注意点・費用は施設により異なります。
▶ ほかの所見も調べる:健診・人間ドックの画像検査で言われやすい所見一覧
参考文献
- Boellaard R, Delgado-Bolton R, Oyen WJ, et al. FDG PET/CT: EANM procedure guidelines for tumour imaging: version 2.0. Eur J Nucl Med Mol Imaging. 2015;42(2):328-354. PubMed
- Mettler FA, Huda W, Yoshizumi TT, et al. Effective doses in radiology and diagnostic nuclear medicine: a catalog. Radiology. 2008;248(1):254-263. PubMed
- Lakhani A, Khan SR, Bharwani N, et al. FDG PET/CT Pitfalls in Gynecologic and Genitourinary Oncologic Imaging. Radiographics. 2017;37(2):577-594. PubMed
- Kazama T, Faria SC, Varavithya V, et al. FDG PET in the evaluation of treatment for lymphoma: clinical usefulness and pitfalls. Radiographics. 2005;25(1):191-207. PubMed
画像診断を無料で学べるコンテンツ

腹部画像診断を症例で学ぶ
4日に1回、朝6時に症例が届き、実際に画像をスクロールして読影する講座です。90症例以上・1年以上続く講座で、医師・医学生・放射線技師・看護師など10,000名以上が参加中です。
講座に参加する(無料) →
