胸部CTや腹部CTを読影していると、胃内に細長い高吸収の索状構造を多数認めることがあります。

一見すると、異物、寄生虫、出血、薬剤、医療デバイスなどを考えたくなるかもしれません。

しかし、実際には食後の胃内食物残渣、特に麺類、うどん、パスタ、餅などの粘性の高い食品がこのように高吸収に見えることがあります。

今回は、CTで胃内に高吸収索状構造を認めたときに知っておきたい、麺類・餅・錠剤などのCT所見、鑑別診断、読影時の注意点について整理します。

胃内の高吸収索状構造とは?

胃内の高吸収索状構造とは、CTで胃内に白く細長い線状・索状の構造が多数見える所見です。

胸部CTの下部スライスや腹部CTで偶然見つかることがあります。特に胸部CTでは食事制限がない状態で撮影されることも多く、食後の胃内容物がそのまま写り込むことがあります。

このような所見を見たときは、病的な異物や出血だけでなく、食物残渣を鑑別に入れることが重要です。

特に、胃が拡張しており、胃内に多数の細長い高吸収構造を認める場合は、麺類やうどん、パスタなどの摂取後である可能性があります。

麺類・うどん・パスタがCTで高吸収に見える理由

麺類や餅などは、消化管内で比較的高吸収に描出されることがあります。

一般に食物は軟部濃度から低吸収に近いものも多いですが、麺類、うどん、パスタ、餅などのように水分を含み、粘性が高く、まとまった形を保ちやすい食品では、CTで線状・塊状の高吸収構造として見えることがあります。

特に餅は、文献上も腸管内で高吸収の食物塊として描出され、小腸閉塞の原因となることが報告されています。

つまり、胃内に多数の高吸収索状構造を見た場合、画像だけで「異物」と決めつけるのではなく、直前の食事内容を確認すると診断の助けになります。

CTでの典型的な見え方

麺類や粘性の高い食物残渣は、CTで以下のように見えることがあります。

  • 胃内に多数の細長い索状高吸収を認める
  • うどん・パスタのように線状または蛇行する構造として見える
  • 胃内に食物残渣や液体貯留を伴う
  • 胃壁外へ突出せず、胃内腔に限局する
  • 体位やスライスにより形が変わって見えることがある
  • 病的な壁肥厚や周囲脂肪織濃度上昇を伴わないことが多い

この所見は、画像を見慣れていれば「胃内食物残渣」と判断しやすいですが、初見では寄生虫や異物のように見えて迷うことがあります。

読影時には、構造物が胃内腔に存在しているか胃壁外に連続していないか周囲に炎症所見がないかを確認することが大切です。

症例 60歳代男性

胃は拡張し、胃内に高吸収な索状構造を多数認めています。

胃内に麺類(パスタやうどんなど)が残っていることがわかります。

胃内高吸収の鑑別診断

胃内に高吸収域を認めた場合、食物残渣以外にも複数の鑑別があります。

1. 麺類・うどん・パスタなどの食物残渣

胃内に細長い索状高吸収を多数認める場合に考えます。食後であること、胃内に他の食物残渣があること、胃壁外へ連続しないことがポイントです。

2. 餅

餅は高吸収の塊状構造として見えることがあります。胃内だけでなく、小腸内に移動して腸閉塞の原因となることがあります。

特に正月前後や高齢者、咀嚼不十分な摂取歴がある場合には注意が必要です。

3. 錠剤・薬剤

錠剤やカプセル、薬剤の一部は胃内や腸管内で高吸収に見えることがあります。

薬剤によっては溶けかけの形状や層状の濃度差を示すこともあります。多数の点状・円形高吸収が胃内にある場合は、内服薬を鑑別に入れます。

4. 胃内出血・血腫

胃内出血では、胃内に高吸収内容物を認めることがあります。

ただし、食物残渣のような規則的な線状構造ではなく、液体状・塊状の高吸収として見えることが多いです。吐血、貧血、上部消化管出血の臨床情報が重要です。

5. 胃石・bezoar

胃石は、胃内に不消化物が集まって形成される塊です。

CTでは、胃内または腸管内に内部に気泡を含む不均一な腫瘤状構造として見えることがあります。食物残渣と異なり、比較的まとまった塊として見えることが多いです。

6. 誤飲異物

魚骨、爪楊枝、金属片、義歯、PTP包装などの誤飲異物が胃内に見えることがあります。

線状高吸収を示すことがあるため、胃壁穿孔、周囲脂肪織濃度上昇、腹腔内遊離ガスなどを伴わないか確認します。

7. 医療デバイス

経鼻胃管、胃瘻デバイス、内視鏡的クリップなどの医療デバイスも高吸収構造として見えることがあります。

体外からの連続性や、既往の処置歴を確認することが鑑別に有用です。

餅による腸閉塞とCT所見

麺類は胃内食物残渣として見えるだけで済むことが多いですが、餅は腸閉塞の原因になることがあります。

餅による小腸閉塞では、CTで小腸内に境界明瞭な高吸収の食物塊を認めることがあります。文献では、餅による小腸閉塞は通常のbezoarによる閉塞と比較して、病変が短く、CT値が高い傾向が報告されています。

餅による腸閉塞を疑うポイントは以下です。

  • 餅の摂取歴がある
  • 高齢者や咀嚼不十分な摂取がある
  • 小腸閉塞所見を伴う
  • 閉塞部位に高吸収の腸管内食物塊を認める
  • 同様の高吸収食物塊が胃内にも残っていることがある

餅による腸閉塞では保存的に改善することもありますが、腸管虚血、穿孔、腹膜炎の所見がないかを慎重に確認する必要があります。

錠剤・薬剤も消化管内で高吸収に見えることがある

胃内や腸管内の高吸収構造として、錠剤や薬剤も重要です。

内服直後の錠剤は、胃内に点状・円形・楕円形の高吸収として見えることがあります。徐放剤や金属成分を含む薬剤、制酸薬、鉄剤などでは高吸収として認識されることがあります。

薬剤の場合、麺類のような長い索状構造ではなく、点状・円形・錠剤様の形態をとることが多いです。

ただし、薬剤が溶けかけている場合には形状が不明瞭になることもあります。服薬歴、撮影直前の内服状況、胃内での分布を確認することが重要です。

食物残渣とbezoarの違い

胃内食物残渣とbezoarは、どちらも胃内の内容物として見えるため混同しやすいことがあります。

食物残渣は、食後に一時的に胃内に存在する未消化内容物です。麺類であれば線状・索状に見えることがあります。

一方、bezoarは不消化物が胃内や腸管内で集まり、比較的まとまった塊を形成した状態です。CTでは内部に気泡を含む不均一な腫瘤状構造として描出されることがあります。

項目 食物残渣 bezoar
性状 食後の未消化内容物 不消化物が集まった塊
形状 線状、索状、混在性 類円形、楕円形、腫瘤状
内部 食物により多彩 気泡を含む不均一構造が多い
臨床的意義 多くは生理的・一過性 胃排出障害や腸閉塞の原因になることがある

画像だけで判断しにくい場合は、症状、食事歴、胃排出障害の有無、腸閉塞所見の有無をあわせて評価します。

 

出典

  1. Sugimoto S, Shimono T, Takeshita T, et al. Clinical and CT findings of small bowel obstruction caused by rice cakes in comparison with bezoars. Japanese Journal of Radiology. 2019.
  2. Oka A, Ishihara S, Mikami H, et al. Retained Rice Cake: A Unique Upper Gastrointestinal Foreign Body. Internal Medicine. 2019.
  3. Park D, Lee J, et al. Small Bowel Obstruction Due to Mochi (Rice Cake). Case Reports in Gastroenterology. 2018.
  4. Imataki O, et al. Rice cake ileus. Clinical Case Reports. 2024.
  5. Delabrousse E, Lubrano J, Sailley N, Aubry S, Mantion GA, Kastler B. Small-bowel bezoar versus small-bowel feces: CT evaluation. American Journal of Roentgenology. 2008;191(5):1465-1468.
  6. Ko SF, Lee TY, Ng SH, et al. Small bowel obstruction due to phytobezoar: CT diagnosis. Abdominal Imaging. 1997;22:471-473.
  7. Ripollés T, García-Aguayo J, Martínez MJ, Gil P. Gastrointestinal bezoars: sonographic and CT characteristics. American Journal of Roentgenology. 2001;177:65-69.

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