先に結論:Hoffa症候群(膝蓋下脂肪体炎)

  • Hoffa症候群は膝蓋腱の後ろにある膝蓋下脂肪体(Hoffa脂肪体)が関節に挟まれて傷み、炎症を起こす状態で、膝の前の痛みの原因になります
  • MRIでは脂肪体の中の浮腫・出血(急性期)や、線維化・ヘモジデリン沈着による低信号(慢性期)が見られます
  • 膝蓋骨高位・膝の過伸展・使いすぎなどが背景になり、膝蓋腱炎・滑膜炎などと区別します
  • Hoffa病・ホッファ病・Hoffa脂肪体炎も同じ病態を指す呼び名です。膝蓋下脂肪体は英語でinfrapatellar fat padです

Hoffa症候群

  • 膝蓋下脂肪体(Hoffa‘s fat pad)の損傷および炎症(膝蓋下脂肪体炎)をHoffa症候群という。
  • 関節運動によってこの脂肪体が関節に挟まれる(インピンジメントされる)ことによるためFat pad impingementとも呼ばれる。
  • 膝蓋下脂肪体(Hoffa‘s fat pad)は関節包内滑膜外構造で、膝蓋腱の背側にあり衝撃を吸収するクッションの働きがある。
  • 膝前部の疼痛が見られる。
  • 繰り返す小さな外傷(使いすぎ)、インピンジメント、手術に伴う出血・炎症が主な原因とされる(Draghi 2016)。

※膝の前の痛みが続くときは、整形外科などの医療機関に相談してください。

呼び名の整理(Hoffa病・Hoffa脂肪体・英語)

呼び名 英語
膝蓋下脂肪体、Hoffa脂肪体(ホッファ脂肪体) infrapatellar fat pad、Hoffa’s fat pad
Hoffa病、Hoffa症候群、Hoffa脂肪体炎、膝蓋下脂肪体炎 Hoffa’s disease、fat pad impingement

Hoffa症候群の画像所見

  • MRIで膝蓋下脂肪体(Hoffa‘s fat pad)の異常信号を認める。
  • 急性期:出血(脂肪体であるため血管が存在する)、浮腫
  • 慢性期:低信号(線維化、ヘモジデリン沈着)ただし、Hoffa脂肪体の浮腫などの異常信号は無症状の人にもみられることがあり、画像所見だけで痛みの原因と断定しないよう注意が必要である。
  • 脂肪体の上外側(膝蓋腱と大腿骨外側顆のあいだ)に限った浮腫は、膝蓋骨の外側偏位や膝蓋骨高位と関連すると報告されている(Kim 2020)。

 

よくある疑問(Q&A)

Q. Hoffa病とHoffa症候群は違う病気ですか?
A. どちらも膝蓋下脂肪体が傷んで炎症を起こす状態を指す呼び名として使われています。

Q. MRIで脂肪体に浮腫があれば痛みの原因ですか?
A. そうとは限りません。無症状の人にも見られるため、痛む場所や診察所見とあわせて判断します(Draghi 2016)。

関連記事:膝窩動脈捕捉症候群(popliteal artery entrapment syndrome)の画像所見のポイント

参考文献:画像診断 Vol.36 No.7 2016 P671-672

  1. Draghi F, Ferrozzi G, Urciuoli L, et al. Hoffa’s fat pad abnormalities, knee pain and magnetic resonance imaging in daily practice. Insights Imaging. 2016;7(3):373-83. PubMed
  2. Jarraya M, Diaz LE, Roemer FW, et al. MRI Findings Consistent with Peripatellar Fat Pad Impingement: How Much Related to Patellofemoral Maltracking? Magn Reson Med Sci. 2018;17(3):195-202. PubMed
  3. De Maeseneer M, Wuertzer S, de Mey J, et al. The imaging findings of impingement syndromes of the lower limb. Clin Radiol. 2017;72(12):1014-1024. PubMed
  4. Kim JH, Lee SK. Superolateral Hoffa Fat Pad Edema and Patellofemoral Maltracking: Systematic Review and Meta-Analysis. AJR Am J Roentgenol. 2020;215(3):545-558. PubMed

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