そもそも骨盤骨とは?骨盤輪とは?
- 骨盤骨は、腸骨・坐骨・恥骨・仙骨から構成される。
- 腸骨・坐骨・恥骨はまとめて寛骨と呼ばれる。
- 骨盤輪とは、腸骨・坐骨・恥骨・仙骨で囲まれた輪っかのこと。
外傷性骨盤骨折の分類
外傷性骨盤骨折は上のように、
- 寛骨臼骨折(股関節の関節内骨折)
- 骨盤輪骨折(いわゆる骨盤輪に起こる骨折)
に分けられる。
- 寛骨臼骨折とは股関節の関節内骨折のことで、骨折線が臼蓋に及ぶもの。
- 臼蓋は寛骨臼の受け皿部分であり、大腿骨骨頭に被さる骨のこと。
それぞれさらに細かく分類される。
- 寛骨臼骨折はJudet&Letournel(ジュデ ルトゥルネル)分類により前方成分の骨折、後方成分の骨折に分類される。
- 骨盤輪骨折はAO分類により安定型、部分不安定型、完全不安定型に分類される。
それぞれについて見ていきましょう。
骨盤輪骨折のAO分類
- 安定型(A型)は骨折部が1箇所のみで、骨盤輪は安定している。頻度は最も多く半数以上を占める。腸骨翼骨折、恥骨または坐骨の単独骨折、仙骨・尾骨骨折がある。
- 部分不安定型(B型)は骨盤輪の前方が不安定。後方は、回旋に対して不安定なこともあるが、垂直方向の安定性は保たれている。20-30%を占める。恥骨・坐骨骨折、両側恥骨・坐骨枝骨折、恥骨結合離開、腸骨垂直骨折がある。
- 完全不安定型(C型)は骨盤輪が前方後方ともに破綻したもので、いずれも回旋・垂直方向に対して不安定。10-20%で最も頻度は低い。
※腸骨翼骨折はDuverney(デュヴェルネ)骨折、両側恥骨・坐骨枝骨折は跨座骨折、骨盤輪二重骨折はMalgaigne(マルゲーニョ)骨折とも呼ばれる。
寛骨臼骨折のJudet&Letournel(ジュデ ルトゥルネル)分類
その前に寛骨臼の前柱および後柱についてです。
- 寛骨臼は腸骨稜前部から恥骨に至る前柱と腸骨下部から坐骨に至る後柱から構成されている。
- Judet&Letournel分類はこの概念に基づいた分類。
- Judet&Letournel分類は以下の上の段のように、後壁、後柱、前壁、前柱、横骨折の基本骨折(Elementary fractures)と下の段のようにその組み合わせ(Associated fracture)で分類される。
参考文献:
- 股関節・骨盤の画像診断P217-227
- 臨整外 56巻5号 2021年5月 P602-611
- レジデントノート Vol.21 No.17(増刊)2020 P106-118