先に結論:頭部CTの皮膚・皮下の異常(皮下の多発石灰化・皮膚肥厚・耳介石灰化)

  • 頭部CTでは脳だけでなく頭皮・皮下・耳介にも目を向けると、全身の病気の手がかりが得られることがあります
  • 皮下に多発する石灰化を見たら、まず考えるのは動脈壁の石灰化(特に透析患者)で、スライスをまたいで線状につながるのが特徴です。そのほか石灰化上皮腫(毛母腫)・腎不全に伴う軟部組織の石灰化などがあり、腎不全・透析歴を確認すると多くはすぐに説明がつきます
  • びまん性の皮膚肥厚は皮膚炎など、脳回のような波打つ肥厚は肥厚性皮膚骨膜症を考えます
  • 耳介の肥厚・石灰化は凍傷や柔道などの外傷(耳介血腫の後遺症)のほか、再発性多発軟骨炎・副腎皮質機能低下症なども原因になります(Valea 2024)

頭部CTで皮膚や皮下に肥厚や石灰化を認めた場合、何を考える必要があるのでしょうか。

頭部CTで皮下に多発石灰化を認めた場合の鑑別

頭部CTで皮下に多発の石灰化を認めた場合、

  • 動脈壁の石灰化(特に透析患者)←透析・腎不全の患者ではまず考える
  • 石灰化上皮腫(calcifying epithelioma:CE):ただし多くは単発
    石灰化上皮腫(毛母腫、pilomatricoma)31病変のMDCTの検討では、80.6%に石灰化を認め、単発の石灰化が38.7%、多発が41.9%でした。MRIでは全例でリング状の造影効果を示したと報告されています(Yi 2018)。
  • 腎不全・透析に伴うカルシウム・リン代謝の異常(二次性副甲状腺機能亢進症など):骨の変化に加えて、軟部組織の石灰化を起こすことがある(Jevtic 2003)。
  • 炎症のあとの石灰化

などを考えます。

症例 70歳代男性 透析患者

頭部CTで皮下に多数の動脈石灰化を認めています。

症例 80歳代男性 透析患者

頭部CTで皮下に多数の動脈石灰化を認めます。

大動脈に動脈硬化が目立ち、両側腎萎縮を認めています。(腹部大動脈は術後。)

頭部CTの連続画像がこちら。動脈の石灰化ですので、連続性があることが確認できます。

症例 80歳代男性 長期透析

頭皮の血管に広汎な動脈硬化による石灰化を認めています。

石灰化上皮腫(毛母腫・pilomatricoma)のCT・MRI所見

石灰化上皮腫(pilomatricoma、毛母腫)は毛母から生じる良性の皮膚腫瘍で、硬い皮下のしこりとして触れます。

項目 特徴
年齢・部位 471例で平均18.2歳、0〜10歳が46.5%。顔に最も多く、次いで首(Hao 2026)
CT 石灰化を伴う境界明瞭な円形〜楕円形の皮下結節(31病変中80.6%に石灰化、Yi 2018。Hao 2026)
MRI 脂肪抑制T2強調像でリング状の高信号、造影でリング状の増強効果(21病変すべて、Yi 2018)。小児80病変の検討でもMRIで全例が造影され、T2強調像で高信号と低信号が混在し、皮膚・皮下にとどまっていた(Bulman 2016)

まれに悪性の毛母癌があり、再発・転移のおそれがあります(Park 2025)。

Q. 石灰化上皮腫は多発しますか?
A. 複数できることもあります。6個以上の多発は、筋強直性ジストロフィーなどの症候群を強く示唆するとされます(Ciriacks 2020)。気になるしこりがあれば皮膚科などで相談してください。

頭部CTで皮膚に肥厚を認めた場合の鑑別

びまん性肥厚を認めた場合は、

  • アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎などの皮膚炎

などでみられることがあるが、CTだけで原因を決めることは難しい。

皮下組織が波打つような肥厚を認めた場合は、

  • 肥厚性皮膚骨膜症(pachydermoperiostosis)(Demirpolat 1999)

などを考える。

関連:頭部CTでびまん性に皮膚の肥厚を見た際に考えるべき疾患

頭部CTで両側耳介の肥厚や石灰化を認めた場合の鑑別

  • 柔道などの激しく耳介が接触するスポーツなどの外傷による耳介血腫・慢性炎症
  • 凍傷(一般の人での耳介の石灰化・骨化の原因として最も多いとされる)
  • 再発性多発軟骨炎
  • 内分泌異常(副腎皮質機能低下症、下垂体機能低下症、甲状腺機能低下症など)

などを考える(Valea 2024)。内分泌異常に伴う耳介石灰化50例のまとめでは、副腎皮質機能低下症が36%と最も多く、下垂体機能低下症22%、甲状腺機能低下症18%と続きました(Valea 2024)。副腎皮質機能低下症に伴う耳介石灰化については系統的レビューもあります(Jörg 2025)。

参考・引用)画像診断 Vol.37 No.13 2017 P1287-1302

参考文献:画像診断 Vol.37 No.13 2017 P1289-1290

  1. Yi KM, Chen K, Wang L, et al. Pilomatricoma (calcifying epithelioma): MDCT and MR imaging findings in 31 patients with radiological-pathological correlation. Eur J Radiol. 2018;106:92-99. PubMed
  2. Jevtic V. Imaging of renal osteodystrophy. Eur J Radiol. 2003;46(2):85-95. PubMed
  3. Hao Q, Huang CG, Wu CY, et al. Clinical, Pathological, and Imaging Study of Pilomatrixoma: A Retrospective Study. Health Sci Rep. 2026;9(2):e71807. PubMed
  4. Ciriacks K, Knabel D, Waite MB. Syndromes associated with multiple pilomatricomas: When should clinicians be concerned? Pediatr Dermatol. 2020;37(1):9-17. PubMed
  5. Bulman JC, Ulualp SO, Rajaram V, et al. Pilomatricoma of Childhood: A Common Pathologic Diagnosis Yet a Rare Radiologic One. AJR Am J Roentgenol. 2016;206(1):182-8. PubMed
  6. Park A, Wan L, Khachemoune A. Pilomatrix carcinoma unveiled: a systematic review of clinical characteristics, pathogenesis, diagnostic puzzles, and management strategies. Arch Dermatol Res. 2025;317(1):278. PubMed
  7. Demirpolat G, Sener RN, Stun EE. MR imaging of pachydermoperiostosis. J Neuroradiol. 1999;26(1):61-3. PubMed
  8. Valea A, Nistor C, Ciobica ML, et al. Endocrine Petrified Ear: Associated Endocrine Conditions in Auricular Calcification/Ossification (A Sample-Focused Analysis). Diagnostics (Basel). 2024;14(12):1303. PubMed
  9. Jörg E, Milani GP, Lava SAG, et al. Petrified Ear in Adrenal Insufficiency: Systematic Literature Review. J Clin Med. 2025;14(19):6870. PubMed

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