頭蓋は一つの骨ではなく、複数の頭蓋骨が連結(癒合)してできているとをご存知ですか?
この、骨と骨を癒合した線を縫合線(ほうごうせん)というのですが、
- 鱗状縫合
- ラムダ縫合
- 冠状縫合
- 矢状縫合
などがあります。
今回はこの中でも、鱗状縫合(読み方は「りんじょうほうごう」英語表記で「Squamous suture」)について
- 鱗状縫合の場所
- 他の縫合の場所
- 起こりうる問題
などを、画像を交えつつ解説します。
鱗状縫合とは?場所はどこにあるの?
鱗状縫合は、下の頭蓋骨のフィギュアを横から見た側頭骨輪部と頭頂骨の間の縫合線です。
左右に1本ずつあります。
どうして鱗なんて名前がついているのかというと・・・
連結する両方の骨縁が片刃みたいりそり落とされた形状で、鱗と同じような重なりを示すため、鱗状縫合という名前がつきました。
頭蓋骨にあるその他の縫合は?
最初に述べました通り、頭蓋骨には鱗状縫合以外にも縫合があります。
これらの場所を示すと・・・
頭蓋骨の縫合線を動画でも確認ください。
では、続いて起こりうる問題についてみていきましょう。
鱗状縫合に起こりうる問題は?
頭蓋骨の縫合は、出生児はなく、成長とともに閉じてきて縫合線となります。
しかし、早期に閉じてしまうことがあるのです。
そのように早期に癒合してしまう状態を、頭蓋骨縫合早期癒合症といいます。
この頭蓋骨縫合早期癒合症は、出生時(または成長に伴い)に
- 頭蓋骨・顔面骨の変形
- 縫合部の骨性隆起
などが起こり、頭蓋内圧亢進や精神発達遅滞などが生じるのです。
治療法としては、脳を圧迫している頭蓋骨を解除と、外見異常の矯正を目的として外科的治療が行われます。
参考文献:
1)第9版 イラスト解剖学P176
2)解剖学講義 改定2版P495
脳神経疾患ビジュアルブックP5
病気がみえる vol.7:脳・神経 P410
最後に
ポイントをまとめますね。
- 鱗状縫合は、側頭骨輪部と頭頂骨間の縫合
- 頭蓋骨の縫合は、鱗状縫合の他に、矢状縫合(左右頭頂骨間)・ラムダ縫合(後頭骨と左右頭頂骨の間)・冠状縫合(前頭骨と左右の頭頂骨の間)などもある
- 早期に癒合してしまうことを、頭蓋骨縫合早期癒合症といい、問題となる
画像診断の際、頭蓋骨に線が見えるのは異常なことではなく、それを縫合といい正常なことであるとわかりました。
この場所と名前まで覚えていると、画像診断の際にも理解が早いでしょう。