左肺底区動脈大動脈起始症(systemic arterial supply to normal basal segments of the lung)
- かつてPryceⅠ型の肺分画症と呼ばれていたが、分画肺は存在しないことから今ではこのように呼ばれる。
- 正常の肺組織が大動脈から分岐する異常動脈により血流が供給される先天奇形。
- 左下葉に多い。
- 気管支の分岐や肺静脈、肺胞構造は正常。
- 無症状で偶発的に発見されることもあるが、大動脈圧負荷がかかり血痰や喀血、肺高血圧、うっ血性心不全の症状を来すこともある。
- 進行例では手術もしくは血管内治療(コイル塞栓術)の適応。
左肺底区動脈大動脈起始症の画像所見
- 大動脈から直接分岐する異常血管を認めることを確認する。この際に、静脈との瘻孔や栄養領域に気管支分岐や肺実質の異常がないことを確認する。
- 胸部下行大動脈からの分岐が大部分。
- 右に認める場合は、腹部大動脈から分岐することが多い。
- CTAで診断が容易。
- 末梢血管の拡張や肺うっ血・出血を反映したすりガラス影や容積減少が認められることがある。
参考:
- 困ったときの胸部の画像診断 P280-281
- 胸部のCT(第4版)P841