脳腫瘍全体のうち3割はグリオーマです。
グリオーマには星細胞系腫瘍の他に、
乏突起膠細胞腫などが含まれますが、
なんと8割を星細胞系腫瘍が占めています。
脳腫瘍を制するためには、星細胞系腫瘍をまず制することが必要です。
星細胞系腫瘍の種類
grade | 分類 | 組織像 | 予後 |
Ⅰ | 毛様細胞性星細胞腫(pilocytic astrocytoma) | ||
Ⅱ | びまん性星細胞腫(diffuse astrocytoma) | 核異型 | 5年以上 |
Ⅲ | 退形成性星細胞腫(anaplastic astrocytoma) | 核異型、細胞分裂 | 2-5年 |
Ⅳ | 膠芽腫(glioblastoma) | 核異型、細胞分裂 血管増生、壊死 |
1年未満 |
星細胞系腫瘍といえばまず上の4つをWHOのgradeとともに覚えるようにしてください。
中でもgliobalastomaおよびdiffuse astrocytomaがそれぞれグリオーマの3割を占め、anaplasitc astrocytomaが2割でこれに続きます。
浸潤型
限局型(特殊型)
- 毛様細胞性星細胞腫 grade Ⅰ
- 多形黄色星細胞腫 grade Ⅱ
- 上衣下巨細胞性星細胞腫 grade Ⅰ
※Grade ⅡとⅢ、ⅢとⅣの境界は病理学的に必ずしも厳密ではない。
グリオーマの特殊性
- いわゆる良性でも浸潤性の増殖をきたす。
- 再発を繰り返して、悪性化する。
- 脳脊髄液を来した播種性転移を来す。
- 良性でも発生部位により致命的。
- 膠芽腫には2つの発生パターンがある。
一般にgrade Ⅲ以上を悪性グリオーマという。
MRI画像と悪性度の相関
MRI画像では、グレードが上がると造影効果が生じて来たり、ADC値の低下を認める。
- WHO grade Ⅲ-Ⅳ→ADC低下(腫瘍細胞密度の増加)
- WHO gradeⅠ-Ⅱ→ADC軽度上昇
ただし造影効果の有無だけでは悪性度は判断できず、より悪性度とリンクするのが、灌流画像 rCBVであり、悪性ほど血流が増える。他、悪性ほどMRSのCho/NAAおよびCho/Crが高値になる。
グリオーマの基本的な治療方針
- なるべく多くの腫瘍組織を摘出。
- その後、化学療法と放射線治療を加える。
予後に影響する因子。
- 年齢
- Peformance status
- 組織型
- 播種の有無、浸潤の程度
- 摘出した割合
- 放射線療法
- 化学療法