薬剤や治療が原因で起こりうる骨軟部病変

  • ステロイド→骨粗鬆症、骨壊死
  • グルコン酸カルシウム→骨硬化・骨膜反応
  • プロスタグランジン→骨硬化・骨膜反応
  • ビタミンA→骨硬化・骨膜反応
  • ビスホスホネート→大腿骨非定型骨折、顎骨壊死 1)
  • BCG接種→骨炎・骨髄炎
  • ボリコナゾール(フッ素)→骨膜炎
  • 放射線治療→骨壊死、脆弱性骨折
  • 温熱治療→骨髄変化2)

ビスホスホネートによる骨軟部病変

    大腿骨非定型骨折(atypical femoral fracture)

    • 骨リモデリングが過剰に抑制されることによる脆弱化を背景として発生する骨折。
    • 主に骨吸収抑制薬の使用歴が3年以上の患者に合併症として見られることがある。
    • 骨吸収抑制薬には、ビスフォスフォネートや抗RANKL抗体などがあり、これらは破骨細胞による骨吸収を抑制し、骨破壊や高カルシウム血症などの臨床症状の改善に役立つが、これらの薬剤を長期投与すると、骨吸収の抑制によって骨の微細損傷の修復が障害されるため、骨が脆弱化し骨折に至る。
    • 通常の頸部骨折ではなく、好発部位は、大腿骨骨幹部および転子部遠位
    • 骨折部の外側骨皮質に限局性の骨肥厚が見られる(beaking or flaring)と報告3)されている。
    • 骨折線は、外側骨皮質から始まり、横骨折や短い斜骨折の形態をとることが多い。
    • しばしば両側性。

    症例 90歳代女性 慢性腎臓病と骨粗鬆症があり、毎年ビスホスホネートの注射を受けている。

    引用:radiopedia

    右大腿骨近位骨幹部の転子下領域において、外側皮質の限局性の肥厚を認めています。

    右大腿骨近位骨幹部外側皮質に限局性肥厚を認め、その部位には軟部組織浮腫および骨髄浮腫を伴っています。

    また、ごく淡い、転位を伴わない不完全骨折線を認めています。

    大腿骨非定型骨折(atypical femoral fracture)と診断されました。

    顎骨壊死

    CTで顎骨の骨吸収を認め、その後骨壊死や病的骨折を起こす。

    骨シンチや、FDG-PETにて集積を認める。

    早期診断治療をすることが求められている。

    BCG接種よる骨軟部病変

    小児のBCG接種後の副反応では、接種側の腋窩リンパ節腫大が最多。

    まれに、骨炎や骨髄炎を生じることがある。

    成人の場合は、膀胱癌に対するBCG膀胱注入療法でも骨軟部感染症が起こることが知られている。

    好発部位は長管骨。

    ボリコナゾールよる骨軟部病変

    ボリコナゾールはアスペルギルスやカンジダ症に用いられる抗真菌薬。

    フッ素を含んでおり、フッ素による骨新生もしくは骨膜炎に関与していると推測されている。

    症状は全身のさまざまな部位での筋肉痛と骨痛。

    レントゲン画像で骨膜反応を認める。

    参考文献:
    画像診断 vol.36 No.12 2016 P1151-1161
    1)RadioGraphics 29:1971-1984.2009
    2)Radiology 260:192-198,2011
    3)AJR 198:1144-1151,2012

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