Baker(ベーカー)嚢胞(Baker’s cyst)とは
- 膝窩の腓腹筋内側頭と半膜様筋腱の間にある滑液包に液体が貯留したもので膝関節腔と交通がある。
- 関節内圧の上昇に伴い関節液がこの空間に移動することで発生する。
- そのため、変形性膝関節症や半月板断裂など関節疾患を伴っていることが多い。
- 膝窩嚢胞と呼ばれることもある。
- 全身で最もよくみられる滑液嚢胞。
- 中年以降に見られることが多いが、小児や若年者に見られることもある。
- 基本的に無症状であるが、時に破裂することがあり、深部静脈血栓症(DVT)に似た症状を呈する。破裂すると画像では、腓腹筋内側頭・半膜様筋腱間の滑液包炎、内容液漏出を認める。
Baker嚢胞のMRI画像所見
- 境界明瞭な嚢胞性病変。T2WIで高信号。ただし内部に出血や滑膜肥厚、隔壁を伴うことあり。
- 腓腹筋内側頭と半膜様筋腱の間に突起様構造を認め、横断像では涙滴状(コンマ状)を呈する。
症例 70歳代男性
腓腹筋内側頭と半膜様筋腱の間にコンマ型の液貯留を認めています。
Baker嚢腫(Baker’s cyst)を疑う所見です。
症例 80歳代女性
こちらの症例も同様に腓腹筋内側頭と半膜様筋腱の間にコンマ型の液貯留を認めています。
Baker嚢腫(Baker’s cyst)を疑う所見です。
症例 40歳代男性 膝の外傷 4 か月前、患者は膝の痛み、腫れ、動きの制限
引用:radiopedia
ベーカー嚢胞は虚脱し、膝窩窩への液体の漏出を伴い近位端は不規則で、破裂点を示唆します。
Baker嚢腫(Baker’s cyst)(ベーカー嚢胞)の破裂と診断されました。