白血病の腫瘍化 Myeloid sarcoma(もとgranulocytic sarcoma ≒ chloroma)
- 骨髄芽球が骨髄以外の臓器に腫瘍を形成して増殖する病態(WHO2007)で、2001年のWHO分類でmyeloid sarcoma(MS)と新たに定義された。
- granulocytic sarcoma(顆粒球性肉腫) ≒ chloroma(緑色腫)は未熟な骨髄系細胞の腫瘍形成性腫瘍のみを指していたが、それに加え、単芽球、赤芽球、あるいは巨核球よりなる腫瘍がMyeloid sarcomaとして一括された。
- 骨髄性白血病以外に、真性多血症などの骨髄増殖性疾患にも合併することがある。
- 急性骨髄性白血病の3-8%に見られ、特に小児に多い。
- 小児の場合、部位は眼窩・皮下組織に多い。成人の場合、骨>筋肉、中枢神経、頭頸部に多いとされる。
- 骨髄芽球はmaturationがあってもなくてもよい。
- 骨髄芽球が確かな腫瘍を形成し組織の構造に影響を及ぼす場合以外は、いかなる臓器における浸潤もMyeloid sarcomaとは分類しない(2008年のWHO分類では、髄外に腫瘍を認めても、その部位に臓器損傷を認めない場合は、MSとは言わない、と追記された。)。
- 白血病や、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などの造血性悪性腫瘍においてはびまん性に赤色髄化(過形成骨髄)が起こる。また、このようなびまん性骨髄病変に加えて、骨外性腫瘤が見られやすい疾患としては、多発性骨髄腫、悪性リンパ腫、髄外造血、骨転移などがある。
- MSを生じやすい組織型は、M5a(monoblastic)、M5b(monocytic)、M4(myelomonocytic)、M2(myeloblastic with mutation)である。
- MSの治療には少量の局所放射線治療24Gyが有効。
白血病の腫瘍化(腫瘤形成)の画像診断
- 白血病の腫瘍化(腫瘤形成)はT2WIで骨髄や筋肉と同程度の比較的低信号〜高信号と様々。
- 造影にて乏血性で周囲の血管構造などを巻き込まない。という報告や、均一に増強されるという報告もある。
- 画像診断のみでは確定診断は困難。生検が必要。
参考)
・骨軟部疾患の画像診断 第2版P321
・頭頸部領域の画像診断 P835