海綿腎(SPONGE KIDNEY)
- 腎乳頭付近の集合管の嚢胞状の拡張を示す非遺伝性の先天異常。
- 大部分が両側性である。片側性のこともあり。
- 30歳以降の男性に発見されることが多い。
- 頻度は5,000~20,000人に1人。
- 乳頭部の多発性石灰化をきたす。
- 通常は無症状だが、腎結石を合併したり、感染を合併すると、発熱、疝痛、血尿を呈する。
- 合併する結石はリン酸カルシウム結石でアルカリ性である。
- 尿路結石の合併は2.6~21%と報告されている。
- 通常腎機能は保たれる。
- 排泄性尿路造影で乳頭部(腎錐体内)の刷毛状陰影・花房状陰影(brushing)、多発性結石(腎石灰症)が特徴的とされる。
症例 30歳代男性 海綿腎
両側に腎杯部から乳頭部の拡張及び石灰化あり。海綿腎の所見。
- CTでは腎石灰沈着症、腎結石を両側に認めるのが特徴。しばしば集合管内に石灰化を伴い錐体部(乳頭)に石灰化を認める。
- ただし、非対称性で区域性の石灰化を認めることが多い。つまり、乳頭(集合管)のすべてに石灰化を認めることもあるが、一部に限局することもある。また結石に大小の差がある。
※同じ髄質石灰化をきたす副甲状腺機能亢進症、尿細管アシドーシスではびまん性の石灰化を認める。
- エコーではechogenic medullaと呼ばれる腎髄質のエコー輝度上昇を認める。
※echogenic medullaは海綿腎のほか、慢性腎炎でも見られる。 - 治療は結石症と感染に対する治療を行う。
- 海綿腎を伴う病態には、片側肥大症/Beckwith-Wiedemann症候群、Ehlers-Danlos症候群/副甲状腺機能亢進症、先天性肥厚性幽門狭窄がある。
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参考)
Eur J Radiol 12:104-107,1991
知っておきたい泌尿器のCT・MRI P118-119