先天性胆管拡張症(総胆管嚢腫)(congenital bile duct dilatation:CBD)
・膵・胆管合流異常症により膵液が胆道へ逆流し、胆管が拡張したもの。
・10歳以下に好発する。
・3割が4歳以下、6割が10歳以下で発見される。
・ただし、成人以降発見されることも稀ではない。
・女児に多い(1:4)。
・ほとんどが膵管胆管合流異常を合併。
・腹部腫瘤、腹痛、黄疸を3徴とする。
・胆管炎や胆道悪性腫瘍の発生頻度が高い。そのため、拡張部を摘除することが原則。
・癌の発生部位は、総胆管と胆嚢。
・嚢状拡張→胆管癌、紡錘状拡張→胆嚢癌が多い。
・肝外胆管の嚢腫状、紡錘状の拡張をきたす。
・検査所見では、直接ビリルビン、ALP、γ-GTP、LAPが上昇する。
・診断にはMRCP、腹部エコー、CT、ERCP。
・胆道の排泄機能は胆道シンチグラフィで評価できる。
・分類には複数あり。最近はTodani分類が用いられることが多い。
Todani(戸谷)分類
[deco_bg image=”paper1″ width=””]Ⅰ:肝外胆管(総胆管・総肝管)拡張(80%)
・a:総胆管と総肝管の球状拡張
・b:総胆管遠位部の拡張
・c:総胆管と総肝管の円柱状拡張
Ⅱ:肝外胆管憩室(1.2~3%)
Ⅲ:総胆管瘤(十二指腸内総胆管嚢腫)(1.4~6%)
Ⅳ:多発性拡張
・a:肝外胆管と肝内胆管(20%)
・b:肝外胆管のみ(稀)
Ⅴ:多発性肝内胆管拡張(Caroli病) (稀) [/deco_bg]
・拡張部位による分類では、Ⅰ:総胆管拡張、Ⅱ:主要胆管拡張、Ⅲ:肝内末梢胆管拡張に分けられる。
・形よる分類では、嚢胞状(cystic)、紡錘状(fusiform)、憩室状(diverticular)に分けられる。
・数による分類では、単発か2個以上の多発(multiple)に分けられる。
・その他、膵管胆道合流異常の有無、肝門部の狭窄、胆石・胆砂・胆泥の存在の有無に着目する。
・治療は総胆管切除術と肝管-空腸吻合を行う。
[deco_bg image=”paper1″ width=””]80-C-43(医師国家試験)
先天性胆管拡張症について正しいのはどれか。2つ選べ。
a男児に多い。
b胆管膵管合流異常がみられる。
c胆汁中のアミラーゼ値が高い。
d胆管空腸吻合術が治療として第一選択である。
解答:b,d
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