腎芽腫(Wilms腫瘍)
・胎児期の腎組織の遺残(後腎芽組織)から発生。ここから前癌病変(Nephrogenic rest)が発生し、なんらかの刺激により腫瘍化したもの。
・小児悪性腎腫瘍の9割を占める。
・8割は1-5歳で診断。ピークは3-4歳。
・表面平滑な腹部腫瘤、血尿で発症する。
・腫瘤は正中線を超えることはない。(神経芽腫は正中線を超えることが多い。)
・小児腹部腫瘤で2番目に多い。一番多いのは神経芽腫。
・両側性が1割程度、多くは同時発症。
・まず局所浸潤し、その後、肺や肝に転移をする。
・両側性は、若年発症、合併奇形、nephrobalastomatosis(腎芽腫症:Nephrogenic restがびまん性に、あるいは多発性に存在する状態)の頻度が高い。
・二つの遺伝子異常あり。WT1遺伝子(無光彩、WAGR症候群、Denys-Drash症候群)、WT2遺伝子(過成長、片側肥大、Beckwith-Wiedemann症候群、Perlman症候群)
・超音波では不均一な腫瘤。
・CTでは低吸収で、不均一な造影効果を示す。
・石灰化が10%以下。
・治療は、3者集学療法(手術・放射線・化学療法)。主な化学療法はvincristine、actinomycinD、adriamycin。