類上皮腫、類表皮嚢胞(類上皮嚢腫)epidermoid cystとは?
- 原発性脳腫瘍の1%以下。
- 表皮の一部、ケラチンやcholesterolが迷入して形成された異所性嚢胞。嚢胞壁は扁平上皮で覆われる。
- 汗腺、皮脂腺、毛髪などの皮膚の付属器を含まない。(含むのが類皮腫(dermoid)。)
- 類上皮腫は類皮腫の10倍程度あるとされている。
- 好発年齢は40-60歳。
- 先天性と後天性のものがある。後天性は外傷によるものが多い。
- 半数は小脳橋角部に生じ、他、中頭蓋窩、脊柱管、板間層などにもできる。
- 左右に偏在することが多く、一般には嚢胞変性を呈するため、epidermoid cystと称される。
- 症状は部位によってさまざまであるが、小脳橋角部では、脳神経症状やめまいなど。
- 良性腫瘍であるが、全摘しないと再発することがある。
画像所見
- MRIでは内部の内容物によっても異なるが、通常はT1WIで低信号で蛋白濃度が高くなると高信号となり、T2WIでは内部がやや不均一であることが多い。
- DWIで著明な高信号を示すことが特徴。
- 10~25%で石灰化を伴う。
- 増強効果はないか、あってもわずかで辺縁に限局。
- まれにCTで高吸収値、T1WIで高信号を示すことがあり、それぞれdense epidermoid、white epidermoidとよばれる。
症例 60歳代男性
右の小脳橋角部にDWIで著明な高信号、ADC信号低下を示す腫瘤あり。
T2WIでは高信号、T1WIでは低信号を示しています。
類上皮嚢腫(epidermoid cyst)を疑う所見です。
鑑別診断は?
- くも膜嚢胞:CTでは鑑別困難。DWIが有用。
- 嚢胞性成分の多い神経鞘腫
- 類皮腫:CTで脂肪があれば類皮腫を疑う。
参考文献)よくわかる脳MRI p200-201