左上大静脈遺残(persistent left suprior vena cava:PLSVC)とは?
- 胸部における静脈変異の中で最多。
- 健常人で0.4%。先天性心疾患患者では4%。
- 左上大静脈遺残の82-90%で、右上大静脈も存続。両者を吻合する左腕頭静脈は65-75%で欠損するが、残っていることもある。
- 右上大静脈が存続している場合は重複上大静脈double SVCの形をとる。
- 遺残静脈は大動脈弓や左肺動脈の腹側を下降し、拡張した冠状静脈洞を経由して右房へ還流する。
- 胸部単純写真正面像で大動脈弓部外側に帯状影を形成する。
- 稀に総or部分肺静脈還流異常の際に見られる垂直静脈が一見、左上大静脈遺残に見えることがあるので注意する。
症例 60歳代女性
冠状静脈洞を経て右房へ還流する左上大静脈遺残を認めています。
症例 60歳代女性
同様に左上大静脈遺残を認めています。
なお(右)上大静脈にはリザーバーカテーテルが留置されています。
この症例を動画(無音)でチェックする。
参考)画像診断 vol.31 No.5 2011 体循環静脈 伊藤雅人先生ら