先に結論:鼻茸(鼻ポリープ)とは

  • 鼻茸(はなたけ)は、慢性副鼻腔炎やアレルギーで炎症が続いた鼻・副鼻腔の粘膜がむくんでぶら下がった、やわらかいポリープです。中鼻道に多く、鼻づまり・においがわからない・鼻水の原因になります
  • 両側に多発し、においの低下が強く、喘息を伴う場合は、再発しやすい好酸球性副鼻腔炎(指定難病)を考えます
  • CTでは鼻の中や副鼻腔に、境界がはっきりした低い濃度のかたまりとして見えます。片側だけの場合は、上顎洞から後鼻孔へのびるポリープや、腫瘍(内反性乳頭腫など)との区別が必要です。治療は点鼻ステロイド・内服薬、内視鏡手術、重症例では生物学的製剤もあります

※鼻づまりやにおいの低下が続くときは、耳鼻咽喉科を受診してください。

鼻茸(nasal polyp)とは?

  • 鼻腔にできる炎症性ポリープ。
  • 鼻炎や副鼻腔炎などの分泌物によって刺激され続けた粘膜が浮腫状に肥厚して生じる。
  • 多くは慢性副鼻腔炎や鼻アレルギーなどの症状の1つとして出現する。
  • 中鼻道に最も多く見られる。
  • 好酸球を中心とする炎症が大きな役割を果たす。
  • 鼻閉および副鼻腔炎の増悪を招く。
  • ほとんどが多発、両側性。日本では、両側性・鼻茸の有無・血中好酸球比率・CTでの篩骨洞優位の陰影を点数化するJESRECスコア(11点以上)で好酸球性副鼻腔炎を診断します。血中好酸球増多(>5%)、CTでの篩骨洞病変、気管支喘息、アスピリン・NSAIDs不耐症は術後再発と関連します。生物学的製剤では、抗IL-4/IL-13作用をもつデュピルマブが、全身ステロイドや手術歴のある重症の鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎の第3相試験(SINUS-24/52)で、プラセボに比べ24週時点の鼻茸スコア・鼻閉・CTのLund-Mackayスコアをいずれも有意に改善しました。CTの副鼻腔陰影は治療効果の評価にも用いられます。

画像診断

  • 鼻内および副鼻腔内に境界明瞭、表面平滑で広基性の大小の腫瘤。
  • ポリープは粘液同様低いCT値を示すが、線維性成分が増生してくるとCT値も軽度上昇してくる。

鼻茸は画像でどう見える?(検査ごとの見え方)

検査 鼻茸の見え方
鼻の内視鏡(ファイバー) 中鼻道などから垂れ下がる、灰白色〜淡いピンク色の半透明でつるっとした、ぶどうの房のようなかたまり
単純X線(レントゲン) 副鼻腔が白くくもる(透過性の低下)ことはわかるが、ポリープそのものの形や広がりはわかりにくい
CT 鼻腔・副鼻腔の境界明瞭で低い濃度のかたまり。どの副鼻腔に広がっているかの地図づくりと手術前の評価に用いる第一の検査
MRI T2強調像で高信号(白)の腫瘤。造影では表面の粘膜が縁取るように造影される。真菌症や腫瘍が疑われるときに追加する
  • 副鼻腔の炎症性疾患では、CTが診断と病変の広がりの評価の中心で、MRIは真菌性副鼻腔炎・膿瘤・悪性腫瘍が疑われるときに補助的に用います(Eggesbø 2006)。
症例 40歳代男性 前鼻腔および後は中咽頭まで及ぶ鼻茸

nasal polyp

右上顎洞から鼻腔に粘膜肥厚及び腫瘤影あり。

右では前鼻腔に及ぶポリープを認めています。

横断像では、鼻腔〜中咽頭まで連続する低吸収ポリープを認めています。

鼻茸と診断されました。

鼻茸の画像で迷うとき(Q&A)

Q. 片側だけの鼻茸はCT画像で何を考えるか?
A. 代表は上顎洞後鼻孔ポリープ(antrochoanal polyp)である。上顎洞の粘膜から生じ、副口から中鼻道へ出て、後方の後鼻孔・上咽頭へのびる。若い人に多く、CTで調べた54例の平均年齢は22.9歳であった(Başer 2019)。

Q. 鼻茸はレントゲンでわかるか?
A. 単純X線では副鼻腔のくもりはわかるが、鼻茸か、粘膜が厚くなっただけか、腫瘍かの区別は難しい。鼻茸の広がりや片側性かどうかの確認にはCTを用いる。

Q. 内反性乳頭腫とはどう見分けるか?
A. CTで腫瘍の付着部に一致した限局性の骨肥厚(focal hyperostosis)がみられることがあり、76例の検討では骨肥厚の位置が手術で確認した起始部と89.1%で一致した(Lee 2007)。MRIのT2強調像や造影T1強調像で脳回のような縞模様(convoluted cerebriform pattern)を示す腫瘤は内反性乳頭腫を示唆し、その中に壊死があれば癌の合併を強く疑う(Ojiri 2000)。鼻茸に似た画像でも片側性の場合はこれらを確認する。

あわせて読みたい:内反性乳頭腫(inverted papilloma)のCT・MRI画像所見

参考文献

  1. Fokkens WJ, Lund VJ, Hopkins C, et al. European Position Paper on Rhinosinusitis and Nasal Polyps 2020. Rhinology. 2020;58(Suppl S29):1-464. PubMed
  2. Tokunaga T, Sakashita M, Haruna T, et al. Novel scoring system and algorithm for classifying chronic rhinosinusitis: the JESREC Study. Allergy. 2015;70(8):995-1003. PubMed
  3. Bachert C, Han JK, Desrosiers M, et al. Efficacy and safety of dupilumab in patients with severe chronic rhinosinusitis with nasal polyps (LIBERTY NP SINUS-24 and LIBERTY NP SINUS-52): results from two multicentre, randomised, double-blind, placebo-controlled, parallel-group phase 3 trials. Lancet. 2019;394(10209):1638-1650. PubMed
  4. Eggesbø HB. Radiological imaging of inflammatory lesions in the nasal cavity and paranasal sinuses. Eur Radiol. 2006;16(4):872-88. PubMed
  5. Lee DK, Chung SK, Dhong HJ, et al. Focal hyperostosis on CT of sinonasal inverted papilloma as a predictor of tumor origin. AJNR Am J Neuroradiol. 2007;28(4):618-621. PubMed
  6. Ojiri H, Ujita M, Tada S, et al. Potentially distinctive features of sinonasal inverted papilloma on MR imaging. AJR Am J Roentgenol. 2000;175(2):465-468. PubMed
  7. Başer E, Sarıoğlu O, Arslan İB, et al. The effect of anatomic variations and maxillary sinus volume in antrochoanal polyp formation. Eur Arch Otorhinolaryngol. 2020;277(4):1067-1072. PubMed

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