先に結論:橋出血

  • 橋出血は脳底動脈から出る細い穿通枝の破綻で起こる高血圧性脳出血で、脳幹出血の多くは橋出血です
  • 意識障害・著しい縮瞳(pinpoint pupils)・眼球の正中固定・四肢麻痺・呼吸障害を起こし、大きな出血では予後不良です
  • 原則として手術の適応はなく、第4脳室への穿破・水頭症を確認します。若年者や非典型的な形では海綿状血管腫なども考えます

橋出血

・主な責任血管は脳底動脈から分岐する橋への回旋枝(橋枝)から脳幹実質へ穿通する穿通動脈。ここは、出血だけではなく、ラクナ梗塞や、分枝粥腫型梗塞の好発部位でもある。

・意識障害、眼球の正中固定、高度縮瞳(pinpoint pupils)、両眼の下方沈下(ocular bobbing)など。

・脳幹を直接損傷するため、生命予後が不良な事がある。橋出血は脳内出血の約10%を占め、系統的レビューでは早期死亡率48.1%で、入院時の意識レベルと出血の大きさが最も一貫した予後因子でした。海綿状血管腫による橋出血は高血圧性に比べ予後がよいと報告されています。

・橋出血が上の中脳、下の延髄に進展することはあるが、延髄や中脳の原発の高血圧性出血はまれ。なので、脳幹出血といえば基本、橋出血。

・クモ膜下腔穿破や、第4脳室穿破をきたすことがある。

・出血は橋の中心部〜傍正中部に好発。CTでの血腫の広がりによる分類(Chung分類)では、片側被蓋の小出血の生存率94.1%に対し、底部・被蓋型26.1%、両側被蓋型14.3%、広範型7.1%と、広がりによって予後が大きく異なる。

・CTで橋は第4脳室の前、左右の小脳にはさまれた位置にあり、血腫は白い高吸収域です。29例の検討では、4mLを超える血腫・腹側(底部)の出血で予後が悪く、原因は高血圧が90%でした(Wessels 2004)。

pinpoint pupils(針先瞳孔)・呼吸様式とは

・pinpoint pupilsは瞳孔が針の先のように小さくなる状態で、橋被蓋を通る瞳孔を開く交感神経路が両側で障害されて起こります。オピオイド中毒でも起こります。

・呼吸は障害の高さで乱れ方が変わり、橋では息を吸い切って止まる持続性吸息呼吸、延髄に近いと不規則な失調性呼吸がみられます。

突然の意識障害や手足の麻痺があれば、すぐに救急車を呼んでください。

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動画で学ぶ橋出血

症例 70歳代男性 突然の意識消失(GCS 3)

橋出血 CT 横断像
引用:Radiopaedia(Pontine hemorrhage)

単純CTで、橋の中央に大きな高吸収域(血腫)があります。血腫は背側の第4脳室へ広がっており、脳室内に穿破しています。高齢者で、高血圧性の橋出血が最も考えられる症例です。

参考文献

  1. Behrouz R. Prognostic factors in pontine haemorrhage: a systematic review. Eur Stroke J. 2018;3(2):101-109. PubMed
  2. Rabinstein AA, Tisch SH, McClelland RL, et al. Cause is the main predictor of outcome in patients with pontine hemorrhage. Cerebrovasc Dis. 2003;17(1):66-71. PubMed
  3. Chung CS, Park CH. Primary pontine hemorrhage: a new CT classification. Neurology. 1992;42(4):830-4. PubMed
  4. Wessels T, Möller-Hartmann W, Noth J, et al. CT findings and clinical features as markers for patient outcome in primary pontine hemorrhage. AJNR Am J Neuroradiol. 2004;25(2):257-60. PubMed

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