先に結論:小脳出血
- 小脳出血は小脳歯状核の周りに多く、上小脳動脈の分枝の破綻で起こります。頭痛・回転性めまい・嘔吐・歩けないなどで発症します
- 脳幹の圧迫・第4脳室の閉塞による水頭症で急に悪化することがあり、神経症状の悪化・脳幹の圧迫・水頭症・血腫量15mL以上では手術を考えます(AHA/ASA 2022)
- 小脳扁桃ヘルニア・上行性テント切痕ヘルニアの徴候(大後頭孔や四丘体槽の消失)に注意します
小脳出血
・主な責任血管は上小脳動脈の分枝。歯状核周囲に好発する。
・頭痛、回転性めまい、嘔吐、小脳失調、歩行障害、眼球運動の障害(注視麻痺)など。めまいや吐き気だけのこともあり、臨床症状だけで正しく診断できたのは75例中23%でした(Dunne 1987)。
・血腫による脳幹への直接圧排や第4脳室圧排による閉塞性水頭症のリスクあり。
・大後頭孔ヘルニア(小脳扁桃ヘルニア)および上行性テント切痕ヘルニアの合併に注意。
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動画で学ぶ小脳出血4症例
CTで評価すること
- 血腫量:ABC/2法(長径×それに直交する径×出血のあるスライス厚の合計÷2)で、ベッドサイドで短時間に推定できる
- 第4脳室の状態:正常・圧排・消失の3段階に分け、血腫の大きさや意識レベルと合わせて治療方針を決めるプロトコルが報告されている
- 第4脳室のほか、脳底槽・四丘体槽の狭小化、側脳室・第3脳室の拡大(水頭症)も確認する
- CTAでのspot sign(血腫内の点状の造影):血腫増大の予測因子(感度91%、特異度89%)
手術を考える所見
Kirollosらは第4脳室の圧排の程度に基づく治療プロトコルを前向きに適用し、第4脳室が消失した例ではすべて血腫除去を行った。AHA/ASAの2022年ガイドラインでは、神経症状が悪化している例、脳幹圧迫や脳室閉塞による水頭症のある例、血腫量15mL以上の例では、直ちに外科的血腫除去を行うことが推奨されている。ただし大きさだけでは決まらず、最大径3cmを超えても第4脳室の圧排が軽い25例の60%は血腫除去を要しませんでした(Kirollos 2001)。
症例 60歳代男性 6時間続く頭痛とふらつき

引用:Radiopaedia(Cerebellar hemorrhage)
単純CTで、左小脳半球に約3.4cmの楕円形の高吸収域(急性期血腫)があり、周囲にわずかな低吸収の浮腫を伴います。血腫により第4脳室は圧排されています。コントロール不良の高血圧が原因と考えられた典型的な小脳半球出血です。
小脳出血でよくある疑問(Q&A)
Q. 小脳出血はCT画像でどう見えますか?
A. 急性期の血腫は小脳半球や虫部の白い(高吸収の)かたまりとして写り、時間がたつと吸収値が下がっていきます。小脳出血は脳出血全体の9〜10%を占めます(Fischer 2026)。
Q. 胃腸炎と間違われることはありますか?
A. あります。病理で確認された35例のうち4例(11%)が最初は別の病気と診断され、うち3例は胃腸炎でした(Lee 2017)。急な頭痛・めまい・ふらつきで歩けない・くり返す嘔吐があるときは、早めに医療機関を受診してください。
参考文献
- Greenberg SM, Ziai WC, Cordonnier C, et al. 2022 Guideline for the Management of Patients With Spontaneous Intracerebral Hemorrhage: A Guideline From the American Heart Association/American Stroke Association. Stroke. 2022;53(7):e282-e361. PubMed
- Kirollos RW, Tyagi AK, Ross SA, et al. Management of spontaneous cerebellar hematomas: a prospective treatment protocol. Neurosurgery. 2001;49(6):1378-86. PubMed
- Kothari RU, Brott T, Broderick JP, et al. The ABCs of measuring intracerebral hemorrhage volumes. Stroke. 1996;27(8):1304-5. PubMed
- Wada R, Aviv RI, Fox AJ, et al. CT angiography “spot sign” predicts hematoma expansion in acute intracerebral hemorrhage. Stroke. 2007;38(4):1257-62. PubMed
- Dunne JW, Chakera T, Kermode S. Cerebellar haemorrhage–diagnosis and treatment: a study of 75 consecutive cases. Q J Med. 1987;64(245):739-54. PubMed
- Lee SH, Stanton V, Rothman RE, et al. Misdiagnosis of cerebellar hemorrhage – features of ‘pseudo-gastroenteritis’ clinical presentations to the ED and primary care. Diagnosis (Berl). 2017;4(1):27-33. PubMed
- Fischer MA, Rjepaj C, Steckbeck R, et al. Cerebellar Hemorrhage. In: StatPearls [Internet]. Treasure Island (FL): StatPearls Publishing; 2026. PubMed
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