転移性副腎腫瘍(metastasis to adrenal gland)
・副腎結節を偶発的に認める(incidentaloma)ことは、2−9%。
・通常は腺腫が大部分であるが、担癌患者においては副腎結節の27%が転移性腫瘍。
・全身臓器のうち転移しやすいのは、肺、肝、骨についで副腎は4位。
・副腎に転移しやすい癌腫は、肺癌、乳癌、悪性黒色腫、腎細胞癌、膵癌、甲状腺癌、大腸癌、悪性リンパ腫。
・副腎転移のうち肺癌が40%、乳癌が20%と高率。
・副腎への弧発転移例における原発巣は肺癌(45%)、腎癌(24%)、大腸癌(13%)の順。
転移性副腎腫瘍の画像診断
・転移性副腎腫瘍と副腎腺腫の鑑別が重要。大きな鑑別点は結節内の脂肪であり、いかにして結節内の脂肪を描出し評価するかが問題。
・副腎腺腫では、その細胞内に豊富な脂肪の存在により一般的に病変が低吸収となる。一方転移性副腎腫瘍では、通常細胞内に脂肪は存在しない。
CTでの鑑別
・担癌患者における副腎腺腫の診断→CT値≦10HUならば、感度71%、特異度98%、20HUならば、感度88%、特異度84%と報告されている。
・また、造影剤投与後10分程度でのCT値が、30HU以下、washout rateが50%以上であれば腺腫の可能性が高いとされる。
MRIでの鑑別
・chemical shift imagingを用いることによりCTよりも微小な脂肪の存在を検出可能。
・chemical shift imagingを用いて脾の信号強度を基準とした場合、担癌患者における副腎腺腫の診断能は感度87%、特異度92%であった。
FDG-PETによる鑑別
・CT、MRでの評価は、結節内に脂肪を検出することが鑑別点となるが、腺腫全体でも細胞内に脂肪を含んでいるのは70%ほどと言われる。
・転移性副腎腫瘍において、SUVmax=3.1をcut offとした場合、FDG PET単独の評価では、感度98.5%、特異度92%であるが、PET/CT融合画像を用いた場合には感度100%、特異度98%に上昇したとの報告あり。