先に結論:膝の内側側副靱帯(MCL)損傷のMRI

  • MCL損傷は、膝の外側から力が加わって膝が内側に折れる(外反)ときに起こる、膝の靱帯損傷で最も多いケガで、膝の内側の痛み・腫れが出ます
  • MRI(冠状断の脂肪抑制T2/PD)では、grade1:靱帯は保たれ周りがむくむ、grade2:一部が切れる、grade3:完全に切れるに分けます。大腿骨側で切れることが多いです
  • 多くは装具などの保存療法で治りますが、前十字靱帯・半月板の損傷の合併を必ず確認します
  • 英語はmedial collateral ligament(MCL)で、脛骨側副靱帯(tibial collateral ligament)とも呼ばれます。浅層は大腿骨内側上顆のすぐ近位・後方から脛骨の内側に付着します

※膝をひねって内側が痛む・腫れる・ぐらつくときは、整形外科を受診してください。

膝の内側側副靭帯(MCL:medial collateral ligament)の解剖

  • 浅層と深層があり、通常言うMCL(medial collateral ligament)は浅層を指す。
  • MCL浅層は大腿骨内側上顆の3.2mm近位・4.8mm後方に付着し、脛骨には2か所で付着、遠位の付着部は関節線から61.2mm遠位にある。長さは平均94.8mm(LaPrade 2007)。なので絞って冠状断像で撮影すると欠けてしまうので注意。
  • MCL浅層は半月板との直接の連続はない。

  • MCL深層は内側半月板に付着し、meniscofemoral、meniscotibial ligamentとも呼ばれる。別名、関節包靭帯。

MCL複合体の3つの構造と役割

構造 主な役割
浅層MCL(sMCL) 外反を止める主役
深層MCL(dMCL) 膝が伸び気味のときの脛骨の外旋を抑える
後内側複合体(後斜靱帯:POL) 脛骨の内旋を抑える。膝を伸ばした状態で評価する

(Runer 2026)

内側側副靭帯断裂MCL tear

  • 膝の靭帯損傷の中で頻度が高く、前十字靱帯損傷との合併も多い(Runer 2026)。下腿の外反により生じやすい。
MCL断裂のGrade分類
  • grade1:微細断裂(sprainまたはstrain)。靭帯のelongationが主体で、機能的な障害にはならない。治療も保存的。
  • grade2:部分断裂
  • grade3:完全断裂

と分類される。grade2・3の区別は、装具の期間や合併損傷の評価の参考になる。ただし、MRIによるgrade分類は臨床的なgradeと必ずしも一致せず、特にgrade3の判定は不正確になりやすいと報告されている(Schweitzer 1995)。MCL損傷で感度の高いMRI所見は、靱帯周囲(筋膜)の浮腫と、周囲脂肪との境界の不明瞭化である。重症度は診察所見と合わせて判断します(Runer 2026)。

grade MRI(脂肪抑制T2/PD冠状断)の見え方
grade1 靱帯は連続し、周囲に浮腫(高信号)
grade2 靱帯内の高信号・一部の線維の断裂、腫大
grade3 靱帯の連続性が途切れる
  • 浅層本体はintactで見えるがその周囲に浮腫性変化を伴うものがgrade1。保存療法が基本で、治療方針への影響は小さい。
  • あまりに厚いものは、断裂後の瘢痕組織に置換されているもので、健常ではない。厚いから正常ではない。
  • 浅層のさらに外側に層が見えることがあり、縫工筋などの筋膜が見えている。縫工筋は半腱様筋、薄筋とともに鵞足を形成する。これらの筋と内側側副靱帯の関係(横断像)はこちら。
  • MCL断裂の半数以上は大腿骨側で発生する。急性の浅層MCL断裂(grade3)239例では、近位25%(大腿骨側)の断裂が65.4%と最多で、遠位(脛骨側)は14.6%でした(von Rehlingen-Prinz 2025)。
  • MCLは関節外構造物であり、単独損傷による関節液貯留は見られない。
  • 関節包(MCL深層)が断裂しない限り関節鏡では確認されない。
  • 保存的治療が多いが、grade3で前十字靭帯損傷の合併がある場合は再建術が選択されることあり。
症例 30歳代男性 正常例

まずは正常な内側側副靱帯のMRI画像をチェックしてみましょう。

続いて損傷〜断裂の症例です。
症例① 80歳代女性 grade1

MCL

浅層本体はintactで見えるがその周囲に浮腫性変化を伴うもの→grade1

 症例② 30歳代男性 grade2

MCL

右の内側側副靱帯は腫大し、周囲に液体貯留を認めています。

Grade2相当です。

 

関連記事:半月板断裂・損傷のMRI画像所見|grade分類(1〜3)と断裂の判断

実際の画像で確かめるには、画像診断cafeの膝MRIの正常解剖ツールで、スライスを動かしながら構造をタップすると名前が表示されます(無料・登録不要)。

参考文献:膝MRI 第3版 P100-108

  1. LaPrade RF, Engebretsen AH, Ly TV, et al. The anatomy of the medial part of the knee. J Bone Joint Surg Am. 2007;89(9):2000-10. PubMed
  2. Schweitzer ME, Tran D, Deely DM, et al. Medial collateral ligament injuries: evaluation of multiple signs, prevalence and location of associated bone bruises, and assessment with MR imaging. Radiology. 1995;194(3):825-9. PubMed
  3. von Rehlingen-Prinz F, Rilk S, Krishnan KR, et al. Tear location of superficial medial collateral ligament tears: validation of a magnetic resonance imaging-based classification system. Am J Sports Med. 2025;53(6):1400-1408. PubMed
  4. Runer A, Amis A, Smigielski R, et al. Current concepts in isolated and combined injuries of the medial collateral ligament complex-Part I: anatomy, biomechanics, clinical and radiological examination of the medial collateral ligament of the knee. Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc. 2026. PubMed

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