先に結論:アトピー性脊髄炎

  • アトピー性脊髄炎はアトピー性皮膚炎・喘息などのアトピー素因や高IgE血症のある人に起こる脊髄炎で、手足の先のしびれ・異常感覚が主な症状です
  • MRIでは頸髄の後索に多いT2高信号で、造影されることがあります。症状が良くなっても画像所見が残ることがあります
  • 多発性硬化症・視神経脊髄炎・膠原病・亜急性連合性脊髄変性症などとの区別が必要で、ステロイドや血漿交換などで治療します
  • 読み方は「アトピーせいせきずいえん」です

アトピー性脊髄炎の画像診断(atopic myelitis)

・髄液中、あるいは血清中に好酸球が増加、あるいはアトピーの既往のある脊髄炎では本症を疑う。

定義(1997年Kiraら。2012年にIsobeらがエビデンスに基づく初の診断基準を提唱)
①アトピー性疾患(アトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎など)に罹患している。または、高IgE血症を有する患者に発症する原因不明の脊髄炎。
②画像的にMSの診断基準を満たさない。

・急性〜亜急性に発症する四肢遠位部の異常感覚が最も多い。

・治療として、ステロイドパルス療法、γグロブリン静注、血漿交換など。

・画像所見としては、頸髄が多く、典型的には後索に好発する。・生検では好酸球性炎症が示され、ダニ抗原特異的IgEの存在も特徴とされる。

画像所見

・MRIではT2WIで高信号を呈し、造影T1WIで増強効果を認める。

・症状軽快後も画像所見は持続することが多く、脊髄腫瘍との鑑別が困難な症例もある。

・鑑別として、多発性硬化症、シェーグレン症候群やSLEに伴う脊髄炎、亜急性連合性脊髄変性症、急性横断性脊髄炎、急性散在性脳脊髄炎などが挙げられる。
・2012年の診断基準は脊髄炎発症の多発性硬化症に対して感度93.3%・特異度93.3%であった。アトピー性脊髄炎はMSより脳MRIでBarkhof基準を満たす病変が少なく、高IgE血症が多く、髄液オリゴクローナルバンドの陽性率が低いことが区別の手がかりになる。

症例 30歳代女性

アトピー性脊髄炎 MRI T2強調像
引用:Fukuda M et al. Case Rep Med 2017 (Figure 1)

頸髄の海綿状血管腫(a 矢頭)を合併したアトピー性脊髄炎のT2強調像です。(a)(b)上部胸髄の髄内に高信号域があり、横断像では脊髄の両側から背側にかけて広がります。(c)(d)その後、C3レベルの頸髄背側に新しい高信号域が現れ、横断像では左の後索に限局しています。(出典:Fukuda M et al. Case Rep Med 2017, Figure 1, CC BY 4.0)

アトピー性脊髄炎の症状・MRI・原因

・症状:日本の全国調査では、手足のしびれ・異常感覚が90%超、痛みが70%超の患者にみられました(Kira 2026)。

・MRI:横断像で片寄った病変が縦に3〜5椎体以上に及び、脊髄の腫れや辺縁の一部の造影を伴うことがあります(Yoon 2009)。

・原因:まだ不明ですが、韓国の37例ではイヌ回虫(トキソカラ)のIgG抗体が93.9%で陽性でした(Lee 2009)。

手足のしびれが続くなど気になる症状があれば、医療機関に相談してください。

 

参考文献

  1. Kira J. Atopy and neural damage. Intern Med. 2002;41(3):169-74. PubMed
  2. Kira JI, Zhang X, Fujii T, et al. Nationwide Survey of Atopic Myelitis and Plexin D1-Immunoglobulin G-Related Pain. Ann Clin Transl Neurol. 2026;13(3):593-606. PubMed
  3. Isobe N, Kanamori Y, Yonekawa T, et al. First diagnostic criteria for atopic myelitis with special reference to discrimination from myelitis-onset multiple sclerosis. J Neurol Sci. 2012;316(1-2):30-5. PubMed
  4. Isobe N, Kira J, Kawamura N, et al. Neural damage associated with atopic diathesis: a nationwide survey in Japan. Neurology. 2009;73(10):790-7. PubMed
  5. Yoon JH, Joo IS, Li WY, et al. Clinical and laboratory characteristics of atopic myelitis: Korean experience. J Neurol Sci. 2009;285(1-2):154-8. PubMed
  6. Lee JY, Kim BJ, Lee SP, et al. Toxocariasis might be an important cause of atopic myelitis in Korea. J Korean Med Sci. 2009;24(6):1024-30. PubMed

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