先に結論:真珠腫による迷路瘻孔
- 迷路瘻孔は真珠腫が内耳の骨(迷路骨包)を壊して穴をあけた状態で、外側半規管に最も多く起こります
- めまい・難聴の原因になり、手術で真珠腫をはがすときに内耳を傷つける危険があるため、術前のCTで見つけておくことが大切です
- CTで外側半規管の上の骨が薄くなる・なくなるのを確認し、MRIで迷路炎(FLAIR高信号・造影)を評価します
迷路瘻孔、半規管瘻孔(cholesteatoma with labyrinthine fistulae)とは?
- 迷路瘻孔は真珠腫を代表とする中耳炎症性疾患に合併し、真珠腫の手術例695例では6%(Meyer 2016)、慢性中耳炎の手術例263例では9.89%(Castro 2023)に外側半規管瘻孔を認めたと報告されている。
- 症状は耳漏・難聴・めまいなど非特異的なことが多い(Meyer 2016; Castro 2023)。
- 真珠腫の増大とともに迷路骨包を破壊し、瘻孔を形成する。
迷路瘻孔の画像所見
- 外側半規管に好発し、CTにて同部位の骨壁欠損を認める。瘻孔の90%が外側半規管に生じ(Romanet 2001)、術前の高分解能CTで88%の瘻孔が予測できたとの報告がある(Meyer 2016)。
- 迷路炎を伴う場合はFLAIR像での迷路内信号上昇や、造影T1強調像での異常増強像を呈する。
- ただし別の報告では、術前の高分解能CTで瘻孔を予測できたのは54%にとどまり(Castro 2023)、CTで骨壁が残って見えても瘻孔は否定できない。
- 外側半規管の骨欠損30か所の検討では、軸位断で長さ3.65mm超・角度71.6°超であれば、真珠腫の外リンパ腔への進展を予測できた(感度100%・特異度91.67%)と報告されている(Motegi 2021)。
症例 50歳代男性 左側中耳真珠腫。

上鼓室型(弛緩部)真珠腫あり。
- 外側半規管への瘻孔
- 上半規管への瘻孔
- 頭蓋内への進展
を認めています。
上半規管裂隙症候群・耳瘻孔との違い
| 名前 | 状態と主な症状 |
|---|---|
| 迷路瘻孔 | 真珠腫が半規管(多くは外側)の骨を壊す。耳漏・難聴・めまい |
| 上半規管裂隙症候群 | 真珠腫がなくても上半規管を覆う骨が欠ける。音や圧で起こるめまい、拍動性耳鳴など(Minor 1998; Ward 2017) |
| 先天性耳瘻孔 | 耳の前の生まれつきの小さな穴で、半規管とは無関係 |
気になる症状があれば耳鼻咽喉科を受診してください。
あわせて読みたい:上半規管裂隙症候群の画像診断
参考文献
- Meyer A, Bouchetemblé P, Costentin B, et al. Lateral semicircular canal fistula in cholesteatoma: diagnosis and management. Eur Arch Otorhinolaryngol. 2016;273(8):2055-63. PubMed
- Romanet P, Duvillard C, Delouane M, et al. [Labyrinthine fistulae and cholesteatoma]. Ann Otolaryngol Chir Cervicofac. 2001;118(3):181-6. PubMed
- Castro A, Sousa F, Azevedo S, et al. Labyrinthine Fistula in Chronic Otitis Media Surgery: Management and Outcomes. Indian J Otolaryngol Head Neck Surg. 2023;75(Suppl 1):60-65. PubMed
- Motegi M, Yamamoto Y, Akutsu T, et al. Imaging Analysis for Cholesteatoma Extension to the Perilymphatic Space in Labyrinth Fistulae. Laryngoscope. 2021;131(4):E1301-E1307. PubMed
- Minor LB, Solomon D, Zinreich JS, et al. Sound- and/or pressure-induced vertigo due to bone dehiscence of the superior semicircular canal. Arch Otolaryngol Head Neck Surg. 1998;124(3):249-58. PubMed
- Ward BK, Carey JP, Minor LB. Superior Canal Dehiscence Syndrome: Lessons from the First 20 Years. Front Neurol. 2017;8:177. PubMed
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