Tolosa-Hunt症候群とは
- 反復性一側性の有痛性外眼筋麻痺を主症状とし、眼球突出、眼球運動障害(第III、IV神経)、三叉神経障害、視力障害(第II神経)も呈する。
- 治療にはステロイドが奏効する。
- 海綿静脈洞内に生じる肉芽腫性病変で、診断には海綿静脈洞内およびその周囲に生じるその他の腫瘍性病変や脳動脈瘤などを除外する必要がある。
- 臨床経過が非常に重要。ステロイドに反応しない場合は診断の見直しが必要。
Tolosa-Hunt症候群の画像所見
- 特に脂肪抑制T2強調像、脂肪抑制造影T1強調像の冠状断像が海綿静脈洞病変の描出に有用である。
- MRIにて一側の海綿静脈洞の横径の腫大を認める。比較的スムーズな幅の拡大。
- 肉芽腫病変を反映したT1、 T2強調像で等信号、造影MRIにて均一な増強効果を呈する。
- 海綿静脈洞外側縁は外方へと突出が見られる。
海綿静脈洞に発生し、除外しなければならない疾患
- 腫瘍性病変: 悪性リンパ腫、髄膜腫、神経鞘腫、転移性腫瘍
- 血管性病変: 動静脈瘻、海綿状血管腫、動脈瘤
- 肉芽腫病変: サルコイドーシス、Wegener肉芽腫
※リンパ腫やサルコイドーシスはステロイドに反応するため注意。
症例 30歳代女性
引用:radiopedia
左海綿静脈洞の側壁がスムーズな肥厚を認め、T1WI、T2WIで等信号を示す。 造影にて均一に造影されています。
Tolosa-Hunt症候群を疑う所見です。
参考文献:よくわかる脳MRI 改訂第4版 P721