先に結論:胆道出血(hemobilia)
- 胆道出血は胆管の中への出血で、腹痛(胆道疝痛)・黒色便や吐血・黄疸が古典的な3徴です
- 原因の約3分の2は医原性(経皮的胆道ドレナージ・肝生検・胆道ステントなど)で、ほかに外傷・炎症・腫瘍・仮性動脈瘤などがあります
- CTでは胆管・胆嚢内の高吸収(血腫)と、造影で仮性動脈瘤などの出血源を探します。動脈性出血にはTAE(動脈塞栓術)が第一選択で、軽い出血は保存的治療で管理できることも多いです
胆道出血(Hemobilia)
・古典的三徴:胆道疝痛、黒色便、黄疸
・ただし3徴がそろうことはまれ。診断にはCT・MRIが優先されるが、カテーテル血管造影が今もゴールドスタンダードで、治療の中心は動脈塞栓術、動脈ステントや胆管ステントも選択肢となっている。
・原因:医原性(最多。胆管や肝への手技による)、外傷、炎症、腫瘍、仮性動脈瘤など(下の表)
・診断は内視鏡もしくは画像診断(CT,MRI,エコー)。
・内視鏡で十二指腸乳頭部からの出血を確認する。
・まれに胆管と門脈の交通(portobiliary fistula)が原因となり、重い合併症につながることがある。逆に胆汁が血管内へ流れ込む状態はbilhemiaと呼ばれる(Yared 2023)。
・動脈性出血の場合は、TAEが適用されることが多い。なお、胆道出血は原因となった手技や外傷から数週間たってから起こることもあり、出血が軽度であれば保存的に管理できることも多い。
画像診断
・単純CTで胆管内が血腫により高吸収を示し、造影CTで胆管周囲に仮性動脈瘤、腫瘍等を同定することで診断できる。
症例 80歳代女性(肝生検後の胆道出血)

引用:Radiopaedia(Haemobilia)
乳癌の治療歴があり、転移が疑われる肝病変に対して針生検を受けた症例の、生検前(生検後のCTの1週間前)の造影CTです。矢印の総胆管は太さ・内部の濃度とも正常です(胆嚢は摘出後)。

引用:Radiopaedia(Haemobilia)
肝生検の後に腹痛が出たときの造影CTです。矢印の総胆管の内部に、生検前にはなかったびまん性の高吸収がみられ、生検後の胆道出血(胆管内の血液)と考えられました。同時に軽い膵炎も起きており、胆道出血によるものと考えられています。
胆道出血の原因(一覧)
222例のまとめでは3分の2が医原性、外傷は5%でした(Green 2001)。
| 分類 | 主な例 |
|---|---|
| 医原性 | 経皮経肝胆道ドレナージ(PTBD)、肝生検、胆道ステント・ERCP、胆嚢摘出術、ラジオ波焼灼術、TIPSなど |
| 外傷 | 肝損傷(鈍的外傷など) |
| 感染・炎症 | 肝膿瘍、胆嚢炎など |
| 腫瘍・血管 | 肝・胆道の腫瘍、肝動脈などの仮性動脈瘤 |
胆道出血の治療
- 治療の目的は止血と胆管の詰まりの解除です。222例のまとめでは保存的治療43%、TAE 36%で、手術は他の理由で開腹するときやTAEが不成功のときに行われ、死亡率は5%でした(Green 2001)。
胆道出血・胆嚢出血でよくある疑問(Q&A)
Q. 胆管血腫とは何ですか?
A. 胆管の中にたまった血の塊(凝血塊)のことで、単純CTで胆管内の高吸収として見えます。胆管を詰まらせて黄疸や胆管炎の原因になることがあります。
Q. 胆嚢出血(出血性胆嚢炎)とは?
A. 急性胆嚢炎のまれな合併症で、胆嚢内や腹腔内に出血します。黒色便で見つかることもあり、造影CTが診断に役立ちます(Espejo 2024)。
※黒色便・吐血・強い腹痛・黄疸があるときは、すぐに医療機関を受診してください。
参考文献
- Green MH, Duell RM, Johnson CD, et al. Haemobilia. Br J Surg. 2001;88(6):773-786. PubMed
- Campos Carmona T, Teran Hooper C, Abbagoni V, et al. Hemobilia: A Narrative Review of Current Diagnostic Techniques and Emerging Management Strategies. Cureus. 2024;16(11):e73009. PubMed
- Cathcart S, Birk JW, Tadros M, et al. Hemobilia: An Uncommon But Notable Cause of Upper Gastrointestinal Bleeding. J Clin Gastroenterol. 2017;51(9):796-804. PubMed
- Meram E, Russell E, Ozkan O, et al. Variceal and Nonvariceal Upper Gastrointestinal Bleeding Refractory to Endoscopic Management: Indications and Role of Interventional Radiology. Gastrointest Endosc Clin N Am. 2024;34(2):275-299. PubMed
- Yared RA, Gkolfakis P, Lemmers A, et al. Portal cavernography during endoscopic retrograde cholangiopancreatography: from bilhemia to hemobilia. Clin Endosc. 2023;56(4):521-526. PubMed
- Espejo N, Manceñido Buide S, Juana C, et al. Hemorrhagic cholecystitis: the forgotten differential diagnosis. Medicina (B Aires). 2024;84(6):1257-1261. PubMed
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