胆嚢癌との鑑別がしばしば問題になる黄色肉芽腫性胆嚢炎についてまとめました。

先に結論:黄色肉芽腫性胆嚢炎と胆嚢がんの区別

  • 黄色肉芽腫性胆嚢炎は、胆石を伴う胆嚢炎で胆汁が壁の中にもれて強い肉芽腫性の炎症が起こる病気で、壁が厚くなり、肝臓などへ広がって胆嚢がんとそっくりに見えることがあります
  • CT・MRIで厚い壁の中の小さな低吸収の結節(壁内の黄色肉芽腫)、粘膜面の線状の造影が連続して保たれる、胆石を伴う、リンパ節腫大や肝内の腫瘤が目立たないのが炎症寄りの所見です
  • それでも区別が難しいことが多く、胆嚢がんが合併することもあるため、手術中の迅速病理検査などで確認して治療方針を決めます
  • 治療は胆嚢摘出術です。炎症で癒着が強く、腹腔鏡手術から開腹への移行が多い(35%)とされます(Frountzas 2021)

黄色肉芽腫性胆嚢炎(xanthogranulomatous cholecystitis:XGC)

  • 慢性胆嚢炎の稀な亜型。胆嚢摘出例の1.3〜1.9%(インドでは8.8%)にみられる(Hale 2014)。Rokitansky-Aschoff洞(RAS)の破綻などにより胆汁が胆嚢壁内にもれ出し、それに対する肉芽腫性の炎症(泡沫状の組織球の集まり)が起こったもの。胆嚢癌との鑑別を要する。
  • 高齢者に多く(性差は報告により異なる)、胆石症に合併することが多い。
  • 腹痛などの胆嚢炎様の症状で見つかることが多いが、発熱や血液検査、腫瘍マーカー(CEA・CA19-9)では胆嚢癌と区別できない(Suzuki 2015)。
  • 胆嚢癌を合併することがあり、その頻度は3.3〜5.9%と報告されている(Hale 2014)。
  • さまざまな原因による胆嚢内圧の上昇し、RAS内に貯留した胆汁が胆嚢壁内に漏れ出す(RASが壁内で破裂する)ことに起因する。
  • これを組織球が貪食し、胆汁に由来する脂質や黄色色素を含む泡沫細胞を主体とした肉芽腫が形成される。
  • 胆嚢粘膜から発生する上皮性腫瘍である胆嚢癌とは異なり、主に胆嚢壁内に生じる病変であることが理解できる。
  • 胆嚢壁の肥厚を来し、肉眼的には黄灰色調の結節や層状構造を呈する。
  • 胆嚢壁はさまざまな程度に肥厚し、炎症が肝臓など周囲の臓器へ及ぶことがある。

黄色肉芽腫性胆嚢炎の画像所見(xanthogranulomatous cholecystitis:XGC)

  • びまん性胆嚢壁肥厚あるいは限局性の壁肥厚。
  • 粘膜面が保たれて線状に増強される(胆嚢壁内を主体に進展する病変であるため)
  • 肥厚した胆嚢壁内のCTでの低濃度結節(黄色肉芽腫あるいは被包化膿瘍を反映)の描出。(MRIでは黄色肉芽腫の多い部分はT2WIで等〜やや高信号、壊死や膿瘍はT2WIで著明な高信号:Shuto 2004)。ただし、CTでの出現率は50%(Suzuki 2015)〜61%(Goshima 2010)。胆嚢摘出術6,783例のうち病理でXGCと診断された131例の検討では、超音波で壁肥厚が72.7%にみられた一方、低エコー結節は13.3%にとどまり、XGCに特徴的な画像・臨床所見はなく胆嚢癌と紛らわしいと結論されています。
  • 黄色肉芽腫の多い部分は、ダイナミック造影で早期にわずか、後期に強く染まる漸増性の造影効果(Shuto 2004)。
  • 隣接する肝に及ぶことあり。CTでの検討では、①びまん性の壁肥厚、②連続する粘膜線、③壁内の低吸収結節、④明らかな肝浸潤がない、⑤肝内胆管拡張がない、の5所見のうち3つ以上がそろうと、胆嚢癌との鑑別で感度83%・特異度100%でした。

確定診断(細胞診・迅速病理)と治療

  • 画像や臨床所見だけでは胆嚢癌と区別しにくく、取り違えにより10.2%が過大または過小な治療を受けていた(Hale 2014)。
  • そのため、術前の超音波内視鏡(EUS)下の組織採取や、手術中の迅速病理検査(凍結切片)で組織を確認してから、肝切除などの拡大手術を行うかを決めることがすすめられている(Hale 2014)。
  • 治療は胆嚢摘出術。系統的レビューでは腹腔鏡下34%、開腹47%で、腹腔鏡から開腹への移行は35%と多かった。一方、死亡率は0.3%、合併症は2〜6%と低い(Frountzas 2021)。
症例 50歳代男性  造影CT

xanthogranulomatous cholecystitis

胆嚢底部側の壁はびまん性に肥厚し、壁内には低吸収値結節が描出されている。

粘膜面の不整な肥厚を認め胆嚢癌を疑われ手術されたが、黄色肉芽腫性胆嚢炎であった。(病理:Chronic cholecystitis with xanthogranuloma)

参考文献

  1. Shuto R, Kiyosue H, Komatsu E, et al. CT and MR imaging findings of xanthogranulomatous cholecystitis: correlation with pathologic findings. Eur Radiol. 2004;14(3):440-6. PubMed
  2. Goshima S, Chang S, Wang JH, et al. Xanthogranulomatous cholecystitis: diagnostic performance of CT to differentiate from gallbladder cancer. Eur J Radiol. 2010;74(3):e79-83. PubMed
  3. Hale MD, Roberts KJ, Hodson J, et al. Xanthogranulomatous cholecystitis: a European and global perspective. HPB (Oxford). 2014;16(5):448-58. PubMed
  4. Frountzas M, Schizas D, Liatsou E, et al. Presentation and surgical management of xanthogranulomatous cholecystitis. Hepatobiliary Pancreat Dis Int. 2021;20(2):117-127. PubMed
  5. Suzuki H, Wada S, Araki K, et al. Xanthogranulomatous cholecystitis: Difficulty in differentiating from gallbladder cancer. World J Gastroenterol. 2015;21(35):10166-73. PubMed
  6. Lee SJ, Yang DM, Kim HC, et al. Imaging and Clinical Findings of Xanthogranulomatous Inflammatory Disease of Various Abdominal and Pelvic Organs: A Pictorial Essay. J Korean Soc Radiol. 2024;85(1):109-123. PubMed
  7. Kalra N, Gupta P, Singhal M, et al. Cross-sectional Imaging of Gallbladder Carcinoma: An Update. J Clin Exp Hepatol. 2019;9(3):334-344. PubMed
  8. Torun M, Akyüz C, Kol D, et al. Xanthogranulomatous Cholecystitis: A Retrospective Review of Clinical Diagnosis and Treatment from a Single Center. Healthcare (Basel). 2024;12(21):2184. PubMed

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