非定型的所見に注意する
患者:
・若年:Wilms腫瘍、転座腎癌 ・女性:嫌色素性癌、後腎性腺腫、粘液状管状紡錘形細胞癌など
画像:
・腎外性突出:後腎性腺腫、血管筋脂肪腫 ・腎盂から放射状:集合管癌、浸潤性腎盂癌 ・Hypovascular:嫌色素性癌、後腎性腺腫 ・車軸状血管:オンコサイトーマ
肉眼:
・ベージュ色:嫌色素腎癌 ・マホガニー色:オンコサイトーマ ・灰白色:集合管癌
規約で扱わない腫瘍にも注意
・カルチノイド:馬蹄腎に合併することある。
・腎滑膜肉腫:極めて稀、約30例の報告。
腎原発肉腫の診断
・常に転移の可能性を考えて除外する。他臓器に原発と思われる病変がない。
・肉眼的に腎原発が示唆される。
・後腹膜からの浸潤ではない。後腹膜は肉腫の宝庫。
・類肉腫腎癌、血管筋脂肪腫の可能性が除外される。
・カルチノイド、神経内分泌癌などについても同様。
類上皮血管筋脂肪腫
・結節性硬化症に合併したRCCは眉唾
・平滑筋様成分が類上皮状形態を示すmalignant potentialを有するまれな間質系腫瘍
・半数以上は結節性硬化症に合併。
・平均38歳。
・存在を知り、疑う事が大事。
・Hamartin(TSC1)とtuberin(TSC2)はmTOR経路を抑制的に調節する。
腎癌を診断する上で重要なこと
・頻度の高い腎腫瘍の診断を誤らない:淡明細胞型腎細胞癌の診断を確実に除外した後、他組織型を吟味
・予後、治療法の異なる組織型を間違えない:集合管癌と乳頭状腎細胞癌、類肉腫癌とMTSCC、腎芽腫と後腎性腺腫
・腎腫瘍は腎細胞癌ばかりとは限らない:腎盂由来の腫瘍、小児腫瘍、類上皮性AMLoma、JGoma、MESTなど。希少な組織型は転移を除外する。
・腫瘍と非腫瘍を間違えない:集合管癌、浸潤性尿路上皮癌と腎盂腎炎、淡明細胞癌と黄色肉芽腫性腎盂腎炎。