先に結論:Bennett病変(ベネット損傷・ベネット骨棘)
- 日本語ではベネット損傷・ベネット病変・ベネット骨棘と呼ばれ、同じものを指します
- Bennett病変は投手に多い、肩甲骨関節窩の後下縁にできる骨化(骨棘)です
- 投球の減速期〜フォロースルーに後下関節上腕靭帯・後方関節包が引っ張られることで起こると考えられています
- 石灰化・骨化なのでX線やCTで分かりやすく、MRIでは関節窩後下縁から三日月状に突出する低信号として見え、後方関節唇損傷を伴うことがあります
Bennett lesion(ベネット損傷)とは
・投球障害肩で起こる関節外の病変。投手でよく見られる。無症状のメジャーリーグ投手55人のX線検討では22%に見られ、多くは無症状ですが、症状がある場合は関節鏡下切除が行われます。
・投球動作後期(follow through相)に下関節上腕靭帯の後部に加わる牽引力が原因という説あり。
・関節窩後下縁の後下関節上腕靭帯〜関節包付着部の石灰化・骨化=牽引性骨棘を形成する。
※損傷の修復に伴う骨増殖などを反映する。
※石灰化・骨化なのでレントゲンやCTが有用。
・MRI所見:関節窩後下縁から三日月状の突出:T2*強調像で低信号。後方関節唇損傷を伴うことあり。関節外の病変であり造影しても描出されないことあり。MRIで評価した野球選手388人では32.2%にBennett病変を認め、競技歴が長いほど多かった。一方、病変の有無で身体所見・疼痛スコア・合併病変の頻度に差はなく、偶発所見であることも多い。
ベネット損傷でよくある疑問(Q&A)
Q. 症状と治療は?
A. 投球時の肩の後ろの痛みが中心です。治療は投球の休止やリハビリなどの保存療法が先で、効果がなければ関節鏡下の骨棘切除(必要に応じて後方関節包の切離)を考えます。系統的レビューでは、手術後に元のレベルに戻れた選手は61%でした(Freehill 2020)。
Q. 骨棘があれば手術が必要ですか?
A. いいえ。無症状の投手にもよく見られるため、痛みや投球への影響で判断します。肩の痛みが続くときは整形外科を受診してください。
参考文献
- Hammonds SC, Creighton RA. Arthroscopic Bennett Lesion Resection: A Novel Technique. Video J Sports Med. 2021;1(4):26350254211015995. PubMed
- Nakagawa S, Yoneda M, Hayashida K, et al. Superior Bennett lesion: a bone fragment at the posterosuperior glenoid rim in 5 athletes. Arthroscopy. 2007;23(10):1135.e1-4. PubMed
- Wright RW, Paletta GA. Prevalence of the Bennett lesion of the shoulder in major league pitchers. Am J Sports Med. 2004;32(1):121-4. PubMed
- Park JY, Noh YM, Chung SW, et al. Bennett lesions in baseball players detected by magnetic resonance imaging: assessment of association factors. J Shoulder Elbow Surg. 2016;25(5):730-8. PubMed
- Freehill MT, Mannava S, Higgins LD, et al. Thrower’s Exostosis of the Shoulder: A Systematic Review With a Novel Classification. Orthop J Sports Med. 2020;8(7):2325967120932101. PubMed
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