「バイト先の源泉徴収ってちょっとしか引かれていないんですが、大丈夫ですかね?」
こんな質問をいただくことがあります。
バイト先の給与明細を見ると、ほとんど引かれていなくて、嬉しくなるかもしれませんが実際のところどうなのでしょうか?
そこで今回は、医師のバイトの源泉徴収額についてまとめました。
この記事の目次
バイト先の源泉徴収の税率
まず常勤先の手取りの給与というのは、源泉徴収をされた状態、つまり源泉所得税を納めた状態で支払われています。
医師のバイト先から支払われる給与も同じく源泉徴収をされた状態で支払われます。
ただ、注意するのは、この源泉徴収される税率は支払額の10%、あるいは3%というようにバイト先によってばらつきがあります。
逆に言えば、多くても10%です。
所得税率
ところで、日本では累進課税制度が用いられており、所得が増えるほど所得税の税率も上がります。税率は下表の通り、5%、10%、20%…と6段階です。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円超 | 40% | 2,796,000円 |
これを見てわかるように医師が常勤先の給料に加えて、バイト先の給料を貰うとなると、それなりの年収になるでしょうから、10%や20%では済まない所得税を払わないといけないということです。
つまり、バイト先から引かれる源泉徴収は10%程度であっても、本当は23%や33%、多い人ですと40%支払わないといけないのに給与をもらう時点では10%しか引かれていないということです。
一見、差引分お得な感じにも見えますが、3月の確定申告時には足りない分をまとめて支払う必要があります。
一般的には、差し引かれた税金は確定申告を行うことにより、支払い過ぎた税金が戻ってくることがあります。
つまり、確定申告をしたらお金が帰ってきたというのは、一般的にはよく聞かれる話ですが、年収のそれなりに高い医師では、基本的に確定申告すると足りない源泉所得税を支払う義務が生じます。
それならわざわざ面倒な確定申告をしなければよいという考えもありますが、それは節税ではなく、脱税という犯罪ですので、確定申告は必ずしましょう。
バイト先の源泉徴収額は本来納めるべき税金のごく一部ということです。その点を考えて、納税額は残しておくようにしましょう。
※確定申告が必要な人
- 年収2000万超の人。
- 2カ所以上から給与をもらっている人。
- 20万超の雑所得がある人。
- 医療費控除、寄附金控除などを適用する人。
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※なお、額面の給与が、そのまま課税される所得金額になるわけではありません。
- 給与の収入金額(年収)-給与所得控除=給与所得
- 給与所得-各種所得控除=課税所得
- 課税所得×税率=所得税 となります。
バイトの額面の何割が手取り?
年収にもよりますが、医師のバイトの収入は、だいたい40%前後が税金として消えてしまうと言われています。
所得税に加えて住民税の支払いもあるからです。多い人だと半分近く税金ということになります。
つまり、バイトで10万円稼いだとしても、手取りは4割引いた6万円くらいだと思った方がよいということです。
ある程度の年収を超えてくると休日を潰してまで、バイトをするのが嫌になってくると言う人もいますが、それもそのはずです。
空き時間があればバイトを入れることばかりを考えるのではなく、税金のこともしっかり考えた上でバイトをするようにしましょう。
休み潰して頑張ってアルバイトしても、半分くらい税金だと思うとやる気なくなりますね。ほどほどにしましょう。