先に結論:不明熱の鑑別
- 不明熱(FUO)は38.3℃以上の発熱を繰り返して3週間以上続き、入院で1週間調べても原因が分からない状態として定義されました(Petersdorf 1961)
- 原因は膠原病・血管炎(成人Still病・大動脈炎症候群・リウマチ性多発筋痛症など)、感染症(結核・感染性心内膜炎など)、悪性腫瘍(特に悪性リンパ腫)が3本柱で、国内153例では診断がつかないままの例も11.8%ありました(Iikuni 1994)
- 画像では造影CTで膿瘍・リンパ節腫大・大血管壁の肥厚を探し、手がかりがなければFDG-PET/CTが原因部位の特定に役立ちます
不明熱
・定義(古典的不明熱):3週間以上続く病気で、38.3℃以上の発熱を繰り返し、入院して1週間調べても診断がつかないもの(Petersdorf 1961)。のちに、院内発症・好中球減少・HIV感染に伴う不明熱を分けて考える分類も提案されています(Durack 1991)。
・日本の大学病院で古典的不明熱の基準を満たした153例の最終診断(Iikuni 1994)
| 膠原病など 45例(29.4%) | 感染症 44例(28.8%) | 悪性腫瘍 22例(14.4%) |
| 血管炎症候群 17例 (大動脈炎症候群9・リウマチ性多発筋痛症5ほか) |
結核 11例 | 悪性リンパ腫 12例 |
| 成人Still病 13例 | ウイルス感染 10例 | 免疫芽球性リンパ節症 2例 |
| シェーグレン症候群・SLE 各3例ほか | 感染性心内膜炎 5例 | 成人T細胞白血病・各種の癌 各1例 |
| その他 24例(15.7%) | 亜急性壊死性リンパ節炎(菊池病)6例、詐熱4例、薬剤熱3例、キャッスルマン病・骨髄異形成症候群 各2例ほか | 診断不明 18例(11.8%) |
同じ研究では、65歳以上の31例では悪性腫瘍が最も多く(9例、29.0%)、30歳未満では詐熱が最も多い原因でした(Iikuni 1994)。
FDG-PET/CTの不明熱での診断寄与率は統合解析で56%、従来のCTで分からなかった例に限ると32%と報告されていますが、検査手順のどこに置くべきかについての根拠はまだ十分ではありません(Bharucha 2017)。2024年のメタ解析(36研究・3,516例、不明熱と原因不明の炎症)では、PET/CTの診断寄与率は75.4%、感度85.9%・特異度59.5%で、CT単独(寄与率68%、感度63.1%・特異度84.4%)と比べて感度が高く特異度は低いと報告されています(Buchrits 2024)。対象や寄与の定義によって数値には幅があります。
不明熱でよくある疑問(Q&A)
Q. 微熱が長く続くだけでも不明熱ですか?
A. 古典的な定義では38.3℃以上の発熱を繰り返すことが条件です。熱が続くなど気になる症状があれば、医療機関で相談してください。
参考文献
- Iikuni Y, Okada J, Kondo H, et al. Current fever of unknown origin 1982-1992. Intern Med. 1994;33(2):67-73. PubMed
- Bharucha T, Rutherford A, Skeoch S, et al. Diagnostic yield of FDG-PET/CT in fever of unknown origin: a systematic review, meta-analysis, and Delphi exercise. Clin Radiol. 2017;72(9):764-771. PubMed
- Haidar G, Singh N. Fever of Unknown Origin. N Engl J Med. 2022;386(5):463-477. PubMed
- Buchrits S, McNeil R, Avni T, et al. The Contribution of 18F FDG PET-CT for the Investigation of Fever of Unknown Origin and Inflammation of Unknown Origin. Am J Med. 2024;137(7):629-639. PubMed
- Petersdorf RG, Beeson PB. Fever of unexplained origin: report on 100 cases. Medicine (Baltimore). 1961;40:1-30. PubMed
- Durack DT, Street AC. Fever of unknown origin–reexamined and redefined. Curr Clin Top Infect Dis. 1991;11:35-51. PubMed
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