そもそもヨード造影剤に対する副作用にはどんな症状がある?
- 悪心
- 嘔吐
- 蕁麻疹
- 血管痛
- くしゃみ
- 胸痛
- 動悸
- 悪寒・戦慄
- 急激な血圧低下
- 意識消失
- 熱感
- かゆみ
- 潮紅
- 嗄声
- 咳嗽
- 腹痛
- 顔面浮腫
- 呼吸困難
- 心停止など。
造影剤に対する副作用発現の対応、準備
- 副作用の発現率は3%程度。
- 重篤な副作用の発現率は0.04-0.004%とされている。
造影剤による蕁麻疹の治療
- ポララミンⓇ1A(5mg)+ガスターⓇ1A(20mg)を静注
- 抗ヒスタミン薬が有効でない場合、ソルメドロールⓇ125mg 静注を追加(あるいは抗ヒスタミン薬と同時に投与)
- 重症例や顔面腫脹といった症状がある場合は、アナフィラキシーに至っている場合を考慮してボスミンⓇを準備。
※ポララミンⓇはH1受容体拮抗薬、ガスターⓇはH2受容体拮抗薬。
※ソル・メドロールⓇはステロイド。ステロイドは比較的即効性のあるものでも効果発現までに4〜6時間かかる。即効性はなく。ステロイドの目的はアナフィラキシー反応の20%の症例に現れる症状の再燃抑制が主な目的となる。
※ボスミンⓇはアドレナリン。
アナフィラキシーや重症蕁麻疹でのアドレナリンの投与方法(重要)
- アドレナリンは大腿中央の高さで前外側、外側広筋のところに筋注する。
- アドレナリン1A(1mg)の約1/3の量である0.3mgを27G針を使って筋注する。
- 上腕外側に筋注されることもあるが、血中濃度が上がるに時間がかかるため緊急を要する場合は必ず大腿に筋注する。
- 大腿に筋注すると約7-8分で血中濃度が最高になる。
- なので、5分以上経過しても効果が乏しい場合は2回目の筋注を行う。
造影剤の副作用にはアレルギーと化学毒性がある。
- 蕁麻疹や喉頭浮腫、低血圧性ショックなどはアレルギー反応によるものだが、造影剤の副作用として最も頻度が高い熱感などはアレルギー反応ではなく化学毒性によるもの。
- 化学毒性とは本来造影剤が持っている化学的性質である浸透圧や粘稠度などが体に影響を及ぼすこと。
- 化学毒性による造影剤の副作用には熱感の他に、造影剤注入直後に生じた嘔気嘔吐、血管迷走神経発作などがある。
- 化学毒性に対する熱感や嘔気嘔吐は通常経過観察をする。
- 嘔気嘔吐の副作用はアレルギー反応でもあるがこの場合は、消化管粘膜に対するアレルギー反応であり、検査後など少し遅れて症状が出てくることが一般的。この場合は、投薬が必要。
- なので同じ嘔気嘔吐でも症状が出たタイミングにより治療が必要かどうかを判断する。
参考文献: