先に結論:尿路変向術の種類と画像

  • 膀胱全摘後の尿路変向術(尿路変更術とも書きます)には、尿管皮膚瘻・回腸導管・新膀胱(代用膀胱)などがあり、術式によって見るべき点が違います
  • 術後の画像では尿管と腸管の吻合部狭窄・水腎症、尿漏、結石、再発(特に新膀胱では尿道再発)を確認します
  • 腸管を使う術式では、腸が尿中の塩素やアンモニウムを吸収して高クロール性代謝性アシドーシスが起こり、長期的には骨軟化症の原因になることがあります

尿路変向術

  • 膀胱癌に対しては、筋層非浸潤癌の場合、TUR-BTが行われるが、筋層浸潤癌やBCG膀胱内注入療法後の再発症例に対しては、膀胱全摘術に加えて種々の尿路変向術が行われる。

尿路変向術の種類

  • 尿管皮膚瘻(cutaneous ureterostomy)
  • 回腸導管(ileal conduit)造設術
  • 新膀胱造設(neobladder)(代用膀胱形成術)
  • 経皮的腎瘻造設術

などがある。尿路変更術も同じ意味で使われ、どちらも英語のurinary diversionにあたる。

尿管皮膚瘻

  • 尿管皮膚瘻は最も手術侵襲の少ない再建法であるが、尿失禁型尿路変向である。両側尿管を1側のストーマで管理でき尿管カテーテルなしの状態となれば、比較的QOLが保たれる手法である。
  • 画像所見で見るべき点としては、尿管に十分な長さがあるか、ストーマとは対側の尿管が大血管を乗り越える場合に障害となるような病変がないか、尿管への血流の維持は将来的な尿管狭窄予防に重要であり、下極側への腎動脈分枝、accessory arteryに留意する必要がある。

回腸導管(ileal conduit)

  • 回腸の一部を切り離して導管とし、両側の尿管をつなぎ、反対の端を右下腹部の皮膚にストーマとして出す。尿は袋(装具)にためる。
  • CTでは右下腹部で腹壁を貫く腸管ループとして見え、排泄相で尿管から導管への尿の流れを確認できる。
  • 合併症は吻合部狭窄による水腎症、尿漏、液体貯留、ストーマ周囲ヘルニア、結石、再発など(Catalá 2009)。574例の検討では、回腸導管は小腸閉塞と吻合部狭窄、新膀胱は尿失禁と尿閉と関連していた(Hu 2026)。

症例1 70歳代男性

回腸導管 静脈性尿路造影
引用:Radiopaedia(Ileal conduit)

悪性腫瘍で膀胱全摘・回腸導管造設後に、上部尿路の評価のため行われた静脈性尿路造影(15分後)です。両側の腎から造影剤が正常に排泄され、腎盂・尿管に拡張はなく、両側の尿管は右下腹部の回腸導管(造影剤で白く造影された腸管)につながっています。吻合部の狭窄はみられず、骨盤内には膀胱全摘のクリップがあります。

症例2 70歳代女性

回腸導管 CT
引用:Radiopaedia(Ileal conduit)

浸潤性膀胱癌で膀胱全摘・回腸導管造設後のCTです。右下腹部に、排泄された造影剤で高吸収になった腸管ループ(回腸導管)がみられます。

新膀胱造設

  • 新膀胱造設術は、回腸やS状結腸などの消化管を用いて代用膀胱を作成し、尿管と尿道に吻合し、経尿道的に排尿する術式。理論上はQOLに優れた再建法と思われるが、尿失禁や排尿困難が生じうること、尿道まで進展する病変には適応がなく、術後も尿道再発の危険性が残るなどの問題がある。
  • 骨軟化症を呈することあり。
    ※おおまかな機序:腸管による尿中のクロール・アンモニウムの再吸収→代謝性アシドーシス→・・・→骨からリン、カルシウムが遊離。
    ※術後比較的時間が経ってから発症することが多いよう。回腸・結腸を用いた尿路変向では高クロール性代謝性アシドーシスが起こりうるが、早期にアルカリ製剤を補充すれば予防できるとされる。また回腸を切除するとビタミンB12や胆汁酸の吸収が低下し、長期的に神経・血液の障害や便通の悪化につながることがある。

術後に発熱や腰・背中の痛み、尿量の減少などがあれば、早めに主治医に相談してください。

あわせて読みたい:膀胱全摘術(total cystectomy)で注意すべき画像診断、画像所見

参考文献

  1. Catalá V, Solà M, Samaniego J, et al. CT findings in urinary diversion after radical cystectomy: postsurgical anatomy and complications. Radiographics. 2009;29(2):461-76. PubMed
  2. Kawamoto S, Fishman EK. Role of CT in postoperative evaluation of patients undergoing urinary diversion. AJR Am J Roentgenol. 2010;194(3):690-6. PubMed
  3. Mills RD, Studer UE. Metabolic consequences of continent urinary diversion. J Urol. 1999;161(4):1057-66. PubMed
  4. Stein R, Rubenwolf P. Metabolic consequences after urinary diversion. Front Pediatr. 2014;2:15. PubMed
  5. Hu X, Miao J, Huang Y, et al. Urinary Diversion-Specific Morbidity After Radical Cystectomy: A Ten-Year Institutional Experience. Cancer Med. 2026;15(3):e71684. PubMed

画像診断を無料で学べるコンテンツ

腹部画像診断を症例で学ぶ
無料講座

腹部画像診断を症例で学ぶ

4日に1回、朝6時に症例が届き、実際に画像をスクロールして読影する講座です。90症例以上・1年以上続く講座で、医師・医学生・放射線技師・看護師など10,000名以上が参加中です。

講座に参加する(無料) →
胸部レントゲンの正常解剖を31日で
無料講座

胸部レントゲンの正常解剖を31日で

1日3分、全31日で胸部レントゲンの正常解剖の基礎を学ぶ参加型の講座です。全日程に簡単な動画解説が付いています。

講座に参加する(無料) →
画像診断LINE公式アカウント
登録特典あり

画像診断LINE公式アカウント

新しい企画やモニター募集のお知らせを配信しています。登録すると特典として、脳の血管支配域のミニ講座に無料で参加できます。

LINEで友だち追加 →