CTで黒いもの ゼロからの画像診断 #05

ゼロからの画像診断 #05

CTで黒っぽく見えるのは、おもに空気と脂肪の2つ。でも、ふだんの白黒ではどちらも暗くて、見分けにくいことがあります。研修医のハジメくんと一緒に、確かめ方を3つの手順で整理します。

先に結論

  1. CTで黒い(低吸収)のは、おもに空気(およそ-1000)と脂肪(およそ-100)。数字は10倍もちがう。
  2. おなかを見るふつうの白黒では、空気は真っ黒、脂肪は黒に近い灰色。狭い白黒ではどちらも真っ黒になる。
  3. 迷ったら①白黒の幅を広げる ②場所(管の中か外か)を見る ③CT値を測るで確かめる。

黒いところは全部空気?

ハジメハジメ(研修医)
先生、おなかのCTって、黒いところがたくさんありますね。腸のまわりも、皮膚の下も黒いです。これ全部、空気ですか?
ごろ〜ごろ〜(指導医)
いいところに気づきましたね。でも、皮膚の下に空気がたくさんあったら大変です。そこは何だと思いますか?
ハジメハジメ(研修医)
あ…皮下脂肪ですか。
ごろ〜ごろ〜(指導医)
そうです。CTで黒く見えるのは、おもに空気と脂肪の2つです。まず、2つのCT値をものさしで見てみましょう。
図1 黒いもののCT値と、白黒の幅 空気はおよそ-1000、脂肪はおよそ-100(代表的な目安)。下の3本の帯は、白黒の幅を変えたときにそれぞれが何色に見えるか。
図1 黒いもののCT値と、白黒の幅 空気はおよそ-1000、脂肪はおよそ-100(代表的な目安)。下の3本の帯は、白黒の幅を変えたときにそれぞれが何色に見えるか。
ハジメハジメ(研修医)
空気と脂肪、数字だと全然ちがいますね。-1000と-100。
ごろ〜ごろ〜(指導医)
はい。数字はとても離れているのに、見た目が似てしまうのは、白黒の幅のせいです。白黒の幅の下の端より低いものは、全部同じ真っ黒になってしまいます。同じ輪切りを3つの白黒で並べてみますね。
図2 同じ輪切りを3つの白黒で 模式図。狭い白黒では脂肪も空気も真っ黒。おなかのふつうの白黒では脂肪が暗い灰色になる。幅を広げると、脂肪ははっきり灰色、空気だけが黒く残る。
図2 同じ輪切りを3つの白黒で 模式図。狭い白黒では脂肪も空気も真っ黒。おなかのふつうの白黒では脂肪が暗い灰色になる。幅を広げると、脂肪ははっきり灰色、空気だけが黒く残る。
ハジメハジメ(研修医)
右の広い白黒だと、腸の中の空気だけが黒く浮かび上がって見えます!
ごろ〜ごろ〜(指導医)
それが1つめの手順、白黒の幅を広げるです。ビューアには、肺を見るための広い白黒のボタンがあることが多いので、それを押すだけでもかまいません。白黒のしくみそのものは、#01でやりましたね。
マルオマルオ(技師)
撮る側からひとこと!胸からおなかまで撮ったときは、肺を見る用の白黒の画像も別に作って送っていることが多いです。シリーズの一覧を見てみてください!

場所で見分ける

ごろ〜ごろ〜(指導医)
2つめは場所です。空気がふつうにあるのは、肺と、胃や腸などの管の中。脂肪は皮膚の下や、臓器と腸のすき間にあります。腸のあたりを拡大してみましょう。
図3 腸の中の空気と、腸の外の脂肪 上行結腸のあたりを拡大した模式図(おなかのふつうの白黒)。腸の壁に囲まれた中が空気で真っ黒。壁の外は脂肪で、黒に近い灰色。
図3 腸の中の空気と、腸の外の脂肪 上行結腸のあたりを拡大した模式図(おなかのふつうの白黒)。腸の壁に囲まれた中が空気で真っ黒。壁の外は脂肪で、黒に近い灰色。
ハジメハジメ(研修医)
壁の内側と外側で、黒さがちがいますね。並べると、空気のほうがもう一段黒いです。
ごろ〜ごろ〜(指導医)
そうです。壁に囲まれた真っ黒は空気、すき間を埋める暗い灰色は脂肪。この見方に慣れると、ふつうの白黒でもかなり見分けられます。

CT値を測る

ごろ〜ごろ〜(指導医)
3つめは、いちばん確かな方法です。ビューアで丸い範囲を囲んで、CT値の平均を測る。空気なら-1000に近く、脂肪なら-100前後になります。
図4 丸で囲んでCT値を測る 模式図。丸の中の平均を、模型の値から計算して表示している。空気は-1000に近く、脂肪は-100前後、筋肉はプラス。
図4 丸で囲んでCT値を測る 模式図。丸の中の平均を、模型の値から計算して表示している。空気は-1000に近く、脂肪は-100前後、筋肉はプラス。
ハジメハジメ(研修医)
数字で出ると安心です。でも、小さい黒い点だと、丸で囲むのも難しそうです。
ごろ〜ごろ〜(指導医)
いい指摘です。小さい空気の泡は、まわりの脂肪とまざって灰色っぽく見え、CT値も-1000まで下がらないことがあります。そこで、幅を広げた白黒が役に立ちます。
図5 脂肪の中の小さな空気の泡 模式図。ふつうの白黒では、泡は暗い灰色の中の黒い点で、まわりとの差が小さく見落としやすい。幅を広げると、明るい灰色の中の黒い点になって目に入りやすい。
図5 脂肪の中の小さな空気の泡 模式図。ふつうの白黒では、泡は暗い灰色の中の黒い点で、まわりとの差が小さく見落としやすい。幅を広げると、明るい灰色の中の黒い点になって目に入りやすい。
ハジメハジメ(研修医)
左は、暗い中に黒い点なので見落としそうです。右だと、すぐ目に入ります。
ごろ〜ごろ〜(指導医)
腸の外に空気があるのは、大事なサインになることがあります。その話はまた今度、じっくりやりましょう。小さいものが灰色っぽくなる理由も、次の回でやりますね。今日は3つの手順をまとめておきます。
図6 空気と脂肪を見分ける3つの手順 ①白黒の幅を広げる ②場所(管の中か外か)を見る ③CT値を測る。
図6 空気と脂肪を見分ける3つの手順 ①白黒の幅を広げる ②場所(管の中か外か)を見る ③CT値を測る。

よくある勘違い

Q. CTで黒いところは全部空気?

いいえ。脂肪も黒っぽく見えます。おなかのふつうの白黒では、空気は真っ黒、脂肪は黒に近い灰色です。

Q. 脂肪のCT値はマイナス?

はい。およそ-100前後(代表的な目安)で、水(0)より低く、空気(およそ-1000)よりずっと高い値です。

Q. ふつうの白黒で黒く見えなければ、空気はない?

小さい空気の泡は、まわりとまざって灰色っぽく見えることがあります。幅を広げた白黒でも確かめます。

今日のまとめ

  1. CTで黒いのは、おもに空気(およそ-1000)と脂肪(およそ-100)。
  2. 白黒の幅しだいで、どちらも真っ黒に見えてしまう。幅を広げると脂肪は灰色、空気だけ黒く残る。
  3. 迷ったら、白黒の幅を広げる・場所を見る・CT値を測る、の順で確かめる。

図はすべてコードで描いた模式図で、実際の画像ではありません。

画像診断を無料で学べるコンテンツ

腹部画像診断を症例で学ぶ
無料講座

腹部画像診断を症例で学ぶ

4日に1回、朝6時に症例が届き、実際に画像をスクロールして読影する講座です。90症例以上・1年以上続く講座で、医師・医学生・放射線技師・看護師など10,000名以上が参加中です。

講座に参加する(無料) →
胸部レントゲンの正常解剖を31日で
無料講座

胸部レントゲンの正常解剖を31日で

1日3分、全31日で胸部レントゲンの正常解剖の基礎を学ぶ参加型の講座です。全日程に簡単な動画解説が付いています。

講座に参加する(無料) →
画像診断LINE公式アカウント
登録特典あり

画像診断LINE公式アカウント

新しい企画やモニター募集のお知らせを配信しています。登録すると特典として、脳の血管支配域のミニ講座に無料で参加できます。

LINEで友だち追加 →