先に結論:急性前立腺炎
- 急性前立腺炎は男性の発熱+排尿症状(頻尿・排尿困難・尿閉)や会陰部の痛みで疑い、膿尿を伴うのが普通です
- 直腸診では熱をもった強い圧痛のある前立腺を触れますが、強いマッサージは菌血症を起こすので禁忌です。原因菌の多くは大腸菌などの腸内細菌です
- 治療は抗菌薬です(薬の種類・期間は主治医が判断します)。重症なら点滴から始め、前立腺膿瘍が疑われればCTやMRIで確認します
- 腫れた前立腺が直腸を押すため、便意(テネスムス)が出ることがあります
- 薬の用量はガイドラインと添付文書で確認してください
急性前立腺炎
どのようなときに前立腺炎を疑うか?
→男性が、発熱などの敗血症的な徴候を前面に出しつつ
・尿閉・頻尿などの尿路症状を訴えるとき
・会陰部や下部腰部の何とも言えない不快感を訴えるとき
・膿尿が基本的にでる。
・疑わしければ直腸診(digital rectal examination)
・尿培養は全例で提出し、原因菌と感受性を確認する。診断は主に病歴と身体所見で行い、画像検査は通常は不要である。全身状態が悪い、自尿がない、経口摂取できない、耐性菌のリスクがある場合は入院と広域の点滴抗菌薬を考える。
・起炎菌:E.coliなどの腸内細菌。
・前立腺は直腸の前壁に接しているため、炎症で腫れると直腸が刺激され、便が出そうな感じ(便意促迫・テネスムス)や排便時の痛みが出ることがある。直腸診で前立腺を触れられるのも同じ理由である。
・画像は、治療で良くならないときや前立腺膿瘍を疑うときに経直腸超音波・CT・MRIで行う。MRIでは膿瘍は厚い壁をもつ嚢胞性病変で、拡散制限を示す(El-Ghar 2021)。
治療
・内服ではST合剤(バクタ)やニューキノロン(レボフロキサシン〔クラビットなど〕)が使われ。薬の種類・量・期間は添付文書と施設の手順で確認する。
※発熱、急性の排尿困難、テネスムス(便意促迫)、直腸診で前立腺の圧痛。慢性前立腺炎では抗菌薬が届きにくいため、移行性のよいニューキノロンやST合剤を使う。急性期は炎症で薬が届きやすく、重症例ではセフトリアキソンなどの点滴から始めることも多い。
発熱と排尿のつらさ・会陰部の痛みがあるときは、早めに医療機関を受診してください。
症例 60歳代男性(急性前立腺炎に伴う前立腺膿瘍)

引用:Radiopaedia(Prostatic abscess – CT findings)
敗血症・排尿時痛・会陰部痛で受診した症例の造影CT(冠状断)です。前立腺が大きく腫れ、周囲に強い炎症があり、中心部に液状化した低吸収域がみられ、前立腺膿瘍と考えられました。生検などの処置歴はなく、自然に起こったものです。
参考文献
- Lipsky BA, Byren I, Hoey CT. Treatment of bacterial prostatitis. Clin Infect Dis. 2010;50(12):1641-52. PubMed
- Coker TJ, Dierfeldt DM. Acute Bacterial Prostatitis: Diagnosis and Management. Am Fam Physician. 2016;93(2):114-20. PubMed
- Kulkarni PA, Cortés-Penfield NW, Brehm TJ, et al. State-of-the-Art Review: Diagnosis and Management of Acute and Chronic Bacterial Prostatitis. Clin Infect Dis. 2026;82(1):1-13. PubMed
- El-Ghar MA, Farg H, Sharaf DE, et al. CT and MRI in Urinary Tract Infections: A Spectrum of Different Imaging Findings. Medicina (Kaunas). 2021;57(1):32. PubMed
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