脾血管腫(splenic hemangioma)とは?
- 先天性。
- 脾血管腫は脾臓の良性腫瘍として最多。しかしまれ。
- 無症状で偶然発見されることが多い。
- 大きくなると腹部膨満、腹痛などの症状を起こすこともある。
- 単発のことも多発のこともある。
- Kippel-Trenaunay-Weber症候群:全身性血管腫症。脾に多発性あるいびまん性に血管腫を伴う。
- 2cm以下、無症候、偶然発見例が多い。
- 大きなものが腫瘤として触知されることもある。
- 合併症:特発性破裂、門脈圧亢進症、脾機能亢進症、Kasabach-Meritt症候群
脾血管腫の画像所見は?
典型的には肝血管腫に類似するが、変性などにより充実性、嚢胞性、あるいはそれらの混在したものと様々な像を呈しうる。
CT所見:
- 低〜等吸収。石灰化を伴うことあり。
- ダイナミックで典型的に辺縁域の早期濃染→求心性の濃染の広がり。遷延性濃染を示す。肝血管腫に類似する。
ただし肝血管腫よりも癒合していくような辺縁域の結節状濃染は不明瞭(背景の脾実質の強く不均一な濃染によりマスクされてしまうため)。後期あるいは遅延相では、肝血管腫より不均一な斑状濃染のことが多い。 - 嚢胞を伴う場合は嚢胞は造影されない。
MR所見:
- T1強調像では、低〜等信号。
- T2強調像で高信号。大きいものでは合併する変化を反映して様々な信号。ダイナミックはCTと同じ。
- ダイナミックで辺縁より求心性に造影される。CTと同じ。
症例 60歳代男性
脾臓にダイナミックCTの早期相において辺縁から著明に造影され、平衡相では均一に造影される腫瘤あり。
脾血管腫を疑う所見です。
その背側には嚢胞あり。
MRIではT1強調像では周囲脾臓実質と比較して等信号〜やや低信号、T2強調像では周囲脾臓実質よりも高信号を示しています。
ダイナミックMRIではCTと同じように早期より辺縁から造影され、平衡相では均一に造影されています。
脾血管腫を疑う所見です。