がん検診として普及してきたPET検査ですが、集積したものがすべてがんというわけではありません。

生理的集積といって、正常でも集積することが知られています。

また炎症などにも集積します。

逆にPET検査の普及により、広く知られるようになったのがこの褐色脂肪細胞への集積です。

今回はこの褐色脂肪細胞へのFDGの集積について、実際の画像を見ながら解説しました!

褐色脂肪細胞とは?

褐色脂肪細胞とは、寒さに対して、体温調整として非ふるえ熱産生を起こす細胞で、当然夏よりも冬の方がよく見られる細胞です。

痩せ型の若年女性に多く、過剰なエネルギーを燃焼して、肥満予防の効果があります。

褐色脂肪細胞へのFDGの集積とは?

  • 頸部
  • 鎖骨上窩
  • 傍椎体
  • 心臓周囲
  • 横隔膜周囲
  • 後腹膜

などの脂肪織に、集積として認められ、寒冷刺激により反応し熱生産を行なう結果、FDGが集積すると考えられています

FDG-PET検査では集積を認めますが、対応する部位をCTで確認すると脂肪組織であることがわかります。

具体的には次のような画像になります。

症例 40歳代 女性

両側の褐色脂肪に集積を認めています。

解説動画。

 

この生理的な集積を出さないようにするには?

せっかく検査を受けているのにこの生理的な集積があるために、肩周囲を中心に本当のがんがあっても見落とす原因となってしまいます。

この集積を確認してから、体を温めてもこの集積が消えるわけではないのです。

大事なのは、最初からこの集積を出さないことです。

何をきっかけにこの生理的な集積は出るのでしたか?寒さでしたよね。

つまり、検査前には、十分な保温をして体を寒さにさらさずに、来院する必要があるのです。

PET検査を行う施設でも冬になるとこの褐色細胞腫への集積が出ないように、空調管理に注意を払ったり、毛布を用意したりします。

特に若い女性は注意ですね。

今回のような集積を生理的な集積と言います。

 

最後に

PET検査は高価なのもありますし、せっかく検査を受けたのにきちんと評価できなければ検査を受ける価値が下がってしまいます。

食事を摂取しないなどの他に、寒い時期、若い女性ならば、特にできるだけ体を温めた上で検査を受けるようにしましょう。

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