骨転移の疼痛の治療には、
- 解熱鎮痛薬
- 麻薬系鎮痛薬
- ビスホスホネート
- 化学療法、ホルモン療法
- 放射線治療(外照射)
- アイソトープ治療(89Sr(ストロンチウム))
があります。
今回はアイソトープ治療(89Sr(ストロンチウム))についてまとめました。
89Sr(ストロンチウム)とは?アイソトープ治療の特徴。
- 半減期は50.5日、組織内でのβ線の飛程は平均2.4mm。
- β線放出各種
- Ca2+とのイオン交換により骨形成部位に集積
- 2MBq/kgを静脈内投与し、最大141MBqである。そのため退出基準を満たし外来治療が可能。
- 骨に集積しなかったストロンチウムの90%以上は尿から排泄されるため、投与ご数日は十分な水分摂取をする。
- 早期の治療が効果的とされる。
- 投与して1-2週間から効果が約70%に現れ、その効果は数ヶ月持続する。
- 骨髄抑制以外の副作用が少ない。
- 何度でも治療を行える。
- ただし、反復投与する場合は、骨髄抑制との関係から少なくとも3ヶ月以上間隔を空ける必要がある。
- 疼痛対策のみでなく、抗腫瘍効果もある。
89Sr(ストロンチウム)によるアイソトープ治療の適応
- 乳癌や前立腺癌の固形癌の骨転移である。
(造骨性で多発の転移が良い適応となる) - 他の治療法で疼痛コントロールが不十分である。併用可能。
- 骨シンチグラフィで疼痛部位に一致する集積を確認している。
89Sr(ストロンチウム)によるアイソトープ治療の禁忌
- 重篤な骨髄抑制がある
- 妊婦である、あるいは妊娠している可能性がある場合
重篤な骨髄抑制とは、具体的には
- ヘモグロビン量<8g/dl
- 白血球数<2,000/μL
- 好中球数<1,000/μL
- 血小板数<50,000/μL
(治療の適正使用マニュアル)
89Sr(ストロンチウム)によるアイソトープ治療の慎重投与
- 骨髄抑制・感染症・腎障害・高齢者
- 化学療法、外照射と併用する場合。
参考文献)わかりやすい核医学 P291-292