肺硬化性血管腫(pulmonary sclerosing pneumocytoma)
- 30-60歳代の女性に好発する良性腫瘍の一つ。
- ほとんどが無症状だが、症状を呈する場合は血痰が多い。
- Ⅱ型の肺胞上皮由来と言われている。
- 組織学的には、出血性(hemangiomatous)、血管腫様硬化性(sclerotic)、充実性(solid)、乳頭状(papillary)の4つのパターンに分けられ、大抵はそのうちの3つ以上が混在している。
- 孤発性が95%。
- 半数が下葉に生じる。
- 予後は良好だが、まれに再発やリンパ節転移を来すため、臨床的には悪性腫瘍に準じて扱う。
肺硬化性血管腫の画像所見
- 境界明瞭な1-5cm大の結節、腫瘤影を呈する。
- 通常は充実性。内部に嚢胞を来すこともある。
- 石灰化は18-30%で認められ、中心性に認められる事が多い。
- 結節内に三日月状の空洞(air crescent sign、air trapping zone)を来したり、周囲に気腫性変化を来すことがあるのが特徴。これは、腫瘍からの出血と気管支のチェックバルブによると推察されている。この空洞は腫瘤周囲を取り囲むように認められることもあり、必ずしも三日月状ではない。
- 造影効果を有する事が多い。特に血管腫様硬化性成分はよく造影される。
- MRIではT1WIでは筋肉よりやや高信号、T2WIで高信号を示す。
症例 40歳代女性
造影CTにて造影効果が強い部位とそうでない部位あり。造影効果が強い部位は、血管腫様硬化性成分が多い。
症例
左の症例では、腫瘤周囲に気腫性変化あり。
右の症例では、腫瘤周囲にすりガラス影あり。