脳アミロイドアンギオパチーとはどんな病気なのでしょうか?脳内に微小出血を起こしますが、高血圧性脳内出血との違いはどんなところでしょうか?
今回は脳アミロイドアンギオパチーについてまとめました。
先に結論:脳アミロイドアンギオパチー(CAA・脳アミロイド血管症)とは
脳の表面近くの細い血管の壁にアミロイドβがたまって血管がもろくなる病気で、高齢者に多く、くり返す脳葉型の脳出血や認知機能の低下の原因になります。
| アミロイドアンギオパチー | 高血圧性脳出血 | |
|---|---|---|
| 出血の場所 | 脳の表面寄り(皮質・皮質下=脳葉型)。頭頂葉・後頭葉に多い | 脳の深部(被殻・視床・小脳・橋) |
| MRI(T2*・SWI)の微小出血 | 皮質・皮質下に多発 | 基底核・視床など深部に多い |
| その他 | 脳表のヘモジデリン沈着、脳表に限局したくも膜下出血 | 高血圧の既往 |
脳葉型の脳出血の約半数(50〜57%)にCAAがあるとされます(Jäkel 2022)。根本的な治療はなく、再出血の予防が中心です。
アミロイド関連画像異常(ARIA)は、アルツハイマー病の新しい抗アミロイド抗体薬の治療中にMRIで見られる、むくみ(ARIA-E)や微小出血(ARIA-H)のことで、CAAがある人に起こりやすいとされ、治療前後のMRIで確認します。ARIA-EはFLAIR像で見える一過性の脳浮腫や脳溝への滲出、ARIA-HはT2*強調像で見える微小出血や脳表ヘモジデリン沈着で、多くは無症状・一過性で、治療の早い時期に起こりやすいとされます。抗体薬の適格性評価と経過観察では、標準化した撮像プロトコルと、重症度を含む定型の報告が推奨されています。
脳アミロイドアンギオパチー(cerebral amyloid angiopathy:CAA)とは?
- 全身性のアミロイドーシスに関連しない皮質、皮質下、髄膜の中小血管壁へのアミロイドβの沈着に起因する脳血管障害である。脳小血管病の一つ。
- 高齢者ほど頻度が高い。
- 小脳にも病変が見られうるが、基底核、視床、深部白質、脳幹は保たれやすい。
- 時間的・空間的に多発することが多い(再発を繰り返す脳葉型出血(皮質下出血))。
- 大脳皮質から皮質下白質に至る皮質下の血腫で、しばしば近傍にくも膜下出血を伴う。(高齢者で脳表に限局するクモ膜下出血、特に円蓋部の陳旧性SAHあるいは脳表ヘモジデリン沈着症で外傷なければCAAを考慮。くも膜下出血は髄膜のアミロイド血管症を反映。アミロイド血管症は、くも膜下腔の小動脈に好発する。)
- 出血は特に頭頂葉と後頭葉に優位に分布する傾向にある。
- 初期は無症状であるが、徐々に一過性の神経障害、認知機能の低下をきたす。脳出血を起こす前から認知機能の低下がみられることがある。
- 徐々に進行するアルツハイマー型の認知障害を呈する。アルツハイマー病の人に高頻度に認められる(病理で48%、Jäkel 2022)。
- 白質脳症を合併することがあり、U-fiberを含み腫脹を伴う白質病変(詳しくは後述)を呈する。
- 確定診断には病理診断。

臨床的には(旧版のBoston criteria v1.5)で以下の3点をチェック(現行はv2.0、後述)。
- 脳葉、皮質または皮質下に限局した多発性脳出血、ただし小脳に見られてもよい。
- 55歳以上
- 他に出血の原因がない
ことを認めれば、probable CAA、単発だとpossible CAA。検証研究では、probable CAAと診断された13例は全例が病理でCAAと確認されました(Knudsen 2001、小規模な報告)。ただし基底核領域に出血があれば除外される。なお2022年に改訂されたBoston criteria v2.0では対象が50歳以上となり、脳葉に限局した出血性病変(脳出血・微小出血・脳表ヘモジデリン沈着)が2つ以上、または1つ+白質所見(半卵円中心の高度な血管周囲腔拡大、多発斑状の白質高信号)でprobable CAAとされ、従来の基準より感度が向上しています。
Boston criteria 旧版(v1.5)とv2.0の違い(probable CAA)
| 旧版(modified Boston criteria) | v2.0(2022年) | |
|---|---|---|
| 対象年齢 | 55歳以上 | 50歳以上 |
| probable CAAの条件 | 脳葉型の出血が多発 | 出血性病変が2つ以上、または出血性病変1つ+白質所見1つ(半卵円中心の高度な血管周囲腔拡大、多発斑状の白質高信号) |
| 剖検例での感度/特異度 | 64.5%/95.0% | 74.5%/95.0% |
(Charidimou 2022)
脳アミロイドアンギオパチーのMR所見は?
- 通常のMRIでは特徴的な所見は認められない。
- T2*強調像や磁化率強調像(SWI:susceptibility weighted image)を用いると多数の陳旧性微小出血をとらえられるが、特に磁化率強調像がその検出に優れている。
- アミロイドアンギオパチーの微小出血は脳葉(皮質・皮質下)に限局して分布するのが特徴で、Boston criteria v2.0でも脳葉に限局した出血性病変として数える。
- 皮質下出血の他、クモ膜下出血、硬膜下出血、白質脳症、髄膜の増強効果を生じることあり。
脳アミロイドアンギオパチーによる出血と高血圧性脳出血の鑑別は?
T2*強調像で高血圧性脳出血の好発部位である被殻や視床などに、
- 微小出血がある→高血圧性脳出血
- 微小出血がない→アミロイドアンギオパチー
- また、アミロイドアンギオパチーはくも膜下出血を伴うことが多く、皮質からの皮質下白質に多数のmicrobleedを認めるため、分布や数も重要な鑑別点となる。
症例 60歳代男性

両側基底核や視床、放線冠、皮質下に多数の微小出血あり。
両側基底核や放線冠には多数のラクナ梗塞あり。
被殻、視床にも出血があるので高血圧性の出血と分かる。
症例 60歳代男性 被殻や視床などに微小出血がなく、アミロイドアンギオパチー疑い。

被殻や視床といった部位には微小出血は認めておらず、皮質下に複数微小出血を認めています。
出血の分布から、アミロイドアンギオパチーによる出血が疑われます。
症例 80歳代男性 皮質下出血あり。被殻や視床などに微小出血がなく、アミロイドアンギオパチー疑い。

こちらの症例も高血圧性の脳出血を来しやすい部位には微小出血を認めていません。
右後頭葉に脳葉型出血を認めています。
出血の分布からも高血圧性脳出血よりもアミロイドアンギオパチーがより疑われます。
鑑別診断
高齢者の非外傷性円蓋部のくも膜下出血を見た場合は本症を鑑別に考慮する必要がある。高位円蓋部の非外傷性くも膜下出血のその他の原因としては、
- 動静脈奇形/動静脈瘻(AVM/AVF)、
- 動脈解離
- 静脈血栓
- 血管炎
- reversible cerebral vasoconstriction syndrome(RCVS)
- PRES(posterior reversible encephalopathy syndrome)
- 高度の動脈狭窄
- 心内膜炎
- 凝固異常
- 膿瘍
- 海綿状血管腫(cavernous malformation)
- 脳腫瘍など が挙げられる
高齢者において、白質脳症やPRES様の血管性浮腫を見た場合、多発する脳表の出血が存在すればこの組み合わせで本症と診断可能である。
アミロイドアンギオパチーによる炎症/白質脳症cerebral amyloid angiopathy-related inflammation/leukoencephalopathy

- アミロイドアンギオパチー(CAA)による白質病変。亜急性期の認知障害や痙攣などで発症。
- 沈着したアミロイドβに対する炎症反応と考えられている。
- 多くの症例でステロイド剤、シクロフォスファミドにより高信号は減少ないし消失する。
- 片側優位にT2*WIでmicrobleedsを認め、その領域に皮質下の高信号を認め、臨床所見が合致すれば診断される。
- 血管炎によると思われる髄膜の増強効果、小血管性慢性虚血の結果としての特異的脳萎縮も見られうる。
- T2WI/FLAIRで皮質下を中心に左右非対称の高信号を示す。時に皮質も高信号を示す。
- 軽度の浮腫を認め、拡散強調像では異常を示さない。
脳アミロイドアンギオパチーでよくある疑問(Q&A)
Q1. 脳アミロイドアンギオパチーは遺伝しますか?
ほとんどは加齢による孤発性です。ただしAPOEのε2・ε4という遺伝子型は脳葉型脳出血のなりやすさに関係します(オッズ比1.82・2.20、Biffi 2010)。オランダ型など遺伝性のCAAもまれにあります(Voigt 2025)。
Q2. 治療法はありますか?再出血はどのくらい起こりますか?
沈着そのものを治す治療はなく、再出血の予防が中心です。CAA関連の脳出血の再出血は年7.4%で、CAAに関連しない脳出血(年1.1%)より多く(Charidimou 2017)、MRIの脳表ヘモジデリン沈着があるとさらに高くなります(Charidimou 2019)。厳格な血圧管理が勧められ、抗凝固薬・抗血小板薬は慎重に判断されます(Block 2017)。
急な頭痛・手足のまひ・言葉の出にくさや、一過性のしびれをくり返すなど気になる症状があれば、早めに医療機関を受診してください。
関連記事:皮質下出血とは?場所(頭頂葉・前頭葉など)ごとの症状、原因(アミロイドアンギオパチー等)とCT画像、治療・手術適応
あわせて読みたい:アミロイドPETとは?抗アミロイド抗体薬(レカネマブ・ドナネマブ)のARIA-E/ARIA-HとMRI監視・重症度
参考文献
- Knudsen KA, Rosand J, Karluk D, et al. Clinical diagnosis of cerebral amyloid angiopathy: validation of the Boston criteria. Neurology. 2001;56(4):537-539. PubMed
- Charidimou A, Boulouis G, Frosch MP, et al. The Boston criteria version 2.0 for cerebral amyloid angiopathy: a multicentre, retrospective, MRI-neuropathology diagnostic accuracy study. Lancet Neurol. 2022;21(8):714-725. PubMed
- Auriel E, Charidimou A, Gurol ME, et al. Validation of Clinicoradiological Criteria for the Diagnosis of Cerebral Amyloid Angiopathy-Related Inflammation. JAMA Neurol. 2016;73(2):197-202. PubMed
- Cogswell PM, Barakos JA, Barkhof F, et al. Amyloid-Related Imaging Abnormalities with Emerging Alzheimer Disease Therapeutics: Detection and Reporting Recommendations for Clinical Practice. AJNR Am J Neuroradiol. 2022;43(9):E19-E35. PubMed
- Barakos J, Purcell D, Suhy J, et al. Detection and Management of Amyloid-Related Imaging Abnormalities in Patients with Alzheimer’s Disease Treated with Anti-Amyloid Beta Therapy. J Prev Alzheimers Dis. 2022;9(2):211-220. PubMed
- Jäkel L, De Kort AM, Klijn CJM, et al. Prevalence of cerebral amyloid angiopathy: A systematic review and meta-analysis. Alzheimers Dement. 2022;18(1):10-28. PubMed
- Block F, Dafotakis M. Cerebral Amyloid Angiopathy in Stroke Medicine. Dtsch Arztebl Int. 2017;114(3):37-42. PubMed
- Biffi A, Sonni A, Anderson CD, et al. Variants at APOE influence risk of deep and lobar intracerebral hemorrhage. Ann Neurol. 2010;68(6):934-943. PubMed
- Voigt S, Voigt S, Rasing I, et al. The Impact of Vascular Risk Factors on Cerebral Amyloid Angiopathy: A Cohort Study in Hereditary Cerebral Amyloid Angiopathy and a Systemic Review in Sporadic Cerebral Amyloid Angiopathy. Cerebrovasc Dis. 2025;54(5):746-760. PubMed
- Charidimou A, Imaizumi T, Moulin S, et al. Brain hemorrhage recurrence, small vessel disease type, and cerebral microbleeds: A meta-analysis. Neurology. 2017;89(8):820-829. PubMed
- Charidimou A, Boulouis G, Roongpiboonsopit D, et al. Cortical superficial siderosis and recurrent intracerebral hemorrhage risk in cerebral amyloid angiopathy: Large prospective cohort and preliminary meta-analysis. Int J Stroke. 2019;14(7):723-733. PubMed
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回復期リハビリテーションにいます。アミロイドアンギオパチーの病名が付いた方が2年に1人ぐらいおられます。アルツハイマーのヒトには 96%この所見が見られると書いてあります。とすると アルツハイマーの脳はT2* SWIで所見がでるということですか。Aβに問題があるからでしょうか。