先に結論:MRIが受けられない人(禁忌)

  • 心臓ペースメーカー・植込み型除細動器・人工内耳・神経刺激装置など体内の電子機器は、原則としてMRIを受けられません。ただし現在は「MRI対応(条件付きMRI対応)」の製品が増えており、機種と条件を確認すれば撮影できる場合があります
  • 古い脳動脈瘤クリップ・眼の中の金属片は危険です。カラーコンタクト・カイロ・湿布(金属を含むもの)・アイメイクなどはやけどの原因になるため外してから検査します
  • 人工関節・多くのステントや人工弁は撮影できることがほとんどですが、体内の金属や機器は必ず事前に申告し、施設で確認してもらいます

MRI装置は穴のあいた大きな磁石と考えてください。

磁石にくっついたり、離れたり、動く可能性のあるものが体内あるいは体外にある場合は基本的に全てMRIをすることができません。

どのような場合にMRIを受けることができないのか、についてまとめました。

MRIの絶対禁忌(MRIが受けられない人)は?

  • 体内の電子機器部品は絶対禁忌!
体内の電子機器部品って具体的にはどのようなものがありますか?
最も有名なのが、心臓ペースメーカーです。

※ただし現在はMRI対応(条件付きMRI対応)の心臓ペースメーカー・植込み型除細動器が普及しており、条件を満たせば撮像できます。また、MRI非対応のペースメーカー1000件・植込み型除細動器(ICD)500件に、決められた手順で設定を変更したうえで1.5Tの胸部以外のMRIを行った米国の前向き登録研究(MagnaSafe)では、死亡・リード不全・ペーシング不全・心室性不整脈は起きませんでした。手順どおりに設定されていなかったICD1台だけが交換を要しており、事前の設定変更が欠かせません。

他には、

  • 人工内耳(移植蝸牛刺激装置)、
  • 除細動器、
  • 神経刺激装置(TENS装置、誘導性視床刺激装置)、
  • 骨成長刺激装置、
  • 注入ポンプ  が挙げられます。

MRIの相対禁忌は?

他にはどういったものがMRIを受けられない可能性がありますか?
以下のような場合は受けられない可能性があります。
  • 脳動脈瘤クリップ:種類を確認する。MRI検査可能な製品は問題ないが、他施設で大昔に手術されている場合などは注意する。特に古い製品は、要注意。
  • 目など決定臓器に位置する強磁性体の破片:鉄片等。体内にある場合も禁忌。
  • 化粧:特に目の化粧。マスカラやアイラインは金属(酸化鉄)が入っているため禁忌。まぶたの入れ墨も禁忌。目以外の部分も含め、ラメは、取る必要がある。※まぶたの局所的な腫脹の副作用の報告あり。
  • 入れ墨:熱傷や絵が崩れる可能性あり。
  • 磁場によって活性化するもの:磁力で装着する義眼、磁石部分が着脱不能な義歯、Tissue expander等。※装置が壊れる可能性あり。
  • 血管内デバイス:スワンガンツカテーテル等は禁忌。下大静脈フィルタは多くが条件付きMRI対応(製品ごとに確認)。冠動脈ステントは現在ほとんどがMRI条件付き対応で、留置直後でも条件内で撮像できるものが多い(製品ごとに確認)。
  • 心外膜ペースワイヤー:術後装着中は禁忌。
  • 補聴器・人工耳小骨:人工耳小骨(セラミックを金属ワイヤーで固定)は安全性が確認されていない。
  • 湿布薬・ニトロダーム(ニトログリセリン真皮浸透絆創膏):火傷の可能性あり。
  • 妊娠中もしくは妊娠の可能性のある人:MRIによる胎児への障害は報告されていないが、必要性を検討したうえで行う。
  • その他:カイロは禁忌。酸化鉄なので。入れ歯・エレキバン・ベルト等も火傷の可能性あるため取り外す。他、アクセサリー、ヘアピン、カラーコンタクト、時計、携帯電話、キャッシュカード(磁気カード)なども検査には持ち込めない。
一見禁忌なのかな?と思うけども禁忌ではないものは以下の場合です。
  • 脳神経外科用部品:ドレーン、リザーバ、プレート、メッシュ等。シャントチューブも通常問題ない。ただし、磁力で流量調節が可能な製品(メドス、ソフィー)については仕様を確認する必要がある。
  • 心臓の人工弁:ほとんど問題ない。ただし、古い製品は添付文書等で確認する。
  • 体内固定具:整形外科の人工関節等強く固定されているものは問題ない。
  • 穿刺針:テープ等で固定してあれば問題ない。
研修医
なるほど。でも、例えば脳動脈瘤クリップで使った品番がわかったとしてもどうやって私達は、それがMRIに対応しているって判断するんですか?
それは磁石への引きつけの有無を記載した下記HPを参照してください。

http://aih-net.com/medical/depart/housya/metal/metal.html

ステント・ステントグラフト・脳動脈瘤クリップはMRIを受けられる?

「ステントが入っているとMRIは禁忌?」という質問はとても多いですが、現在使われている多くの製品は条件付きでMRIを受けられます。ただし条件(磁場の強さなど)は製品ごとに違うため、手帳やカードで製品名を確認し、検査施設に伝えることが前提です。

  • 冠動脈ステント(心臓のステント):留置から中央値1日後に1.5TのMRIを受けた49人(薬剤溶出性ステントを含む)では、急性ステント血栓症はありませんでした(Porto 2005)。急性心筋梗塞でステントを入れた72人が中央値6日後に3TのMRIを受けた検討でも、6か月の間にステント血栓症・死亡・再梗塞はありませんでした(Jehl 2009)。
  • 大動脈のステントグラフト:胸部大動脈のステントグラフト2種類は実験でMRI対応と確認され、患者13人で経過観察に使えました(Merkle 2002)。腹部大動脈瘤のステントグラフト治療後の46人に造影剤を使わないMRAを行った検討では、エンドリーク(瘤への血液の漏れ)の検出が感度77.3%・特異度91.7%でした(Kawada 2021)。一方、金属による画像のゆがみ(アーチファクト)は製品の材質によって異なります。
  • 脳動脈瘤クリップ:「非磁性」とされていたクリップが実は強磁性体で、MRIの磁場の中でクリップが動いて中大脳動脈が裂け、死亡した例が報告されています(Klucznik 1993)。製品名が確認できないクリップは、検査前に手術を受けた施設などで確認します。

MRIの禁忌でよくある疑問(Q&A)

Q. MRIが受けられない人は、CTなら受けられますか?
A. CTは磁石を使わずX線で撮影するため、ペースメーカーや金属があっても多くの場合は検査できます。ただし被ばくがあり、見える病気も違うため、どちらが適しているかは主治医と相談します。

Q. 機械弁(人工弁)が入っていてもMRIは受けられますか?
A. 上の「禁忌ではないもの」のとおり、心臓の人工弁はほとんど問題ありません。古い製品は添付文書などで確認します。

まとめ

最近ではペースメーカーがあっても撮影できるケースも出てきており。MRI非対応の旧型ペースメーカー・除細動器でも、1.5Tでモード設定を変えて行った2103件の検査で長期的な重大有害事象はなかったと報告されていますが、施設の体制と手順が前提です。例外もありますが、基本的に体内の電子機器部品は絶対禁忌と覚えておきましょう。

また化粧や湿布など日常的に行われることでも、火傷などのリスクがありますので、事前に必ずチェックすることが大事です。

参考文献

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  3. Nazarian S, Hansford R, Rahsepar AA, et al. Safety of Magnetic Resonance Imaging in Patients with Cardiac Devices. N Engl J Med. 2017;377(26):2555-64. PubMed
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  5. Russo RJ, Costa HS, Silva PD, et al. Assessing the Risks Associated with MRI in Patients with a Pacemaker or Defibrillator. N Engl J Med. 2017;376(8):755-764. PubMed
  6. Kanal E, Barkovich AJ, Bell C, et al. ACR guidance document on MR safe practices: 2013. J Magn Reson Imaging. 2013;37(3):501-30. PubMed
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  8. Jehl J, Comte A, Aubry S, et al. Clinical safety of cardiac magnetic resonance imaging at 3 T early after stent placement for acute myocardial infarction. Eur Radiol. 2009;19(12):2913-8. PubMed
  9. Merkle EM, Klein S, Wisianowsky C, et al. Magnetic resonance imaging versus multislice computed tomography of thoracic aortic endografts. J Endovasc Ther. 2002;9 Suppl 2:II2-13. PubMed
  10. Kawada H, Goshima S, Sakurai K, et al. Utility of Noncontrast Magnetic Resonance Angiography for Aneurysm Follow-Up and Detection of Endoleaks after Endovascular Aortic Repair. Korean J Radiol. 2021;22(4):513-524. PubMed
  11. Klucznik RP, Carrier DA, Pyka R, et al. Placement of a ferromagnetic intracerebral aneurysm clip in a magnetic field with a fatal outcome. Radiology. 1993;187(3):855-6. PubMed

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