MRI装置は穴のあいた大きな磁石と考えてください。
磁石にくっついたり、離れたり、動く可能性のあるものが体内あるいは体外にある場合は基本的に全てMRIをすることができません。
どのような場合にMRIを受けることができないのか、についてまとめました。
MRIの絶対禁忌(MRIが受けられない人)は?
- 体内の電子機器部品は絶対禁忌!
体内の電子機器部品って具体的にはどのようなものがありますか?
最も有名なのが、心臓ペースメーカーです。
※ただし2017年現在、MRI対応の心臓ペースメーカーもあります。
他には、
- 人工内耳(移植蝸牛刺激装置)、
- 除細動器、
- 神経刺激装置(TENS装置、誘導性視床刺激装置)、
- 骨成長刺激装置、
- 注入ポンプ が挙げられます。
MRIの相対禁忌は?
他にはどういったものがMRIを受けられない可能性がありますか?
以下のような場合は受けられない可能性があります。
- 脳動脈瘤クリップ:種類を確認する。MRI検査可能な製品は問題ないが、他施設で大昔に手術されている場合などは注意する。特に2000年以前のものは、要注意。
- 目など決定臓器に位置する強磁性体の破片:鉄片等。体内にある場合も禁忌。
- 化粧:特に目の化粧。マスカラやアイラインは金属(酸化鉄)が入っているため禁忌。まぶたの入れ墨も禁忌。目以外の部分も含め、ラメは、取る必要がある。※まぶたの局所的な腫脹の副作用の報告あり。
- 入れ墨:熱傷や絵が崩れる可能性あり。
- 磁場によって活性化するもの:磁力で装着する義眼、磁石部分が着脱不能な義歯、Tissue expander等。※装置が壊れる可能性あり。
- 血管内デバイス:スワンガンツカテーテルや1ヶ月以内に装着した大動脈フィルタ等は禁忌。2ヶ月以内に挿入した冠動脈の磁性体のステントも禁忌。
- 心外膜ペースワイヤー:術後装着中は禁忌。
- 補聴器・人工耳小骨:人工耳小骨(セラミックを金属ワイヤーで固定)は安全性が確認されていない。
- 湿布薬・ニトロダーム(ニトログリセリン真皮浸透絆創膏):火傷の可能性あり。
- 妊娠中もしくは妊娠の可能性のある人:胎児の安全性が確立されていない。特に妊娠期間の最初の1/3は極力避ける。
- その他:カイロは禁忌。酸化鉄なので。入れ歯・エレキバン・ベルト等も火傷の可能性あるため取り外す。他、アクセサリー、ヘアピン、カラーコンタクト、時計、携帯電話、キャッシュカード(磁気カード)なども検査には持ち込めない。
一見禁忌なのかな?と思うけども禁忌ではないものは以下の場合です。
- 脳神経外科用部品:ドレーン、リザーバ、プレート、メッシュ等。シャントチューブも通常問題ない。ただし、磁力で流量調節が可能な製品(メドス、ソフィー)については仕様を確認する必要がある。
- 心臓の人工弁:問題ない。ただし、1970年以前の製品は禁忌。
- 体内固定具:整形外科の人工関節等強く固定されているものは問題ない。
- 穿刺針:テープ等で固定してあれば問題ない。
研修医
なるほど。でも、例えば脳動脈瘤クリップで使った品番がわかったとしてもどうやって私達は、それがMRIに対応しているって判断するんですか?
それは磁石への引きつけの有無を記載した下記HPを参照してください。
http://aih-net.com/medical/depart/housya/metal/metal.html
まとめ
最近ではペースメーカーがあっても撮影できるケースも出てきており、例外もありますが、基本的に体内の電子機器部品は絶対禁忌と覚えておきましょう。
また化粧や湿布など日常的に行われることでも、火傷などのリスクがありますので、事前に必ずチェックすることが大事です。