先に結論:空洞のある肺腫瘤の考え方
- 空洞とは、結節・腫瘤や浸潤影の中にできた空気の入ったスペースのことで、多くは壊死した中身が気管支から出ていくことでできます
- 空洞を伴う肺の腫瘤は、肺がん(特に扁平上皮癌)・転移などの腫瘍と、結核・肺膿瘍・真菌症などの感染、GPA・敗血症性肺塞栓・肺梗塞などが原因になります
- 壁が厚い(15mm超)・内側がでこぼこなら悪性を、壁が薄い(4mm以下)・なめらかなら良性を考える目安になりますが、経過や多発かどうかとあわせて判断します
空洞を伴う肺腫瘤の鑑別診断
腫瘍性
・原発性肺癌
・転移性肺癌
炎症性および感染性
・結核腫
・肺膿瘍
・真菌感染症
・寄生虫感染症
・肉芽腫性病変
そのほか
- 多発血管炎性肉芽腫症(GPA)
- 敗血症性肺塞栓
- 肺梗塞
- 関節リウマチ結節・じん肺の塊状巣
空洞(空洞形成)とは?肺癌でも空洞はできる?
- 空洞は、肺の浸潤影・腫瘤・結節の中にできた空気の入ったスペースで、画像では透亮像(CTでは低吸収域)として見え、多くは壊死した部分が気管支から排出されてできます(Hansell 2008)。
- 肺癌でも空洞はみられます。切除されたI期非小細胞肺癌72例では16例(22%)に空洞があり、腺癌より扁平上皮癌に多く、空洞のある腫瘍は無病生存期間・全生存期間が短い傾向でした(Onn 2005)。
- 空洞性病変は健診などで症状がないまま見つかることもありますが、結核などの感染症や肺癌の可能性もあるため、指摘されたら医療機関で精査を受けてください。
空洞の壁の厚さによる目安
- 空洞の最も厚い部分の壁の厚さは、良性・悪性を考える目安になる。壁が4mm以下なら良性が多く、15mmを超えると悪性が多いとされる(その間はどちらもありうる)。原著では壁が4mm以下の92%が良性、15mm超の95%が悪性、5〜15mmでは良性51%・悪性49%で、最も薄い部分より最も厚い部分の測定のほうが信頼できるとされています。
- 壁の内側がでこぼこ(結節状)なのは悪性(特に扁平上皮癌)を、なめらかなのは良性を示唆するが、例外も多い。
- 単発か多発か(多発なら転移・敗血症性肺塞栓・GPAなど)、周りの小結節(結核)、発熱などの経過を合わせて判断する。CTで良性39例・悪性39例の空洞性結節を比べた研究では、壁の内側の不整は悪性の49%にみられたが良性でも26%にみられ、辺縁の切れ込み(notch)も悪性54%・良性29%と重なりがあった。一方、周りの衛星結節・気管支壁肥厚・浸潤影・すりガラス影は良性の空洞性結節で有意に多かった。
症例 60歳代女性 数か月続く咳、喫煙者

引用:Radiopaedia(Cavitating lung mass – squamous cell carcinoma)
右下葉(画面左側)の上区域に、厚く不整な壁をもつ腫瘤があり、内部に空洞(空気)がみられます。病理で低分化扁平上皮癌と診断され、気管支閉塞による膿瘍形成と壊死で空洞化したと考えられています。
関連記事:石灰化を伴う肺結節の鑑別診断|良性・悪性を示唆する石灰化パターン
参考文献
- Woodring JH, Fried AM, Chuang VP. Solitary cavities of the lung: diagnostic implications of cavity wall thickness. AJR Am J Roentgenol. 1980;135(6):1269-1271. PubMed
- Woodring JH, Fried AM. Significance of wall thickness in solitary cavities of the lung: a follow-up study. AJR Am J Roentgenol. 1983;140(3):473-474. PubMed
- Gadkowski LB, Stout JE. Cavitary pulmonary disease. Clin Microbiol Rev. 2008;21(2):305-33. PubMed
- Honda O, Tsubamoto M, Inoue A, et al. Pulmonary cavitary nodules on computed tomography: differentiation of malignancy and benignancy. J Comput Assist Tomogr. 2007;31(6):943-9. PubMed
- Hansell DM, Bankier AA, MacMahon H, et al. Fleischner Society: glossary of terms for thoracic imaging. Radiology. 2008;246(3):697-722. PubMed
- Onn A, Choe DH, Herbst RS, et al. Tumor cavitation in stage I non-small cell lung cancer: epidermal growth factor receptor expression and prediction of poor outcome. Radiology. 2005;237(1):342-7. PubMed
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