先に結論:授乳中のヨード造影剤
- ヨード造影剤のうち母乳に出るのは投与量の1%未満で、さらに赤ちゃんの腸からはほとんど吸収されません
- そのため、造影CTのあとも授乳を中断する必要はないとされています(ESUR・ACRなど)
- どうしても心配な場合は、本人の希望で24時間ほど搾乳して捨てる選択肢もあります
CT造影剤(ヨード)を授乳婦に使う場合
・授乳婦への静脈内注入による造影検査のあと
→母乳への造影剤移行は、乳汁中の造影剤濃度は投与3〜6時間後にピークとなり、
→その後は減少する。
→乳汁中に移行するのは母体投与量の1%未満とされる。
・それを飲んだ乳児の血中への移行は検出限界以下(ただし動物実験)。
・なので、授乳中断は不要とする、とESURガイドラインに記載あり。
各ガイドラインの推奨
- 欧州泌尿生殖器放射線学会(ESUR)造影剤安全性委員会は、授乳中の母親に投与したヨード造影剤・ガドリニウム造影剤はごく微量しか乳汁に移行せず、乳児の消化管に入ってもごく一部しか吸収されないため、投与後24時間の授乳中止を必要とするほどのリスクはないとしている。
- イタリア放射線学会・小児科学会・新生児学会などの合同声明は、多くの造影剤について、投与後に授乳を一時中断したり、母乳を搾って捨てたりする必要はないとし、母親に授乳の継続をはっきり勧めるべきとしている(腎性全身性線維症の高リスクに分類されるガドリニウム造影剤のみ授乳中は避ける)。
- 米国放射線科医会(ACR)の造影剤マニュアルも授乳の継続を基本とし、母親がなお心配な場合に限り、本人の判断で12〜24時間授乳を控え、その間の母乳を搾って捨てる方法を示している。
母乳に出る造影剤の量(研究データ)
- イオヘキソールなどを投与した授乳婦6人では、母乳中の濃度は3〜6時間後に最大となり、24時間に母乳へ出た量は体重補正した母体投与量の約0.5%でした(Nielsen 1987)。
- ガドリニウム造影剤(ガドペンテト酸)を投与した20人では、24時間に母乳へ出た量は投与量の0.04%未満でした(Kubik-Huch 2000)。
- ただし乳児の吸収を調べたデータは少なく、学会の指針と添付文書の記載の食い違いも指摘されています(Lemmenmeier 2025)。
妊娠中との違い
妊娠中にヨード造影剤を投与した場合は、遊離ヨードが胎児・新生児の甲状腺機能を抑制する可能性があるため、ESURは出生後1週間以内に新生児の甲状腺機能を確認するよう推奨している。授乳中の投与とは扱いが異なる点に注意する。
授乳中の造影CTでよくある疑問(Q&A)
Q. 造影CTのあと、すぐに授乳してよいですか?
A. ESUR・ACRなどは授乳を続けてよいとしています。迷うときは、授乳中であることを検査を受ける医療機関に伝えて相談してください。
Q. MRIの造影剤(ガドリニウム)も同じですか?
A. 母乳に出る量はさらに少なく、考え方は同じです(Kubik-Huch 2000)。
参考文献
- Webb JA, Thomsen HS, Morcos SK, et al. The use of iodinated and gadolinium contrast media during pregnancy and lactation. Eur Radiol. 2005;15(6):1234-40. PubMed
- Cova MA, Stacul F, Quaranta R, et al. Radiological contrast media in the breastfeeding woman: a position paper of the Italian Society of Radiology (SIRM), the Italian Society of Paediatrics (SIP), the Italian Society of Neonatology (SIN) and the Task Force on Breastfeeding, Ministry of Health, Italy. Eur Radiol. 2014;24(8):2012-22. PubMed
- Nielsen ST, Matheson I, Rasmussen JN, et al. Excretion of iohexol and metrizoate in human breast milk. Acta Radiol. 1987;28(5):523-6. PubMed
- Kubik-Huch RA, Gottstein-Aalame NM, Frenzel T, et al. Gadopentetate dimeglumine excretion into human breast milk during lactation. Radiology. 2000;216(2):555-8. PubMed
- Lemmenmeier S, Boehm I. Breastfeeding and contrast agents-A critical review and presentation of new aspects. Fundam Clin Pharmacol. 2025;39(1):e13045. PubMed
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