CT造影剤(ヨード)を妊婦に使う場合
この場合考えなければならないことは、胎児への影響であり、
- 催奇形性
- 放射線誘発がん
- 造影剤は胎児への移行
の3点。
催奇形性は?放射線誘発がんは?
- 通常成人の腹部/骨盤CTは10〜40mGy程度で施行される。
- 100mGy以下の胎児線量は妊娠中絶の理由と考えるべきではない。とされており、催奇形性はない。(もちろん繰り返し撮影してはダメ。)
- 発癌率は「しきい値なし直線仮説(LNT仮説)」でも、子宮内被曝における個人レベルでの小児がんの確率は極めて小さいとされている。
※LNT(linear non threshold)モデル:閾値がなく線量と影響が直線的な関係。100mSv以下では放射線の影響か否か不明。現在では100mSv以下を一応危険ではない、とされている。
- 100mSv被ばくすると、がんになる確率が0.5%程度上昇する(平成23年内閣府食品安全委員会)。内部被ばくと外部被ばくを合わせて、生涯にわたる累積線量の限度を100mSvにする→1年換算で、1mSvという公衆被ばく。
造影剤の胎児への移行は?
- 動物実験において、造影剤のわずかな胎盤通過性が認められているが、造影剤による胎児、新生児への影響は認められていない。
- ただし、臨床での安全性は確立していない。
- また、妊婦に羊水胎児造影を施行した例で、新生児に一過性甲状腺機能低下の報告があるため、甲状腺機能への影響を考慮して、産後は甲状腺機能を注意深くモニターする必要あり。