CTで白いもの ゼロからの画像診断 #04

ゼロからの画像診断 #04

CTで「白いもの」を見つけたら、それは何でしょう。骨のほかに白く見えるのは、石灰化・出血・造影剤・金属の4つ。研修医のハジメくんと一緒に、見分け方を図で整理します。

先に結論

  1. CTで白い(高吸収)のは、X線を通しにくいもの。骨のほかに石灰化・出血・造影剤・金属の4つを覚える。
  2. まず造影する前の画像(単純CT)でも白いかを見る。造影したあとだけ白いなら造影剤。
  3. 白さの強さ(CT値)は、だいたい出血 < 造影された血管 < 石灰化 < 金属。金属はまわりにすじが出る。

腎臓が真っ白!

ハジメハジメ(研修医)
先生、この患者さん、両方の腎臓が真っ白です!大きな石が詰まっているんでしょうか。
ごろ〜ごろ〜(指導医)
落ち着いて。その画像は、造影剤を使う前のものですか、使ったあとのものですか?
ハジメハジメ(研修医)
えっと…「造影」と書いてあります。
ごろ〜ごろ〜(指導医)
それなら、白いのは造影剤かもしれませんね。今日はCTで白く見えるものを整理しましょう。まず、白さのものさしを見てください。
図1 白いもののCT値のものさし 数字は代表的な目安。おなかを見るふつうの白黒の幅(およそ-160〜+240)では、+240より上はどれも真っ白になる。
図1 白いもののCT値のものさし 数字は代表的な目安。おなかを見るふつうの白黒の幅(およそ-160〜+240)では、+240より上はどれも真っ白になる。
ハジメハジメ(研修医)
骨のほかに、4つもあるんですね。白さの強さもちがう…。
ごろ〜ごろ〜(指導医)
はい。白く見えることを高吸収と言います。X線をたくさん吸収する、つまり通しにくいものが白くなります。1つずつ見ていきましょう。最初はさっきの造影剤です。

① 造影剤 ― 前と後をくらべる

ごろ〜ごろ〜(指導医)
造影剤は血管から入れる、X線を通しにくい薬です。血液と一緒に流れるので、血管や、血の流れが多い臓器が白くなります。腎臓は血の流れが多いうえに、造影剤を尿に出すので、よく白くなります。
図2 造影する前と後 同じ高さの輪切り(模式図)。左の単純CTでは大動脈も腎臓も灰色。右の造影CTでは、造影剤が流れこんだ大動脈・下大静脈・腎臓が白くなる。
図2 造影する前と後 同じ高さの輪切り(模式図)。左の単純CTでは大動脈も腎臓も灰色。右の造影CTでは、造影剤が流れこんだ大動脈・下大静脈・腎臓が白くなる。
ハジメハジメ(研修医)
単純CTだと腎臓はふつうの灰色ですね。じゃあ、さっきの「真っ白な腎臓」は…
ごろ〜ごろ〜(指導医)
造影剤で白くなった、ふつうの腎臓でしょう。白いものを見たら、まず単純CTに戻って同じ場所を見る。これが一番のコツです。造影剤のくわしい話は、また今度にしましょう。
マルオマルオ(技師)
撮る側からひとこと!造影の検査では、先に単純CTを撮ることが多いです。石と造影剤を見分けたいときは、依頼に「単純も」と書いてもらえると助かります!

② 石灰化 ― 単純CTでも白い

ごろ〜ごろ〜(指導医)
次は石灰化です。カルシウムがたまったところで、骨と同じように白くなります。血管の壁、結石、古い炎症のあとなど、いろいろな場所に出ます。
図3 石灰化は単純CTでも白い 単純CTの模式図。大動脈の壁の石灰化、腎臓の中の石、胆嚢の中の石。造影剤がなくても、骨に近い白さで見える。
図3 石灰化は単純CTでも白い 単純CTの模式図。大動脈の壁の石灰化、腎臓の中の石、胆嚢の中の石。造影剤がなくても、骨に近い白さで見える。
ハジメハジメ(研修医)
造影CTだけ見ていたら、大動脈の壁の白いのが、造影剤なのか石灰化なのかわからないですね。
ごろ〜ごろ〜(指導医)
そのとおりです。だから単純CTとくらべます。単純CTでも白い → 石灰化(または金属)、造影CTだけ白い → 造影剤。この2つの分け方だけで、迷いがかなり減ります。

③ 出血 ― 「少し白い」がポイント

ハジメハジメ(研修医)
出血も白いんですか?血は水と同じ灰色だと思っていました。
ごろ〜ごろ〜(指導医)
ここが大事なところです。出てすぐの血は固まって中身が濃くなるので、水よりも、筋肉よりも少し白く見えます。骨のような真っ白ではありません。「まわりより少し白い」がポイントです。
図4 出血は水より少し白い 単純CTの模式図。右の腎臓のまわりの出血(新しい血のかたまり)は、左側にたまった水(腹水)より白い。数字は代表的な目安。
図4 出血は水より少し白い 単純CTの模式図。右の腎臓のまわりの出血(新しい血のかたまり)は、左側にたまった水(腹水)より白い。数字は代表的な目安。
ハジメハジメ(研修医)
たしかに、右のほうが少し白いです。でも、ぱっと見では見落としそうです…。
ごろ〜ごろ〜(指導医)
そうなんです。だからCT値を測るのが役に立ちます。水はおよそ0〜20、新しい出血はおよそ50〜80くらいが目安です。それから、血は時間がたつと少しずつ黒っぽくなっていくので、「出血は白い」はおもに新しい出血の話だと覚えてください。

④ 金属 ― 真っ白と「すじ」

ごろ〜ごろ〜(指導医)
最後は金属です。手術のクリップ、人工関節、ステントなどですね。金属はとても強く白いうえに、まわりに放射状のすじが出ます。
図5 金属は真っ白で、すじが出る 模式図。金属(手術のクリップ)のまわりに、白いすじと黒いすじが放射状に広がる。すじは臓器の形と関係なく、まっすぐに走る。
図5 金属は真っ白で、すじが出る 模式図。金属(手術のクリップ)のまわりに、白いすじと黒いすじが放射状に広がる。すじは臓器の形と関係なく、まっすぐに走る。
ハジメハジメ(研修医)
すじが出ていたら金属、ですね。これは見分けやすそうです。
ごろ〜ごろ〜(指導医)
はい。すじのくわしいしくみは、アーチファクトの回でやりましょう。では最後に、白いものを見つけたときの確かめ方をまとめます。
図6 白いものの見分け方 まず単純CTでも白いかを見る。単純CTでも白いものは、白さの強さ(CT値)と、形・すじの有無で分ける。
図6 白いものの見分け方 まず単純CTでも白いかを見る。単純CTでも白いものは、白さの強さ(CT値)と、形・すじの有無で分ける。
ごろ〜ごろ〜(指導医)
白いものを見たら、①単純CTでも白いか ②どのくらい白いか ③形とすじ。この順番で確かめましょう。
ハジメハジメ(研修医)
単純CTに戻ったら、腎臓はふつうの灰色でした。石じゃなかったです…。

よくある勘違い

Q. 造影CTで白いものは、全部造影剤?

いいえ。石灰化や金属も白く見えます。単純CTでも同じ場所が白ければ、造影剤ではありません。

Q. 出血は骨のように真っ白に見える?

いいえ。新しい出血は、水や筋肉より「少し白い」程度です。CT値はおよそ50〜80が目安で、時間がたつと黒っぽくなっていきます。

Q. 白いすじが出ていたら、そこに病気がある?

金属や硬い骨のまわりに出るすじは、画像の乱れ(アーチファクト)のことが多いです。臓器の形と関係なくまっすぐ走るのが目印です。

今日のまとめ

  1. 骨のほかに白く見えるのは、石灰化・出血・造影剤・金属の4つ。
  2. まず単純CTでも白いかを見る。造影CTだけ白いなら造影剤。
  3. 白さはだいたい出血 < 造影された血管 < 石灰化 < 金属。出血は「少し白い」、金属は「すじ」が目印。

図はすべてコードで描いた模式図で、実際の画像ではありません。

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