腎移植後の合併症とは?

  • 腎移植後の合併症は約10%の患者に発生する。
  • その内容は多岐にわたり、診断にはドプラ超音波や腎シンチグラフィ、ダイナミックMRIなどの画像診断が用いられる。

以下に主な合併症を挙げる。

主な腎移植後の合併症

  1. 急性尿細管壊死
  2. 拒絶反応
    • 超急性拒絶反応(24時間以内)
    • 促進拒絶反応(2~7日)
    • 急性拒絶反応(7日~3か月)
    • 慢性拒絶反応(数か月~数年)
  3. シクロスポリン中毒
  4. 尿路系合併症
    • 水腎症
    • 尿管狭窄
    • 腎周囲液体貯留
  5. 血管系合併症
    • 腎動脈狭窄
    • 腎静脈血栓
    • 腎動脈血栓
    • 動静脈瘻
    • 腎動脈-腸骨動脈吻合部仮性動脈瘤
  6. 移植後リンパ増殖性疾患
  7. 悪性腫瘍
  8. その他(高血圧、胃潰瘍、大腿骨頭壊死など)

関連記事:移植腎のCT画像における場所はどこ?腸骨窩とは?

移植腎合併症の画像所見

移植腎におけるCTやMRIで指摘できる合併症の所見としては以下のものがある。

血管系合併症

  • 腎動脈狭窄
  • 腎静脈血栓
  • 腎動脈血栓
  • 動静脈瘻
  • 腎動脈-腸骨動脈吻合部仮性動脈瘤

症例 40歳代女性 腎移植後

BHJ Case Rep 2021;14:e240400

移植腎動脈狭窄があり(Aの→)、ステント留置され改善した(B)

移植腎における水腎症

  • 虚血や拒絶反応によって尿管と膀胱の吻合部に瘢痕化が生じ、狭窄を引き起こすことによる。
  • 血塊による閉塞

移植腎周囲の液体貯留

  • 血腫:移植早期に最も頻発する合併症。CTで高吸収を示す。
  • リンパ嚢腫(lymphocele):最も一般的で頻度が高い。術後2〜3週(~2か月)で発生することが多い。
  • 尿瘤(urinoma)、膿瘍:術後3~4か月に見られることが多い。

症例 20歳代女性 腎移植後20日

引用:radiopedia

薄い中隔を伴う大きな低吸収性の液体貯留が腎移植片を圧迫しているのが認められます。

腎移植後のリンパ嚢腫(lymphocele)を疑う所見です。

 

参考文献:KEY BOOKシリーズ 知っておきたい泌尿器のCT・MRI改訂第2版 P226-7

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