乳癌の頻度
- 2021年の日本人女性の癌罹患数は431,900人で、うち乳癌は94,400人(22%)を占める。
- 生涯罹患リスクは10.9%で、9人に1人の女性が乳がんに罹患するとされている。
乳癌の進行度による治療法
- 乳癌は、全身への微小転移を生じうる全身病。
- 手術などの局所療法のみで治療が終了することは少ない。
- 外科療法・薬物療法・放射線療法を組み合わせた集学的治療が施行される。
早期乳癌に応じた治療法
- 切除可能なStage0〜ⅢAが早期乳癌。
- 早期乳癌=切除可能乳癌。
- StageⅢAは切除可能であるが、局所進行乳癌に分類されることもある。
非浸潤性乳管癌(ductal carcinoma insitu:DCIS)
- 臨床病期はTis, Stage0であり、TisNOMOと定義される。
- 乳癌細胞が乳管内にとどまっているもの。
- 理論的には遠隔転移を来すことはない。
- 全乳癌の14.2%。
- 術後10年の乳癌死亡率は、0.8~0.9%。
- 治療の主体は、手術±放射線療法。
- ホルモン受容体陽性乳癌の場合、乳房内再発の予防目的として内分泌療法が行われることがある。
Stage0以外の早期乳癌
- 初期治療の目的は、癌が進展されていると考えられる原発巣および腋窩リンパ節への局所療法(外科療法+放射線療法)。
- 潜在的な微小転移に対する全身療法(薬物療法)。
関連:乳癌の所属リンパ節、腋窩リンパ節のレベル分類とCT画像の関係まとめ
局所進行乳癌
- 遠隔転移を有しない、StageⅢB、ⅢCの乳癌。
- 手術を可能にするために、まず薬物療法を行い、続いて局所療法を行うという集学的治療が標準的。
転移・再発乳癌
- 遠隔転移を有するStage Ⅳの乳癌(転移乳癌)と、初期治療後に遠隔転移を来した乳癌(再発乳癌)。
- 予後はサブタイプによって異なる。
- 全生存期間の中央値は、ホルモン受容体陽性HER2陰性乳癌では44.8ヶ月、HER2陽性乳癌では58ヶ月、トリプルネガティブ乳癌では14.2ヶ月との報告がある。
- 基本的には薬物療法を中心とした集学的治療が行われる。
- 根治は困難。
- 緩和治療も積極的に併用される。
- 少数転移であるオリゴ転移に対する局所療法が生存率延長に寄与する可能性があるとの報告もある。
参考文献:画像診断 Vol.43 No.11 増刊号 2023 P61-4