先に結論:乳癌の進行度と治療

  • 乳癌は全身病と考えられ、手術・薬物療法・放射線療法を組み合わせた集学的治療が行われます
  • 早期乳癌(Stage 0〜IIIA)は手術が中心で、局所進行乳癌(IIIB・IIIC)はまず薬物療法を行ってから手術、転移・再発乳癌(Stage IV)は薬物療法が中心です
  • 治療方針はサブタイプ(ホルモン受容体・HER2)で大きく変わります。詳しくは乳癌の診療ガイドラインや主治医の説明で確認してください
  • TNM分類はT(しこり)・N(リンパ節)・M(遠隔転移)の組み合わせで病期を決める分類で、TisN0M0はStage 0(非浸潤癌)です

乳癌の進行度による治療法

  • 乳癌は、全身への微小転移を生じうる全身病。
  • 手術などの局所療法のみで治療が終了することは少ない。
  • 外科療法・薬物療法・放射線療法を組み合わせた集学的治療が施行される。

TNM分類の見方(TisN0M0・T4bN1M0とは)

  • Tisは非浸潤癌(DCISなど)、N0はリンパ節転移なし、M0は遠隔転移なしで、TisN0M0がStage 0です。
  • T4は大きさにかかわらず胸壁や皮膚に及ぶもので、T4bは皮膚の潰瘍・むくみ(橘皮様皮膚)などを伴うものです。T4bN1M0は局所進行乳癌(Stage IIIB)にあたります。

浸潤性乳管癌(invasive ductal carcinoma)とは

乳管にできた癌が乳管の壁を越えて周りに広がったもので、乳癌で最も多い組織型です。乳管内にとどまるものは非浸潤性乳管癌(DCIS)です。

早期乳癌に応じた治療法

  • 切除可能なStage0〜ⅢAが早期乳癌。
  • 早期乳癌=切除可能乳癌。
  • StageⅢAは切除可能であるが、局所進行乳癌に分類されることもある。AJCC第8版(2017年)では、解剖学的なTNMによる病期に加えて、組織学的グレード・ER・PgR・HER2などを組み込んだ予後病期(prognostic stage)が導入され、同じTNMでも病期が変わることがある。
非浸潤性乳管癌(ductal carcinoma in situ:DCIS)
  • 臨床病期はTis, Stage0であり、TisN0M0と定義される。
  • 乳癌細胞が乳管内にとどまっているもの。
  • 理論的には遠隔転移を来すことはない。
  • 治療の主体は、手術±放射線療法。
  • ホルモン受容体陽性乳癌の場合、乳房内再発の予防目的として内分泌療法が行われることがある。
Stage0以外の早期乳癌
  • 初期治療の目的は、癌が進展していると考えられる原発巣および腋窩リンパ節への局所療法(外科療法+放射線療法)。
  • 潜在的な微小転移に対する全身療法(薬物療法)。

関連:乳癌の所属リンパ節、腋窩リンパ節のレベル分類とCT画像の関係まとめ

局所進行乳癌

  • 遠隔転移を有しない、StageⅢB、ⅢCの乳癌。
  • 手術を可能にするために、まず薬物療法を行い、続いて局所療法を行うという集学的治療が標準的。

転移・再発乳癌

  • 遠隔転移を有するStage Ⅳの乳癌(転移乳癌)と、初期治療後に遠隔転移を来した乳癌(再発乳癌)。
  • 予後はサブタイプによって異なる。
  • 全生存期間の中央値はトリプルネガティブ乳癌で最も短いと報告されている。
  • 基本的には薬物療法を中心とした集学的治療が行われる。
  • 根治は困難。
  • 緩和治療も積極的に併用される。
  • 少数転移であるオリゴ転移に対する局所療法が生存率延長に寄与する可能性があるとの報告もある。

乳癌のステージと治療でよくある疑問(Q&A)

Q. ステージ3だと手術はできないのですか?
A. IIIB・IIICはまず薬物療法で小さくしてから手術などを行うのが標準的で、手術ができないという意味ではありません。しこりなど気になる症状があれば医療機関を受診してください。

Q. 乳癌でCT検査は何のために行いますか?
A. 乳房の評価はマンモグラフィ・超音波・MRIが中心で、CTは主にリンパ節転移や遠隔転移(肺・肝臓・骨など)の評価に使います。

参考文献:画像診断 Vol.43 No.11 増刊号 2023 P61-4

  1. Giuliano AE, Connolly JL, Edge SB, et al. Breast Cancer-Major changes in the American Joint Committee on Cancer eighth edition cancer staging manual. CA Cancer J Clin. 2017;67(4):290-303. PubMed
  2. Cardoso F, Kyriakides S, Ohno S, et al. Early breast cancer: ESMO Clinical Practice Guidelines for diagnosis, treatment and follow-up. Ann Oncol. 2019;30(8):1194-1220. PubMed

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