先に結論:消化管マントル細胞リンパ腫
- マントル細胞リンパ腫はサイクリンD1陽性のB細胞リンパ腫で、消化管に病変を作りやすいリンパ腫です。従来は予後不良とされてきましたが、治療の進歩で生存期間は延びています
- 消化管では回盲部に多く、腸管に多数のポリープ状の隆起ができる(multiple lymphomatous polyposis:MLP)のが特徴的な形です
- CTでは腸管の腫瘤・壁肥厚と広範なリンパ節腫大を伴うことが多く、短期間で増大することがあります
消化管マントル細胞リンパ腫(mantle cell lymphoma:MCL)とは?
- 消化管のB細胞リンパ腫の中では頻度は高くない。
- 従来は予後不良とされてきたが、近年は治療の進歩で生存期間が大きく延びている。
- サイクリンD1陽性(CCND1再構成)が典型。WHO分類第5版(2022年)では、サイクリンD1陰性でもCCND2・CCND3などの再構成を持つ例をサイクリンD1陰性MCLとしてMCLに含める。
- 好発部位は、回盲部>回腸>直腸>十二指腸。MCLの消化管浸潤は高頻度で、未治療例に上下部内視鏡と生検を系統的に行った前向き研究では、下部消化管の88%、上部消化管の43%に組織学的浸潤を認めた。消化器症状があったのは26%のみで、肉眼的に正常な粘膜にも顕微鏡的浸潤がみられることが多い。
- 肉眼型は腫瘤型>>びまん浸潤型>MLP型>潰瘍型
※MLP(multiple lymphomatous polyposis):消化管リンパ装置で悪性リンパ腫が増殖し、びまん性に隆起性病変を形成したもの。消化管ポリポーシスの形態をとる。
消化管リンパ腫のCT所見
- 消化管は節外性リンパ腫が最も多い部位で、胃・小腸・回盲部の順に多く、組織型はDLBCLが最多です(Ghimire 2011)。
- CTでは腸管壁の厚い肥厚、内腔の拡張(aneurysmal dilatation)、大きなリンパ節腫大がみられ、壁が柔らかいため癌より腸閉塞を起こしにくいのが特徴です。ただし特異的ではなく、確定には生検が必要です(Ghimire 2011)。
症例 60歳代男性

回盲部に腫瘤性病変あり。周囲にリンパ節腫大あり。
生検にてマントル細胞リンパ腫と診断されました。
4ヶ月後CTにて、腫瘍は著明にサイズ増大し、大動脈周囲に多数のリンパ節腫大あり。

MCLとは?(Q&A)
A. mantle cell lymphoma(マントル細胞リンパ腫)の略で、リンパ濾胞のマントル帯のB細胞に由来します。腹痛・血便・体重減少など気になる症状が続く場合は、医療機関を受診してください。
参考文献:
画像診断 Vol.25 No.11 2005 P1376-1377
- Romaguera JE, Medeiros LJ, Hagemeister FB, et al. Frequency of gastrointestinal involvement and its clinical significance in mantle cell lymphoma. Cancer. 2003;97(3):586-91. PubMed
- Swerdlow SH, Campo E, Pileri SA, et al. The 2016 revision of the World Health Organization classification of lymphoid neoplasms. Blood. 2016;127(20):2375-90. PubMed
- Alaggio R, Amador C, Anagnostopoulos I, et al. The 5th edition of the World Health Organization Classification of Haematolymphoid Tumours: Lymphoid Neoplasms. Leukemia. 2022;36(7):1720-1748. PubMed
- Ghimire P, Wu GY, Zhu L. Primary gastrointestinal lymphoma. World J Gastroenterol. 2011;17(6):697-707. PubMed
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