人工呼吸管理をする前に確認すべきことは、なぜ目の前の患者さんが人工呼吸をしているのかという「人工呼吸管理をする目的」です。
これが曖昧になっていると、
「あれ、この患者さんなんで人工呼吸管理になったのだっけ?」
となってしまいます。すると、本来の目的は達成されているのに、いつまでも人工呼吸器をつけ続けるということになりかねません。
ではそもそも人工呼吸管理をする目的とは何でしょうか?
「そりゃ酸素が足りないからでしょ!」
という答えが返ってきそうですが、必ずしもそうではありません。ここでは、人工呼吸管理が必要になる原因、人工呼吸管理の目的を4つにわけてみていきましょう。
人工呼吸管理の目的は?
患者さんごとに人工呼吸管理の目的は異なります。人工呼吸管理をする目的は、
- 酸素化の改善
- 換気の改善
- 呼吸仕事量の軽減
- 気道確保のため
の大きく、4つが挙げられます。
①酸素化の改善
・重症の肺炎や心不全などで、低酸素血症であるという酸素がまさに足りない場合です。
②換気の改善
・COPDや気管支喘息などで、気道が狭くなり、換気がうまくいかない場合です。酸素は足りていても、二酸化炭素をうまく吐けない場合などですね。
③呼吸仕事量の軽減
・気管支喘息や無気肺、疼痛やショックなどで、呼吸をすることがそもそもつらい場合です。いくら、酸素や二酸化炭素の状態が問題なくても、そもそも呼吸自体がつらいという状態です。
④気道確保
・意識障害や気道狭窄・閉塞などで、気道が確保できない場合です。脳内出血などで自分で呼吸ができない場合は、酸素化がよくても、人工呼吸管理が必要ですね。
これらの目的を明確にしないと、
- 酸素状態が良くなったので、抜管できる。
- 酸素状態が良くなっても、抜管はできない。
と方針が変わってきます。
すでに人工呼吸管理下にいる患者さんなら、そもそもこの人はなぜ挿管をされたのかを明確にしておく必要がありますね。